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葬儀の種類・宗派
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日本での葬儀はほとんどが仏教式で行われています。しかし、一口に仏教と言っても、その中には様々な宗派があり、それによって葬儀や結婚式の流れや作法が異なります。そのため、それぞれの流れや作法をあらかじめ知っておき、いざと言う時に慌てずに済むようにしましょう。
日蓮正宗の葬儀は他の宗派に比べても、特に厳格に執り行われることが多いです。そこで、この記事では日蓮正宗の葬儀・結婚式について、歴史や考え方を踏まえながら解説していきます。
日蓮正宗とは、日蓮聖人を末法の本仏、静岡県富士宮市の大石寺を総本山とした、仏教の一派です。 日蓮聖人入滅後、建長5年に弟子の一人である日興により開創されました。750年以上の歴史のある仏教の一宗派になります。
日蓮系宗派は、宗祖である日蓮聖人が大切にした妙法蓮華経の教えを信仰する宗派です。 日蓮聖人が最も尊いお経であるとした妙法蓮華経を日々の務めとして唱えることで、困難な時代から救われ、今世での成仏ができるとされています。
また、日蓮正宗では、日蓮大聖人を宗祖・本仏として仰ぎ、毎日のお勤めとして御本尊に向かって「妙法蓮華経」を唱えることでこの世での成仏が叶うとしています。
前述したように、日蓮正宗の総本山は静岡県富士宮市の大石寺です。正応3年(1290)10月、日興によって開創されました。 山号は多宝富士大日蓮華山とし、寺号の大石寺は地名の大石ヶ原に由来します。本門戒壇の大御本尊が安置され、五重塔は国の重要文化財に指定されています。
また、この総本山大石寺の他、海外を含めた全国各地に700を越える寺院等があります。 例えば、東京には品川区にある妙光寺、世田谷区の善福寺など30以上の寺院が存在し、さらにアメリカや台湾を中心に海外にも多数の寺院を構えています。
もともと、日蓮宗と日蓮正宗は、同じ『日蓮宗』でしたが、日蓮聖人入滅後、弟子たちの思想の違いから分派しました。 5人の弟子が日蓮聖人の少々行き過ぎた思想を緩和させ立ち上げた宗派は、それぞれ独自の発展を遂げました。それらが近世の動きの中で統合され、現在の日蓮宗となったのです。
このように日蓮宗は様々な宗派を統合したもののため、日蓮宗内では本尊や儀式なども統一されておらず、様々な様式が許容されています。その一方で、日興という弟子は日蓮聖人の教えを第一に考え、5人とは違う思想を持ち続け、日蓮正宗を立ち上げました。
日蓮宗と日蓮正宗の違いについて簡単に比較はできませんが、大きな違いとしては「本仏」が何を指すのか、といった考え方が挙げられます。 本仏とは、寺院などで本尊としてまつられる仏像、根本の仏のことを指しますが、日蓮宗では教義の一つとして『日蓮聖人が末法の本仏』とされています。
片や、日蓮正宗では、日蓮聖人を釈迦の力が弱まり悟りのなくなった末法の時代に現れた本仏と考えています。つまり、日蓮聖人を仏やイエスキリストのように、崇拝の対象と考えているのです。そのため、日蓮正宗では「日蓮聖人」ではなく「日蓮大聖人」と呼び、それが日蓮宗と日蓮正宗の大きな違いだと言えます。
日蓮正宗と創価学会は、似たような妙法蓮華経を唱え、同じ様な御本尊様を祀っています。というのも、創価学会の前身団体「創価教育学会」が重要視したのが、日蓮聖人の仏法精神です。 1937年、創価教育学会は日蓮正宗の関連団体の1つとして位置付けられました。しかし、平成3年11月に創価学会が日蓮正宗の教義から逸脱した独自思想を持ち込み、日蓮正宗の信条に従わないとし、創価学会を破門としました。 こういった背景から現在は創価学会を破門とした日蓮正宗ですが、創価学会員に対しては大石寺に登山し改心するように、という姿勢で参拝の拒否はしていないようです。
日蓮正宗の結婚式は、寺院御宝前において執行することを基本とします。 御本尊への読経・唱題のもと、三三九度・親子固めの杯を行ない、夫婦が末長く契りを結ぶことを、御本尊に誓います。 この作法には、その信心を基盤として健全な家庭を築き、日蓮聖人の慈悲に報いるため、教えを全うするとともに精進し、教えを子から孫へと信心を伝え、受け継いでいくという深い意義と目的が込められているのです。 また、日蓮聖人は、夫婦はお互いを補い合いながら和合することが大切であると示しているため、信徒は、これらの意義を弁え、神社やキリスト教会などで婚儀を行うことは慎むべきとしています。
葬儀の内容や流れは宗教や宗派によって異なります。 日蓮正宗の葬儀の流れは、基本的には他の日蓮系宗派とあまり変わりはありませんが、他の宗派と比べて厳密にルールが決められていたり、厳格な作法が求められたりする場合があります。
日蓮正宗では、お葬式を「日蓮聖人に故人をお迎えに来ていただき、無事に三途の川を渡るための儀式」としており、正しい作法で執り行われなければ、故人が成仏できない重要なものと考えられています。 日蓮聖人以来の伝統法義に基づきお葬式を行うことで、故人は必ず即身成仏し、次に受ける生では今世の悩みから解放され、清らかに過ごすことができるとされているのです.
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御供養金額には決まりや目安、相場といったものは決まっていません. 日蓮正宗ではお布施のことを御本尊への御供えとして「御供養」と呼びます. この御供養の相場が気になり寺院に質問する人も多いそうですが、御供養はあくまで御本尊への御供えであり、僧侶が金額をつけることはできないため相場がないようです. また、宗派によっては住職へのお礼を渡す場合もありますが、日蓮正宗では必要ありません.
なお、以下の費用は寺院によって金額が決まっています.寺院に問い合わせると教えてくれるそうです.
日蓮正宗の葬儀の流れを理解したところで、葬儀のマナーを説明します.
日蓮正宗では法華経の教えを基礎とするため、葬儀の読経でも「妙法蓮華経」を唱えます. また、題目三唱の部分では参列者全員で「南無妙法蓮華経」を三唱します.この三唱とは、三回連続して唱えるのではなく、二回続けて唱えてから、一拍置いてもう一度「南無妙法蓮華経」を唱えます.
「南無妙法蓮華経」には「法華経の教えに帰依するという」という意味があり、「南無妙法蓮華経」と唱えることで加護を祈り、これを受持することこそが成仏の道であると説いています.
また、「南無妙法蓮華経」の読み方は、宗派によって違いがあるのですが、日蓮正宗の厳密な読み方は「なんみょうほうれんげきょう」となります.
日蓮正宗では、焼香の作法と回数が厳密に定められています.回数にこれといった決まりがない宗派もありますが、日蓮正宗の焼香は以下の方法が正しいとされています.
はじめに、遺族と祭壇に一礼をします.その後、額に押しいただきながら焼香を3回行い合掌し、最後にもう一度、遺影に向かって一礼をします. このように焼香が3回と決まっている点が特徴です.また、合掌する際、数珠は掛け房が下に来るように左手で持ち、手を合わせるようにしましょう.
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定番は、しきみと果物、お線香とされています.生花は避け、しきみを供えましょう. しきみは常緑樹で、いつか枯れてしまう生花よりも強い生命力があると言われます.また、枝や葉から独特の香りを出すので、邪気を払い、自分の周りを清め、来世で長く生きられるよう願うという意味があります.
日蓮正宗専用の仏壇を用意するのが良いとされ、日蓮正宗用仏壇の専門店もあります. 日蓮正宗専用の仏壇は仏壇の内部に厨子がついているものが正式です.この厨子の中に御本尊を祀ります. ですが、最近では、内部に厨子をつける代わりに扉を厨子型にしたものが広く出回っていて、その扉の形体から、いわゆる家具調仏壇を選ぶ人もたくさんいます.
墓石は、基本的に仏教の他の宗派と大きな違いはありませんが、所属寺院の住職がしたためたひげ文字の「妙法蓮華経」の下に家名を入れることが多いです. 墓石が完成したら、僧侶の導師のもとで供養を行います.なお、墓参りの際も、生花ではなくしきみをお供えするようにしましょう.
日蓮正宗では厳格に教義を守り、正しく冠婚葬祭を行うことが重要とされています.ただし、地域により作法の多少の違いがありますので、わからないことがある場合は所属している寺院に相談し、誤りなく行うのが良いでしょう. また、参列する予定のある人は、日蓮正宗における葬儀・結婚式のマナーあらかじめ知っておき、いざと言う時に慌てずに済むようにしましょう.
特に、葬儀・告別式に参列する時には、日蓮正宗に限らず宗教や宗派によって覚えておきたいマナーやしきたりがたくさんあります. 突然の不幸にも慌てずに参列できるよう、基本的なマナーとしきたりは覚えておきたいものですが、何よりも大切なことは故人の冥福を祈り、ご遺族の気持ちを大切にすることです.
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