死亡診断書の発行手続きですべきこと
- 2024年12月02日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
家族の中でお亡くなりになってしまった方がいる場合に、遺族は親類縁者や知人へ亡くなったことの報告や、葬儀の準備、遺産相続手続きの準備と、慌ただしく取り掛からなければなりません。
しかし、遺族はその前にやらなければならないことがあります。
それが、医師から「死亡診断書」を記載してもらうことです。この書類がないと市区町村役場に、死亡届を出すことができず、葬儀や火葬の手続きに支障も出てきます。
ご家族の誰かが亡くなった場合に、まず取得しなければならない書類がこの死亡診断書です。
今回は、この死亡診断書について説明します。この記事では死亡診断書の手続きから提出までの流れをご説明します。
死亡診断書とは?
死亡診断書とは、医師や歯科医師のみが作成できる、人の死亡を医学的かつ法律的に証明した書類のことです。この診断書がなければ、死亡が認められず法的には生存している可能性があると解釈されてしまいます。
つまり、実際に亡くなっているにもかかわらず、故人の火葬・埋葬ができないばかりか、故人への課税や公共料金の支払い、年金の支給が行われることになるのです。
それが原因で、不必要な費用負担や年金の不正受給といった事態に発展する可能性があります。そのため、このような事態を避けるために死亡診断書が必要になります。
死亡診断書はほとんどの場合、故人の死亡を確認した医師が作成します。この診断書には、故人の氏名や性別、死亡した場所・時刻・原因、そして死亡に至るまでの過程が詳細に記載されます。
また、診断書の用紙は、各医療機関や葬儀社、各地方自治体(市役所の戸籍課)等から取得します。通常ならば医師が持っている場合がほとんどなので、速やかに発行してもらいましょう。
死亡診断書と死体検案書の使い分け
死亡診断書と死体検案書は同じ書類で作成します。しかし、医師の診療管理下にある患者が、生前に診療していた病気やケガに関連して亡くなったと認められる場合は「死亡診断書」が交付されます。一方、それ以外の場合は「死体検案書」が交付されることになります。
この「検案」とは、故人の死因をしっかり調べるということです。検案は具体的には次のようなケースで行われます。
●故人が医師の診療を受けずに死亡した場合
●故人は医師の診療を受けていたが死因不明の場合
●故人が医師の診療中の病気・ケガと異なる他の原因で死亡した場合
●故人が発病または死亡時の状況に異常が認められる場合
●事故死、転落死、溺死、焼死等の不慮の死、自殺や他殺等
医師が遺体を検案して、故人の死亡とその原因を確認し不審な点がないと判断できたら、死体検案書が作成されます。
しかし、医師は交付する書類が死亡診断書であっても死体検案書であっても、故人の死因に不審な点を発見した場合、所轄警察署に届け出る必要があります。
また、事故死や他殺等の場合も同様です。その際には、捜査機関による検視等の結果を踏まえ、警察の監察医(警察医)により死体検案書が交付されることになります。
【合わせて読みたい】
詳しくは「死体検案書の書き方と基礎知識」もぜひご参照ください
死亡診断書(死体検案書)の記載内容
死亡診断書と死体検案書は用紙が同一であるため、医師が死亡診断書を発行する場合、死体検案書の記載に該当する部分を全て二重線で消します。一方、死体検案書を発行する場合なら、その逆で死亡診断書に該当する部分を二重線で消すことになります。
死亡診断書と死体検案書の記載内容としては次のような項目があります。
●[氏名・性別・生年月日]
故人の氏名、性別、生年月日が記載され、生まれてから30日以内に亡くなった乳児は、出生の時刻も記載されます。
●[死亡したとき]
死亡した年月日の他、時刻も記載されますが、この時刻について死亡確認時刻ではなく、一部不明の場合でもわかる範囲内で、故人が実際に死亡した時刻が記載されます。
また、故人が医師の診療を受けずに死亡する等して、死亡年月日が全くわからない場合「不詳」と記載されます。
●[死亡したところ、およびその種別]
死亡した場所の種別、住所が記載されます。死亡した場所の種別は、病院・診療所・介護老人保険施設・助産所・自宅等があげられますが、自宅以外の施設で亡くなった時は、施設名が記載されます。
●[死亡の原因]
死因に関係する手術の有無とその年月日、解剖の有無も記載されます。
●[外因死の追加事項]
病死や自然死を除く、事故死・殺害・自殺等のいずれかに当たる場合には、傷害が発生したとき、傷害が発生したところの種別、傷害が発生したところ(都道府県名・市区町村名)、手段および状況(例えば、変死体の場合、頭部に打撲痕があれば殺害された可能性が高いのか、自分から頭を打ち付けた事故死の可能性が高いのか)が記載されます。
●[生後1年未満で病死した場合の追加事項]
母子健康手帳等を参考に、出生時体重、単体・多胎(双子以上)の別、妊娠週数、妊娠・分娩時における母体の病態または異状、母の生年月日、前回までの妊娠の結果が記載されます。
●[その他特に付言すべきことがら]
この欄は、その他補足すべき内容があるときに記載します。
死亡診断書の発行手続き
遺族は故人が亡くなったことを証明するために、速やかに医師から死亡診断書を発行してもらう必要があります。
以下では、発行してもらう場合の費用・方法等を説明します。
発行手続きに必要な費用
死亡診断書は、患者の死亡を証明する公的な書類ですが、発行料金は法定されていません。そのため、各医療機関・施設によって料金は様々です。なお、死亡診断書は、保険診療というわけではないため、公的医療保険制度は適用されず、全額自己(遺族)負担となります。
公的医療機関
国立・公立の病院や、国立・公立大学の付属病院のような公的医療機関の料金は、3,000円~5,000円が目安とされています。
一方、私立の医療機関の場合は料金の幅もありますが、公的医療機関よりも若干高めの料金になると考えておいた方がよいです。
介護老人保険施設等
介護老人保険施設等でも医師から死亡診断書を発行してもらうことができますが、同施設の料金は5,000円~10,000円くらいが目安といわれています。
死体検案書の場合
死体検案書を作成してもらう場合には注意が必要です。なぜなら、医師により死因を詳しく調べられることになるため、それだけ割高な料金がかかっていまします。
死体検案書の料金の目安は、30,000円~10万円と死亡診断書の料金よりもかなり高額になります。遺族にとっては予想外の出費になることもあります。
生前に療養中の傷病が死因の場合は医師から貰う
ご家族が療養中に入院している医療機関で亡くなった場合には、担当医師(かかりつけ医)に速やかに死亡診断書を書いてもらいます。
では、病院や診療所で診療はしていても、故人が通院するだけで入院していなかった時や、退院してから容態が急変して、自宅や他の施設等で亡くなったという場合は、医師より死亡診断書を書いてもらえるのでしょうか?
以下のケースを考察してみます。
診察から24時間以内に亡くなった場合
故人が自宅等で亡くなった場合、救急車で担当医師がいる医療機関に運ばれ、その担当医師から死亡を確認してもらい事件性もなければ、その医師から死亡診断書を速やかに記載してもらえます。
しかし、担当医師がいない医療機関に救急搬送された場合や、事件性が疑われる場合には、警察機関で検視等が行われ、警察の監察医より死体検案書が交付されることになります。
診察から24時間経過して亡くなった場合
診察から24時間経過後に故人が亡くなった場合でも、その担当医師が改めて死後診察を行い事件性がなければ、その医師から死亡診断書を交付してもらえます。
この場合も、担当医師がいない医療機関に搬送されたり、事件性が疑われたりするケースでは、警察機関で検視等が行われ、死体検案書が交付されます。
旅先や海外で亡くなった場合
主治医のいる医療機関または自宅から遠く離れた旅先で亡くなった時には、現地の医師に死亡検案書を作成してもらいます。ただし、事件性が疑われる場合には警察機関による検視等が行われることになります。
海外で亡くなった時には、現地の「役所・行政官庁」で死亡証明書を発行してもらいます。
現地の医師が証明書を記載しただけでは、現地で遺体を火葬する場合や、日本に搬送して火葬を行う場合に、書類の不備を指摘されるおそれがあります。
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死亡診断書には医師の自筆署名か印鑑が必要
死亡診断書または死体検案書は、故人の氏名・死亡時刻・死亡原因等を記載するだけではなく、医師による診断(検案)が行われたことを証明してもらうために、自筆署名・押印が必要となります。
そのほか、診断年月日および診断書発行年月日の記載も必要です。万が一にも記載忘れのないように、診断書を取得した遺族は忘れずに自筆署名があるか、押印されたかを確認しておきましょう。
死亡届と共に市区町村の役所/役場に提出
死亡届は、死亡診断書と同一の書類となっています。死亡診断書の部分は医師または歯科医師のみが記載しますが、死亡届の部分は遺族が記載します。
死亡届は、原則として故人が亡くなった後7日以内に提出する必要があります。もし、故人が国外で死亡した場合ならば、その死亡を知った日からの3ヶ月以内に提出することになります。
この届出は、死亡した場所、故人の本籍地、届出人の所在地の市区町村役場に、24時間365日いつでも提出が可能です。
なお、提出期間ギリギリに提出してもペナルティはありませんが、故人の供養をスムーズに行うために、できるだけ速やかに手続きを行いましょう。
まとめ
ご家族が亡くなった際には、不慮の事故の場合はもとより闘病生活を看護していた場合でも、親族の悲しみ・喪失感は計り知れないものです。
しかし、その感情を何とか静めて、冷静に死亡診断書の取得をはじめとした手続きを進めることは、その後の葬儀・告別式を支障なくとり行い、故人が安心して天国へ逝けるように供養するための、必要な準備と言えます。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
現在、病院で亡くなる方は約7割ですので、その他は自宅や介護施設等で亡くなっています。介護施設で亡くなった場合も、自宅と同様、かかりつけ医がいれば死亡診断書はスムーズに交付してくれます。突然死や疾患と関係ない原因で亡くなった場合は警察の検視がはいり、警察医(監察医)によって検案が行われ死体検案書が交付されます。