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死亡届の届出の条件・提出先・書き方の見本

  • 2024年12月02日
火葬前

ご家族が亡くなられた後、遺族は葬儀の準備や被相続人の遺産相続の手続き等、やらなければいけないことが幾つも発生します。
死亡届の記載・提出もその一つです。
死亡届を提出しないと、故人さまの葬儀や納骨がスムーズに行えなくなります。
今回は、死亡届の記載方法と提出について説明します。

記事の監修

人はなぜ弔い、弔われるのか、葬送儀礼を意味のある営みとして理解し、私たちは次世代へ伝えていきます。葬送儀礼マナー検定実施中。

死亡届とは?その役割

死亡届とは、届出書に記載されている人物が亡くなったことを証明する書類です。

死亡届を提出しないと火葬・埋葬ができません。

死亡届の手続きには、法的に亡くなった事実を確認する重要な役割があります。
この亡くなった事実が確認できない限り故人さまを火葬することは認められません。
火葬のためには死亡届が必要不可欠になります。

市区町村役場でこの届出が受理されると住民票に死亡が記載され、記載された本人の死亡証明を行う公的な書類として利用できます。

死亡届の種類 

死亡届の種類

死亡届には大きく分けて3種類あり、種類ごとに手続きの流れや仕組みが異なります。ここでは、死亡届の種類をそれぞれ解説します。

通常の死亡届

自宅や病院でお亡くなりになった際には、医師の診断に基づいて死亡診断書が渡されます。

死亡診断書とセットになっている死亡届にご遺族が必要事項を記入し、市区町村役所に提出します。

急死や死因がわからない場合は、警察医や監察医による検視が行われます。例えば、一人暮らしの方がお亡くなりになって発見が遅れた場合や、犯罪が疑われるような場合です。

死産による死亡届

妊娠12~22週未満の死産では、死産届の提出が必要です

このケースでは、死産した病院が発行する死産届と死産証書を受け取ります。受け取ったあとは、死産した病院の市区町村か、届け出をする人が住んでいる市区町村に提出が必要です。

死産届は死産から7日以内の提出が義務づけられているため、期限に気をつける必要もあります。妊娠22週以降の死産は、赤ちゃんの死因によって手続きの方法が異なります。

母胎内でお亡くなりになった際には、死産届を市区町村の役所に提出が必要です。

出生後にお亡くなりになった場合は、死亡届を提出します。死亡届の提出が必要になった際には、赤ちゃんが誕生したことを証明する出生届も必要です。

死産後のお葬式を行う場合は家族のみで行うのが一般的です。赤ちゃんを見送りたいと思う場合は、規模が小さくてもお葬式を行うとよいでしょう。

ペットの死による死亡届

ペットがお亡くなりになったときも、死亡届の提出が必要です。

ペットが死亡してから30日以内に手続きを行うことが義務づけられており、登録している市区町村が提出先となります。

死亡届が必要となるペットは、主に犬です。猫やうさぎなど飼育開始時に市区町村への届け出の必要がない動物に関しては死亡届は不要となっています。

犬に死亡届が必要なのは、飼い主に狂犬病予防の注射が義務づけられているためです。

死亡届の用紙は市区町村のホームページからダウンロード可能で、ペットの飼い主やその家族が提出します。

提出方法は直接市区町村の窓口で渡す他、電子申請や郵送にも対応している自治体もあります。

犬がお亡くなりになった場合は、犬を登録したときに受け取った犬鑑札や狂犬病予防注射票の提出も合わせて必要です。

手続きを行わないと登録が抹消されず残ったままとなり、予防接種の案内が引き続き送られてきます。また、罰金を科せられる可能性もあるため、必ず手続きを行いましょう。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)の違い

用紙は併用形式が多い

死亡届の用紙は、市区町村役場や医療機関等に備えられており、用紙はA3サイズで、左側は死亡届、右側が死亡診断書(死体検案書)と、用紙のほとんどが併用形式になっています。

死亡診断書は医学的な証明

死亡届の部分は届出をする人が記載することになりますが、死亡診断書の部分は医師または歯科医師のみ、死体検案書は医師のみしか記載することができません。

なぜなら、死亡診断書は人の死を医学的に証明する書類となるので、医師の診断または検案によって死亡を確認する必要があるからです。

死亡届には死亡診断書を添付

死亡届には原則として医師から記載してもらった死亡診断書を添付しなければなりません(戸籍法第86条第2項)。

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死亡届の届出人になれる条件

死亡届の提出には、届出人を立てる必要があります。この届出人は次の対象者が該当することになります。なお、届出をする場合に優先順位は問われません。

●親族:同居または同居していない故人の配偶者・子(または孫)・両親(または祖父母)・兄弟姉妹等が該当します。

●親族以外の同居者:親族とはいえませんが同居している内縁関係の方が該当します。

●家主や地主又は家屋若しくは土地の管理人:亡くなった方にアパートの一室や一軒家を貸していた家屋のオーナー等が該当します。

●故人の後見人、保佐人、補助人、任意後見人:故人の生前に財産管理を任されていた人物を指します。

葬儀社が届出の代行も可能

遺族は故人の死を、その知人や友人・親類縁者に報告したり、葬儀等の各手配をしたりと大忙しになります。
しかし、お葬式の際に遺体を火葬するには、死亡届の提出と火葬・埋葬許可証の発行が必要になります。 そのため、多くの場合、葬儀社の担当者が使者として死亡届の提出をします。

死亡届の提出先

死亡届は、亡くなった場所、故人の本籍地、届出人の所在地の市区町村役場(市役所の主に戸籍に関係する窓口サービス課等が担当)に、24時間365日いつでも提出が可能です。

つまり、市区町村役場の開庁時間や、土日・祝日を問わず届出が可能です。
ただし、夜間や休日に戸籍に関係する窓口が、平日と変わらずに受付しているわけではありません。

夜間や休日の死亡届については、各市区町村役場によりますが当直室や警備室で受付をすることになります。
死亡届の内容・添付書類に問題が無ければ、死亡届を持参した日が実際に提出した日となります。

ただし、行政職員が書類に不備がある場合や記載事項について質問がある場合、翌開庁日に電話連絡等があります。万が一、確認がとれない場合には正式な受付ができない場合もあります。

死亡届の提出時に必要なもの

死亡届を提出する場合は、死亡届(死亡診断書)はもとより、いろいろな添付書類が必要です。こちらでは通常の届出書類と、海外でお亡くなりになった場合の届出書類、やむを得ない事情で死亡診断書が取得できない場合の届出書類について説明します。

通常の必要書類

家族で亡くなりになった方がいる場合、ほとんどのケースで次のような書類が必要となります。書類に不備が無ければ、窓口で埋火葬許可証明書が交付されます。

1.死亡届書:各市区町村役場、医療機関等から取得できます。

2.死亡診断書(死体検案書):死亡届書と一体になっています。

3.(届出人が後見人、保佐人、補助人または任意後見人の場合)後見登記事項証明書または裁判書の謄本:後見登記事項証明書は全国の法務局で取得できます。また、裁判書の謄本は、家庭裁判所で取得することになります。

海外で亡くなった場合の届出書類

海外で亡くなりになった日本人も、国内で亡くなった日本人と同様に死亡届を提出する必要があります。その際に届出書類を提出する受付窓口は各国の「日本国大使館」となります。次のような書類が必要となります。

1.死亡届:2通必要です。大使館窓口で直接取得するか、郵送で取得することになります。

2.英文死亡証明書:2通必要です。各地方自治体の発行の死亡証明書が必要です。現地の医師が作成した死亡証明書だけでは不備が指摘される場合があります。

3.和文死亡証明書:2通必要です。こちらは申請者または翻訳者が英文死亡証明書を正確に訳して記載することになります。

4.亡くなった方の日本旅券(パスポート)

なお、作成の際には各国の大使館の指示に従い、書類の記載、添付資料の収集を行いましょう。

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死亡診断書が取得できない場合の届出書類

死亡届の手続きには、死亡診断書が必要となります。しかし、やむを得ない事情で死亡診断書が取得できない場合があります。故人の死亡が法的・医学的に証明されなければ、相続に関する手続きが進まなくなるため、その代替書類を準備することになります。

東日本大震災では特に津波による甚大な被害で、被災者のご遺体が発見できないケースが数多くありました。その際に、法務省より死亡診断書に代わる書類の提出について、各地方の法務局等へ通知がありました(東日本大震災による行方不明者に係る死亡届の取扱いについて)。

このように大規模な震災等が発生し、遺体が発見されず、遺体の検案が不可能な場合には、死亡診断書に代わる書類の指示が中央省庁から行われることになります。

この死亡診断書に代わる書類を正式には、「死亡の事実を証すべき書面」と呼びます(戸籍法第86条第3項)。

○死亡届に添付する死亡の事実を証すべき書面

東日本大震災では、死亡届を受理する際に少なくとも「届出人の申述書」は提出を必須とされ、それ以外の書類は可能な限り準備することとされました。

1.届出人の申述書:死亡届を提出しなければならない理由を記載します。

2.自然災害の発生時に被災の状況を現認した者、被災直前の状況を目撃した者等の申述書:故人が津波にのまれてしまった、ビルの倒壊に巻き込まれてしまった等の目撃した事実を記載します。

3.自然災害の発生時に被災地域にいたことを強く推測される客観的資料: 故人の在勤証明書・社員証、故人の給与明細書・給与の振込みを示す銀行口座の預金通帳、故人の在学証明書・学生証等、個人情報がわかる書類等が該当します。

4.行方が判明していない旨の公的機関の証明書または報告書:各市町村を管轄する警察署から証明書を取得します。

5.その他参考となる資料:新聞等の報道資料があげられます。

今後、日本で東日本大震災と同じように深刻な大規模災害が起きた場合には、死亡診断書に代わり同様の書類の提出を求められることが想定されます。

死亡届の提出期限

死亡届は、原則として故人さまがお亡くなりになった後7日以内に提出する必要があります。もし、故人さまが海外で亡くなってしまった場合、ご家族はその亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に、死亡届を提出することになります。

届出期間を過ぎても死亡届を行わなかった場合、期間を過ぎたあとでも届出はできますが、簡易裁判所から過料(約3万円~5万円程度)に処せられる可能性があります。

なお、届出期間内であれば期限切れとなる直前に死亡届を提出しても、届出人は罰則を受けることはありませんが、故人さまのお葬式・火葬等をスムーズに行うため、迅速に手続きを行いましょう。

死亡届の書き方の見本

こちらでは死亡届の書き方をご説明します。
死亡届用紙は各市区町村役場のホームページからでも取得することができます(死亡届用紙)。

なお、記載の場合は戸籍謄本(戸籍全部事項証明書とも言います。)を参考に記載することをおすすめします。特に住所・本籍については、戸籍謄本に明記されている住居表示の通りに記載しなければいけません。

●[氏名・性別・生年月日]

故人の氏名、性別、生年月日が記載し、生まれてから30日以内に亡くなった乳児の場合は、出生の時刻も記載する必要があります。

●[死亡したとき]

死亡した年月日の他、時刻も記載しますが、この時刻について死亡確認時刻では無く、一部不明の場合でもわかる範囲内で、故人が実際に死亡した時刻を記載することになります。

●[死亡したところ]

死亡した場所の住所を記載しましょう。死亡した場所が、病院・診療所・介護老人保険施設・助産所・自宅等であるならばその住所を記載します。

●[住所]

住民登録している所を記載します。戸籍謄本に記載された住所表示に従って正確に記載しましょう。

●[本籍]

本籍地を記載します。たとえ本籍地と住所地が同じでも、省略せずに記載します。「筆頭者の氏名」には、戸籍のはじめに記載されている人の氏名を記載します。

●[死亡した人の夫または妻]

死亡した人に配偶者がいる場合は、「□いる」にチェックをして年齢を記載します。配偶者がいない場合は、「□いない」にチェックをし、「未婚、死別、離別」のいずれかにチェックをします。ただし、こちらの欄に内縁の方は含まれません。

●[死亡したときの世帯の主な仕事と死亡した人の職業・産業]

「死亡したときの世帯の主な仕事」の場合は、農業・自由業・企業等と列記されている6項目の内のチェック欄いずれかにしるしをつけ、「死亡した人の職業・産業」には故人の職業等を記載します。故人が何も仕事をしていなければ空欄で構いません。

●[その他]

この欄は、その他補足すべき内容があるときに記載や、死亡診断書等を添付できなかった理由を記載します。

●[届出人]

死亡届を届けた人の住所・本籍・署名・生年月日を記載します。

○死亡届見本

死亡届用紙 記載要領・記載例(法務省Webサイトより)

死亡届を提出する際の注意点 

死亡届を提出する際の注意点

死亡届を提出すると、さまざまな行政手続きが行われます。ここでは、死亡届を提出する際の注意点を解説します。

故人さまの印鑑証明が発行できなくなる

死亡届を提出すると、故人さまの印鑑登録が抹消されて印鑑証明が発行できなくなります

お亡くなり後に、死亡届を提出するまでの期間は印鑑証明の発行は可能ですが、戸籍で死亡日が記載されるため、その期間中に発行された印鑑証明は無効となります。

印鑑証明書は登録した人が実印を押印し、その印影が市区町村に登録されている実印の印影と合うかを確認する書類です。

そのため、死亡して意思表示ができない人の印鑑証明を使うことは制度に反します。

死亡届を提出してから故人さまの印鑑証明が必要になるケースはほとんどありません。遺産相続の手続きも必要となるのは遺産相続人全員の印鑑証明で、故人さまの印鑑証明は不要です。

故人さまの印鑑登録証は最寄りの市区町村の市民課に返却もしくは、ご家族さまが廃棄することになります。

なお、故人さまの使っていた印鑑は思い出の品として大切に保管したり、ご遺族が掘り直し、自身の印鑑として使用したりする場合もあります。

口座の凍結が行われない

市区町村に死亡届を提出しても、金融機関の口座凍結は自動で行われません。

銀行口座が凍結されるのは、名義人が死亡した事実を金融機関が把握したタイミングです。基本的には、ご遺族が金融機関に連絡を入れた時点で凍結されます。

故人さまの口座凍結申請は、トラブルを避けるためにも行いましょう。

口座の凍結を行っている状態で、相続前に誰かが財産を引き出して使用すると、正しく遺産分割ができません。

また、口座に誰でもアクセスしてお金を引き出せる状況だと相続人の権利侵害につながります。

口座が凍結したからといって、預貯金の引き出しができないわけではありません。遺産相続人と指定されている方であれば、凍結した口座から預貯金を引き出すことも可能です。

この場合、所定の手続きが必要となるため、口座を作っている金融機関に問い合わせます。引き出す前には、トラブル防止のためにもほかの相続人に連絡しましょう。

元本は返却されない

死亡届の元本は返却されないため、事前にコピーを取っておきましょう。死亡届の提出期限は7日間ありますが、提出しないと火葬許可証を受け取ることができません

その後も各種手続きで死亡届の提出が求められるため、コピーを取っておく必要があります。例えば、以下の手続きも死亡届の提出が必要です。

  • 不動産や自動車などの名義変更
  • 銀行口座の名義変更
  • 公共料金の名義変更
  • 年金の受給
  • 保険金の請求
  • 携帯電話の解約
  • 医療保険の停止手続き
  • 労災保険の請求手続き

保険会社によっては、医師に作成してもらった所定の死亡証明書の提出が必要になるケースもあります。

死亡届のコピーを忘れていた場合は、死亡届記載事項証明書の取得や死亡診断書の再発行を依頼しましょう。

死亡届記載事項証明書の発行には、使用目的や必要性、請求者本人であることの証明書類が必要です。申請する前に市区町村に問い合わせておきましょう。

死亡診断書は、発行してもらった病院で再発行ができます。病院に事情を伝え、再発行に必要な書類や手続きを確認しておくとスムーズです。

死亡届を提出しないとどうなる? 

死亡届を提出しないとどうなる? 

死亡届を提出しないとさまざまな問題が生じるため、速やかに提出しなければなりません。ここでは、死亡届を提出しなかった場合に起こることを解説します。

火葬許可証が発行されない

死亡届を提出しないと、火葬許可証が発行されないため火葬や埋葬ができません。

火葬許可証とは、市区町村が発行している火葬の許可を証明する書類です。火葬許可証がなければ火葬ができないため、お葬式前に取得しなければなりません。

また、火葬許可証の提出期限は死亡届と同じ7日となっています。市区町村に死亡届を提出する際、同じタイミングで火葬許可証を交付する流れが一般的です。

火葬許可証なしで火葬を行うことはできないため、適切に手続きを進める必要があります。

なお、埋葬するために必要となる埋葬許可証は火葬場から返却される火葬許可証です。死亡届を提出し、火葬許可証を発行していれば火葬場で受け取れます。

世帯主を変更できない

故人さまが世帯主で残された家族が2人以上いる場合は、死亡届を提出しないと世帯主の変更ができません。

世帯主がお亡くなりになった場合、14日以内に世帯主の変更届が必要です。

そもそも世帯主とは、住民に記載されている世帯の代表者です。主に世帯の生計を担っており、社会通念上妥当と認められる人が世帯主となります。

期限内に新しい世帯主を届け出しないと、罰則が科せられる可能性もあるため注意が必要です。ただし、以下のケースであれば世帯主の変更は必要ありません。

  • 世帯主以外に誰も残っていない場合
  • 世帯主以外に残った人が一人の場合
  • 世帯主以外の人がお亡くなりになった場合
  • 世帯主以外に残った人が親と15歳未満の子どものみの場合

これらのケースであれば、世帯がなくなるか、新しい世帯主が自動的に決まります。そのため、世帯主の変更手続きを行う必要はありません。

年金の不正受給になる可能性がある

死亡届を提出していないと、故人さまの年金が支払われ続けて不正受給になる可能性があります。ご遺族に自覚がなくても不正受給となり、年金の一括返金が必要です。

また、死亡届を提出していても年金の支給停止手続きをしないと年金支給は止まりません。

しかし、日本年金機構に故人さまのマイナンバーが登録されている場合は、手続きがなくても年金支給は停止されます。

支給停止手続きの期限は年金の種類で異なり、死亡日から起算して国民健康保険は14日以内、厚生年金は10日以内です。

支給停止手続きでは死亡届が必要となるため、コピーを取っておく必要があります。

一方で故人さまと生計を同じくしていた場合に、故人さまが受け取るはずだった年金を受け取れる場合もあります。

支給停止手続きを行う際に、未支給年金請求ができるか年金事務所に確認しておきましょう。

保険の資格喪失届ができない

死亡届を提出しないままでいると、保険の資格喪失届の手続きができません。

お亡くなりになられた方が健康保険や介護保険に加入していた場合、死亡後14日以内に市区町村役場で資格喪失の届出が必要です。

故人さまが会社に勤めていた場合は、会社の担当者が手続きを行います。

本来であれば健康保険から埋葬料や葬祭費を受け取れますが、手続きしないと受けとれないままとなります。保険料の引き落としも継続するため、手続きが終わるまで出費が続きます。

ただし、市区町村によっては死亡届を提出することで、保険の資格喪失届は不要としているケースもあります。

住民票の手続きができない

故人さまの住民票の抹消手続きを行うためには、死亡届の提出が必要です。住民票の抹消は、死亡届を提出すると自動的に処理されます。

提出を要請される場合をのぞき、特別な手続きを行う必要はありません。住民票の抹消がスムーズに行われないと世帯主の変更ができず、過料が科される可能性があります。

なお、相続手続きを行う際には故人さまの戸籍謄本や住民票の抹消が必要です。死亡届を提出してもすぐに反映されるとは限らず、状況によっては1週間以上かかる場合もあります。

相続がスムーズに進まない

死亡届を期限までに提出しないと、相続の手続きがスムーズに進みません。

これは死亡届を提出しなければ市区町村が死亡の事実を確認できず、住民票の処理が行われないためです。住民票の記載が事実と異なると、相続手続きをスムーズに進めることはできません。

相続手続きは、以下のようにさまざまな過程が必要となります。

  • 遺言書の確認
  • 相続人の確定
  • 相続財産の調査
  • 相続方法の決定
  • 相続税の納付手続き
  • 相続遺産の分配

また、相続放棄の手続きも死亡届を提出していないとできません。相続放棄は故人さまの財産について相続する権利を放棄することです。

このように相続の各種手続きは死亡届を提出してから始められます。手間もかかるため、死亡届の提出を期限内までに済ませておきましょう。

5万円以下の過料が科される可能性がある

期限内に死亡届を提出しないと、5万円以下の過料が科される可能性があります。

死亡届を提出できない理由や事情がある場合は、市区町村に相談しておきましょう。

死亡届の提出後の流れ 

死亡届の提出後の流れ

死亡届の提出をしたあとはお葬式や各種手続きが必要です。

手続きや準備には多くの負担がかかるため、スムーズに進めるためにも大まかな流れを把握しておきましょう。

ここでは、死亡届の提出後の流れを解説します。

お葬式を執り行う

死亡届を提出し、火葬許可証を受けとったらお葬式を執り行います。故人さまがお亡くなりになってからお葬式までは、以下の流れで進みます。

  • 医師から死亡診断書を受け取る
  • 葬儀社に連絡する
  • 死亡届を提出する
  • 火葬許可証を取得する
  • お通夜を行う
  • お葬式を行う
  • 火葬を行う

お亡くなりなってから死亡届の提出、お葬式までに時間の余裕はあまりありません。喪主やご遺族のみだと準備も大変になるため、葬儀社の力も借りながらスムーズにお葬式を進めましょう。

各種手続きを行う

死亡届を提出したらさまざまな手続きが発生します。ここでは、役所での手続き、契約解約手続き、相続手続きの3つに分けて解説します。

本籍地の役所での手続き

故人さまの本籍地の市区町村役所では、死亡の事実が記載された除籍謄本または戸籍謄本を取得します。

除籍謄本は今後の相続手続きに必要となり、相続関係の特定にも必要です。本籍地が遠方の場合は郵送で請求できます。

手続き内容によっては除籍謄本が返却されないケースもあるため、2~3枚取得しておきましょう。

住所地の役所での手続き

故人さまの住所地の市区町村役所では、住民票や保険関連の手続きが必要です。具体的には以下の手続きを行います。

  • 住民票の除票の取得
  • 健康保険証や介護保険証の返還
  • 資格喪失届の提出
  • 還付金の申請(該当する場合)

国民健康保険に加入されている方がお亡くなりになった場合、市区町村役所で葬祭費支給申請用紙も受けとっておきましょう。

葬祭費支給申請を行うと、葬儀執行人に葬祭費が支給されます。

年金事務所での手続き

故人さまの住所地の年金事務所では、年金受給者死亡届の提出や未支給年金請求、遺族年金の請求を行います。

手続き内容は、年金受給の有無や年金を納めているかによって異なります。手続きの内容がわからない場合は、年金事務所に問い合わせましょう。

その際、故人さまの年金番号やマイナンバーを伝えるとスムーズです。

契約解約手続き

故人さまがお亡くなりになったあとは、生前契約していたサービスの解約や名義変更手続きが必要です。

例えば、以下の手続きが必要となります。

  • 公共料金
  • 電話やインターネット
  • その他有料サービス
  • クレジットカード

解約や名義変更手続きで悩んでいる場合も、サービス元に確認しておくと安心です。

サービスによっては解約まで費用が発生し続ける場合もあり、未払いが続くと遅延金を請求される可能性もあるため注意が必要です。

クレジットカードも不正利用のリスクがあるため、早期に解約手続きを行いましょう。

生命保険の手続き

故人さまが生前加入していた生命保険の受取人になっている場合は、保険金の手続きが必要です。

保険金受取人が指定されていない場合、保険会社の規定に基づいて受取人が決まります。契約内容によって手続きに必要な書類が異なるため、保険会社に確認しておきましょう。

なお、保険契約には入院給付金が請求できるケースもあります。

これはお亡くなりになった方の財産となるため、相続財産です。よって、相続人が確定してからの受け取りになるため注意しましょう。

まとめ

死亡届は、故人さまのお葬式の準備を行う遺族にとって面倒な書類と言えますが、この届出をしないと故人さまの供養を満足に行えない事態になってしまいます。

この届出を速やかに市区町村役場へ提出し、問題なく受理されることによって、故人さまを悼む場を設けることが可能になります。

お葬式についてご不安やお悩みがある場合は、よりそうお葬式までご相談ください。

お葬式に関するお悩みや死亡届や各種手続きで気になることも、専門の相談員が通話料無料で24時間365日対応しています。

まずはお気軽にお問い合わせください。

監修者のコメント

死亡届を提出する際に、埋火葬許可証の交付申請を行います。時間外の場合は届け出の受付のみで、埋火葬許可証の交付を行っていない役所もあります。なお、届出については葬儀社が使者として代行するケースがほとんどです。

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