家族葬の香典辞退|失礼のない伝え方と文例を紹介
- 2023年08月22日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
ごく近しい家族や親族だけで行う「家族葬」では、香典を辞退するケースが少なくありません。
従来の葬儀では香典を受け取るのが基本でしたので、香典を辞退することで参列者に対して失礼になるのではと心配な方もいるでしょう。
そこでこの記事では、家族葬における香典辞退について、喪主の立場から、断りの方法や失礼のない対応について解説いたします。
目次
家族葬の香典辞退とその理由
葬儀では、参列者は香典を持参するのが基本です。
香典には「お葬式でなにかと出費がかさむから、費用の一部に充てて下さい」「この御香典で、故人様へのお供え物をご用意ください」などという、助け合いの意味が込められています。
しかし、家族葬が主流となった昨今では香典を辞退するケースが増えています。そこにはいくつかの理由が考えられ、
- 参列者に金銭的な負担をかけたくない
- 香典返しの手間を省略したい
…などが挙げられます。
香典を辞退する失礼のない理由
香典の授受は葬儀の基本ですから、香典を渡せないことに違和感や戸惑いを持つ方は実に多くいます。こうした方々にどのような理由で辞退を伝えれば納得してもらえるのでしょうか。
「参列者に金銭的な負担をかけたくない」と言っても、香典を負担に感じるかどうかは参列者側に委ねられます。また「香典返しの手間を省略したい」という理由はあまりにも喪主側の身勝手が過ぎます。
最も無難なのは「故人の遺志」です。
「故人がまわりの人たちに迷惑をかけないでほしいと言ってましたので…」
「故人の遺志を尊重して、御香典をご辞退させていただきます」
このように伝えられると、「そうであるなら仕方ない」と、故人の遺志や喪主の意向を汲み、香典辞退を受入てくれるでしょう。
家族葬で香典辞退の伝え方(文例付き)
誰もが「お葬式に参列するなら香典を準備しなければ」と考えます。だからこそ、香典を辞退する場合には事前にその旨を知らせる必要があります。香典辞退は次のような方法で伝えます。文例とともにご紹介いたします。
遺族が直接伝える
葬儀をいつ、どこで行うかなど、葬儀の詳細を電話やメールで連絡する際に、香典辞退の旨を直接伝えます。
事前に伝えておかないと、わざわざ用意してもらった香典を葬儀場で辞退しなければならなくなり、遺族、参列者側双方に違和感が残るおそれがあります。
家族葬の参列者は家族や親族に限られるので、香典を辞退する事情を素直に伝えて理解してもらうよう務めましょう。
<文例>
○○様のお宅でしょうか? 突然のご連絡大変失礼します
わたくし、〇〇の長男の〇〇と申します。
○月×日に父が他界し(亡くなり)まして、そのご連絡でお電話いたしました。
生前には、父が大変お世話になり、ありがとうございました。
葬儀は父の生前からの想いを尊重する形で身内のみの家族葬で行いたいと思っています。
会場は●●市の●●葬祭ホールで行います。日程は、お通夜が明日の午後6時から、葬儀・告別式が明後日の午前11時からです。最後に父の顔を見てやってもらえれば幸いです。
また、父はずっと「まわりの人たちに負担をかけないでほしい」と言っておりました。その意向に沿って、香典は受け取らない形で考えていますので、香典、供物などのご用意はいただかなくて結構です。どうかご了承ください。
訃報連絡用紙で伝える
勤務先へのFAXや、地域の回覧板などには、訃報連絡用紙を用います。葬儀の日時や内容を簡潔に記載した訃報連絡用紙の中に香典を辞退する旨を記載してお伝えします。
訃報連絡用紙は葬儀社が用意してくれます。
<文例>
父 ○○○○(故人の名前)儀
入院加療中でおりましたところ 去る○月×日 90歳にて永眠いたしました
葬儀につきましては故人の遺志により近親者のみで執り行います
また弔問 香典 供物 弔電に関しましても故人の遺志により固くご辞退申し上げます
故人が生前賜りましたご厚誼に深くお礼申し上げ 謹んでお知らせ申し上げます
令和△年○月×日
東京都千代田区○○○1-2-3
喪主 ○○○○
参列者に対して会場で伝える
葬儀会場には、参列者に向けて「香典辞退」を伝える看板を設置し、受付係が遺族の代わりにその旨をお伝えします。
気を付けなければならないのは、葬儀会場で知るということは、参列者はわざわざ香典を準備してきたということです。「香典を辞退するなら早めに知らせてほしかった」となるのが参列者側の正直な心境です。
それに加えて、香典を用意した側も、辞退を伝えなければならない側も、双方が気遣いをしなければなりません。
こうした事態を防ぐためにも、事前の周知が大切なのです。
葬儀後に香典辞退を伝える場合
家族葬では、参列者以外の方に訃報を事前に知らせず、葬儀が済んでからの事後報告とすることの方が多いようです。その訃報とともに、香典辞退の旨を伝えます。
事後報告のタイミングには特に決まりはなく、葬儀を終えて少し落ち着いた1〜2週間後、遅くとも四十九日の法要までに訃報を伝えましょう。
連絡方法はハガキなどの文書が一般的です。親しい間柄の関係であれば電話やメールなどでも構いません。
<文例>
父 ○○○○(故人の名前)儀 入院加療中でおりましたところ 去る○月×日 90歳にて永眠いたしました
葬儀は故人の遺志により近親者のみで執り行いました
なお 誠に勝手ではございますが 今後におきましても故人の遺志により 弔問 香典 供物 弔電は固くご辞退申し上げます
故人が生前賜りましたご厚誼につきまして厚く御礼申し上げます
本来ならば直接ご挨拶申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもってお知らせいたします
令和△年○月×日
東京都千代田区○○○1-2-3
喪主 ○○○○
職場への香典辞退の対応
故人が在職中の場合、故人が在籍する勤務先に対して訃報を伝えます。また、遺族の勤める職場や通学先の学校などに対しても、忌引き休暇の申請します。
訃報は伝えなけければならないけれど、参列や香典は辞退したいというのであれば、その旨を直接伝えると問題ありません。
故人の職場
まずは故人が息を引き取ったことを職場に連絡します。その上で、家族葬にすること、弔問や香典を辞退する旨を直接伝えましょう。
ただし故人が在職中や社員の家族が亡くなった場合は、福利厚生として「死亡弔慰金」を用意していることも少なくないので、ありがたく受け取りましょう。なお、死亡弔慰金は会社の経費として用意されるものなので、香典返しはしなくても構いません。
喪主や遺族の職場や学校
肉親や親族などが亡くなったときに、葬儀に出席するために会社や学校を休むことを「忌引き」と言います。職場であれば上司、学校であれば担任の教師に申請します。その際に、家族葬で行い、弔問や香典や供花などを辞退する旨を伝えましょう。
香典を辞退しても渡された時の対応方法
香典を辞退しても、それでも渡したいと申し出る人もいます。この場合の対応はケースによってさまざまですが、相手の想いを尊重して、例外として受け取るのも方法の一つです。
ただし、他の参列者には香典辞退の意向を伝えているため、少なくとも一度は断りましょう。そして可能であれば周りの目につかない場所で対応するのが望ましいでしょう。
香典辞退のメリット
香典を辞退することのメリットは、香典返しの手間が省けることです。
家族葬の場合、そもそも葬儀に参列するのは家族だけです。気心の知れた相手に香典辞退を伝えることはそこまで苦ではないでしょう。
しかし、葬儀が終わった後に訃報を聞いた人たちがおのおののタイミングで弔問に来られたり、香典を贈られると、そのつど対応に追われることになり、香典返しの手配もしなければなりません。遺族にとっては時間的にも体力的にも大きな負担となります。
こうした負担を避けたい人が、香典辞退を選んでいます。
香典辞退のデメリット
香典辞退のデメリットは、香典収入が見込めなくなる、そして相手との関係性が疎遠になるという点です。
香典がなくなることで、葬儀費用をすべて喪主が負担しなければならなくなります。香典を頂いた方には金額の半分から3分の1程度の香典返しをし、さらに参列者には飲食のもてなしをしなければなりませんが、それでも残りの金額を葬儀費用に充てられることは、喪主にとって大きな助けです。
また香典には、助け合いの想いをお金の形にしてやりとりすることで、相手とのつながりを再確認するという役割もあります。香典辞退と聞いて、関係性に距離を感じる人もいるかもしれません。
香典辞退のまとめ
香典辞退はまだまだ一般的とは言わないものの、家族葬の普及により、徐々に増えている印象です。香典を辞退するにしても、喪主側は参列者を戸惑わせることのないよう、必ず事前に香典辞退の意向を伝えましょう。
家族葬の香典辞退に関するよくある質問
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