出棺とは?流れ・マナーと喪主の挨拶例文
- 2024年10月03日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
故人さまのお葬式が執り行われた後、棺は火葬場へと運ばれます。この一連の流れを出棺といい、さまざまなマナーや注意点があります。
しかし、お葬式に参列したことがない場合、「出棺とは何か」「参列者は何をすべきか」など不安に感じることもあるでしょう。
この記事では、出棺の流れや手順、マナーやご火葬に同行する際の注意点を紹介します。
出棺の流れ/手順
出棺は別れ花からはじまり、精進落としで終わります。ここでは、出棺の流れや手順を紹介します。
別れ花
別れ花とは、出棺前に祭壇に供えられていた生花を棺の中に入れ、出棺時に故人さまに手向ける花です。(※よりそうお葬式では有料オプション)
一般的にはカーネーションや菊、ユリなど、白を基調とした落ち着いた色の花が使われますが、ご遺族に希望がある場合は選んで入れることも可能です。
別れ花は喪主から始まり、喪主の配偶者、親兄弟など、故人さまと関係の近い順番から行っていきます。
基本的に故人さまと深い縁のあった人が行いますが、ご遺族の希望があれば、一般の参列者も別れ花を捧げます。
また、棺の中には花以外に副葬品を入れることも可能です。中に入れることができるのは、お花や手紙のように燃えやすいもののみとなります。
可燃物でも入れてはいけないものもあるため、事前に葬儀社に確認しておくと安心です。
別れ花の儀式で棺の中に入れられない副葬品がある場合、ご遺骨と一緒にお墓に納めることもできます。
釘打ち
釘打ちとは、お棺の蓋を釘で打ちつけることです。(※現在は行わないケースが多いため、詳しくは、詳しくは葬儀社へご相談ください)
別れ花のあと、葬儀社のスタッフが棺の四隅に釘を半分打ち、故人さまと関係の深い人が小石や小槌で2回打ち込むのが一般的となっています。
ただし、スタッフが最後まで打ち込むケースもあれば、四隅の一部のみ関係者が打ち込む場合もあるため、スタッフの指示に従いましょう。
釘打ちを行う理由は、死の穢れを忌避するためです。神道では死を穢れとみなしており、棺からご遺体が出てこないように釘を打っていました。
その他、昔は土葬が行われており、ご遺体の保管状態が悪く不衛生になりやすかったことも理由の一つです。
また、土葬の際に故人さまを無事に埋葬場所まで運ぶという点でも杭打ちには意味があります。棺を運んでいるときに、棺が揺れてご遺体が転げ出てしまう可能性があるためです。
ご火葬の普及や棺の進化によって杭打ちの風習は変化しており、地域によっては行わない場合もあります。
出棺
釘打ちが終わったら、火葬場に向かうために霊柩車に棺を乗せます。
棺を落とさないように注意する必要があり、通常は親族やご友人など男性5人から6人ほどで運ぶのが一般的です。
霊柩車に棺を納める際には、故人さまの足側を先頭に向けなければならないルールがあります。これは、「故人さまが家に帰ってこないようにする」という理由です。
また、ご位牌は喪主が持ち、遺影写真は喪主の次に故人さまと深い関係の親族が持つのが一般的となっています。
ご位牌やご遺影には故人さまの魂が宿るとされているため、丁寧に扱わなければなりません。
霊柩車にはご位牌とご遺影を持った喪主と親族が乗り、他の人はバスやタクシー、自家用車で火葬場に向かうケースが多いです。
火葬場に向かわない参列者は、霊柩車が火葬場に向かって動き出した際、合掌して頭を下げて故人さまの冥福を祈りながらお送りします。
火葬
火葬場に到着したら、納めの式を行います。
納めの式とは、故人さまとご遺族の最後の別れの儀式で、火葬炉の前に棺を置いた状態で行うのが基本です。お坊さんの読経が始まり、喪主、ご遺族、親族、友人の順番にお焼香をします。
納めの式が終わると、棺を火葬炉に入れてご火葬となります。ご火葬には1~2時間ほどかかるため、知らせがあるまで一般的には控室で軽食を取って待ちます。
場所によっては売店が併設されており、参列者に軽食が用意できる場合もあるため、事前に葬儀社や火葬場に確認しておきましょう。
骨上げ
ご火葬が終わったら、次はご遺骨を箸で拾い上げて骨壺に納める骨上げを行います。
収骨や拾骨ともいい、世界では珍しい日本独自の慣習です。箸を使用するのは、故人さまをこの世からあの世に橋渡しするという意味が込められています。
骨上げには、長さがそろっていない竹製と木製の箸を一本ずつ使用するのが一般的です。異なる箸を使用するのは、お葬式を日常の反対の世界と捉える「逆さごと」に由来しています。
骨上げは男女でペアを組んで、骨上げ箸を使って1片~2片の骨を骨壺に納めます。
骨上げの順番は、喪主からはじまり、ご遺族、親族、友人のように、故人さまと関係の深い順番から行うのが基本です。
ご遺骨は、生きている時と同じく足が下になるように、骨壺には足から腕、頭蓋骨と下から上に拾いあげていきます。
頭蓋骨を納めたあとは、最後に喪主が喉仏を骨壺に納めます。喉仏を最後に納めるのは仏様が座禅を組んだ姿に似ているためですが、地域差もあるため、スタッフの指示に従いましょう。
還骨法要
還骨法要は、ご遺骨になった状態の故人さまが自宅に戻ってきたところで、ご供養するために行う儀式です。宗派によっては、還骨勤行や安位諷経と呼ばれる場合もあります。
火葬場で骨上げが行われて故人さまが骨壺に納められたら、その後は自宅へと戻されます。
自宅に帰ってきたご遺骨は、後飾り祭壇にご位牌やご遺影と共に安置され、お坊さんが読経を行うのが一連の流れです。
後飾り祭壇は、ご遺骨を一時的に安置するために用意します。中陰壇や自宅飾り、後飾りと呼んでいる地域もあります。
四十九日まで故人さまを偲ぶためのものであり、納骨法要のためだけに用意されるわけではありません。
また、還骨法要の目的は、ご遺骨になって自宅に戻ってきた故人さまをご供養することです。初七日法要を繰り上げ、一緒に行う場合もあります。
精進落とし
精進落としは、初七日法要やご火葬後に設けられる会食です。お斎やお清めと呼ばれることもあり、仏教の考え方にルールがあります。
昔は故人さまがお亡くなりになった際、四十九日法要まで肉や魚を使用しない精進料理を食べるのが一般的でした。
本来、精進落としとは四十九日が明けたあとに普通の食事に戻すことです。
しかし、最近は参列者や世話役などお葬式でお世話になった方をもてなす意味合いが強くなっています。
精進落としは以下の順番で進んでいきます。
- 開始の挨拶
- 献杯
- 合掌または黙とう
- 会食
- 締めの挨拶
近年は風習の変化に伴い、初七日法要を終えた後すぐに精進落としを行うケースも多いです。
ライフスタイルの変化で、お葬式以外にご遺族や親族が集まることも難しくなってきており、初七日法要をお葬式と合わせて行う場合もあります。
また、地域やお葬式の時間帯によっては、ご火葬の最中や火葬場から会場に戻ったタイミングで精進落としを行うこともあります。
出棺時の喪主の挨拶例文
喪主はお葬式を行うにあたって様々な場面で挨拶することになりますが、準備などで忙しく、挨拶の内容を考える余裕がありません。
また、はじめて喪主となった方は何を言えばいいのか分からなくなるでしょう。
出棺時の挨拶例文を紹介しますので是非参考にしてください。
挨拶例文
「遺族ならびに親族を代表いたしまして、ご挨拶を申し上げます。
本日はご多用中のところ、わざわざご会葬いただき、誠にありがとうございました。
おかげさまをもちまして、葬儀(告別式)も滞りなく済み、これより出棺の運びとなりました。大勢の方にお見送り頂いて、故人もさぞ感謝していることと存じます。
残された私どもも、故人の遺志を継いで一層頑張っていきますので、生前と変わりなくご指導を賜りますようお願い申し上げます。
本日はありがとうございました。」
「本日はお忙しい中、(続柄、故人名)の葬儀にご会葬くださいまして、誠にありがとうございます。
故人も皆様のご厚情にさぞ喜んでいることと存じます。
(続柄)は、(病や事故など)で病院に駆けつけ入退院を繰り返していましたが、残念ながら帰らぬ人となりました。もう(続柄)に会えないのは胸が詰まる思いになります。
(続柄)に代わりまして、生前賜りましたご厚情に深く感謝申し上げてのご挨拶とさせていただきます。」
出棺時のマナー
火葬場に行かないお葬式の参列者にとって、出棺は最後の儀式です。
出棺にはさまざまなマナーがあるため、マナーを守って故人さまやご遺族に失礼のないようにしましょう。ここでは、出棺時のマナーを紹介します。
出棺の儀式へ参列
お葬式に参列した際には、出棺の儀式に参列するのがマナーです。
地域によっては、お焼香が終わったら退出できる場合もありますが、出棺は故人さまと最後のお別れの場です。できれば出棺に立ち会って、故人さまを見届けましょう。
出棺の儀式では、霊柩車が動き出したら合掌して頭を下げて見送ります。そのあとは静かに退出しましょう。
どうしても予定があって立ち合いができない場合は、ご遺族にその旨を伝えておくのもマナーです。また、お坊さんの読経中は途中で退出しないように注意しましょう。
一方、お葬式の参列ができなかった場合は、出棺だけ立ち会うことも可能です。お葬式に遅れて参列する場合は、ご遺族にも事前に伝えておきましょう。
服装
出棺の服装は、お葬式と同じ喪服です。
喪服を着用する葬儀・告別式のあとに出棺となるため、そのままの服装で問題ありません。注意すべきポイントは、出棺は屋外で行われることです。
お葬式の会場は冷暖房が効いていますが、屋外は夏だと暑く冬だと寒くなります。
夏ならジャケットを脱いだり、冬だと防寒着を着用したりする場合もあるでしょう。待ち時間に服装で温度調整するのは問題ありませんが、出棺の際は喪服の状態で送り出すのがマナーです。
また、雨が降っているときは傘をさしても問題ありません。その際には、派手な傘の色は避け、黒や紺など喪服の雰囲気に合わせた傘を用意しておきましょう。
透明なビニール傘も、失礼にはあたりません。
お見送り
棺が霊柩車に乗せられる際、ご遺族の代表からお礼の挨拶がある場合、静粛にして耳を傾けましょう。
故人さまを乗せた霊柩車が出発したら、一礼して手を合わせ、霊柩車が見えなくなるまで見送ります。
数珠を持っている場合は、霊柩車が出る前にあらかじめ左手に数珠をかけておきましょう。
中には、車が見えなくなった途端に話を始めてしまう人もいます。お見送りは故人さまとの最後のお別れの場であり、神聖な場です。
不要な私語はつつしみ、静かに故人さまをお見送りしましょう。お見送りが終わったあとも、会場から出るまでは大きな声で話したり、談笑したりは控えます。
ご火葬に同行する際の注意点
出棺が終わってお見送りが終わった場合、故人さまとの関係性によってはご火葬に同行する場合もあります。
ここでは、ご火葬に同行する際の注意点を紹介します。
ご火葬の流れ
出棺が終わってからご火葬までは以下の流れで進みます。
- 出棺
- 火葬場に到着
- 納めの儀式
- 火葬
- 骨上げの儀式
- 納骨法要
なお、ご遺族は骨上げが終わると骨壺に納められたご遺骨と、火葬済印が押された埋葬証明書を受けとります。
埋葬証明書は四十九日後の納骨時に必要となるため、紛失しないように注意が必要です。ご遺族でない場合も、火葬場に行くと納骨法要まで同行するのが一般的となっています。
事前に親族に伝えておく
ご火葬に同行する場合、必ずご遺族にその旨を伝えておきましょう。
ご火葬への同行については、「どこまでが同行して、どこまでは行かない」という線引きは明確に決まっていません。
しかし、一般的には故人さまのご遺族や親族以外は火葬場に同行しません。
火葬場までのバスや車は、ご遺族や親族の数で決められている場合もあります。事前に伝えずに火葬場に同行すると、定員オーバーになり、スムーズに火葬場まで行けない可能性もあります。
そうならないためにも、事前にご遺族に対して「私も最後のお別れがしたく、ご一緒させて頂いてもいいですか?」と申し出ましょう。また、その際は交通手段は自分で手配するなどの配慮をすると、喪主への負担も軽減されます。
一方、ご遺族から同行を願われる場合もあるでしょう。予定が入っていて都合が合わない場合は、丁重にお断りしても問題ありません。
火葬場に到着したあとは、喪主やご遺族が火葬炉の近くに立つため、その後方で控えるように注意しましょう。
火葬場へ同行できない人
ご火葬に同行できない人はいませんが、慣習によって行ってはいけないとされる人もいます。ここでは、火葬場への同行を控えた方がいいといわれる人やその理由を紹介します。
子どもを亡くした親
子どもがお亡くなりになった場合、地域によってはその親は火葬場に同行してはいけない場合があります。
その理由は、昔の火葬場は整備が整っておらず、その様子が目に入ってしまって精神的な負担が大きいとされたためです。
子どもの両親に配慮するという意味合いで、火葬場に同行しないというものです。
しかし、これらはあくまでも昔の慣習によるもので、現在は子どもがお亡くなりになっても、親が火葬場に同行するケースが多くあります。
妊婦
昔の慣習が残る地域によっては、ご火葬に妊婦が同行できない場合もあります。
妊婦が火葬場に行ってはいけないといわれているのは、「お腹の赤ちゃんにあざができる」「赤ちゃんをあの世に連れていかれる」などが理由です。
しかし、このような諸説の背景には、「辛い光景を新しい命を宿している妊婦に見せられない」という気遣いもあるとされています。
現在では、妊婦が火葬場に行ってはいけないとされることはほとんどありません。ただし、体調的な面での負担もあるため、体調を考えながら同行を検討しましょう。
体調面で不安がある
高齢者や体が弱い人など、体調面で不安がある人も火葬場に行ってはいけないとされています。
これはしきたりや慣習というよりも、火葬場が郊外から離れた場所に位置していることが主な理由です。
体調を崩したときに、近くに病院がなかったり、救急車の到着が遅れたりするリスクもあります。
もちろん、体が弱い人や高齢者がご火葬に同行してはいけないわけではありません。体調に不安がある場合は控えた方がよいでしょう。
地域の慣習をお寺に確認しておく
ご火葬のルールについて、地域の慣習をお寺や親族に確認しておくと安心です。
地域によってはお葬式の前にご火葬を行う「前火葬」を行うところもあります。全国的にみると、後火葬が一般的であるものの、移動が難しい地域や暖かい地域だと前火葬も珍しくありません。
例えば、暖かい地域だとご遺体をきれいにしておける保存期間が短く、前火葬を行う場合もあります。
また、火葬の方法や順番だけでなく、同行できる人や参列の独自ルールが設けられているケースもあります。
お葬式の準備がほとんど終わってから慣習に気づき、準備に変更が必要になった場合、追加費用がかかるような場合もあるため注意が必要です。
地域の慣れない慣習に慌てないためにも、気になる場合は事前に確認しておきましょう。
まとめ
この記事では、お葬式で知っておきたい出棺のルールや注意点、マナーを解説しました。
出棺はお葬式のあと、棺を火葬場に移動するまでの一連の流れです。出棺は別れ花や杭打ちなどを経て行われ、ご遺族や親族は火葬場に向かいます。
ご火葬に参列しない人にとって、出棺は故人さまとの最後のお別れの場です。できるだけ出棺には参列し、故人さまをお見送りしましょう。
お葬式に参列する前は、出棺の流れを把握し、準備やご遺族に連絡事項がある場合は早めに済ませておくことも大切です。
よりそうお葬式では、専門相談員がお葬式に関連するお悩みについて、24時間365日体制でお客様をサポートしています。お葬式について不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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