法事・法要・葬儀、お布施の金額相場ってどのくらい?渡し方は?
- 2024年10月25日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
「お布施の相場はいくら位なのだろう?」
「お坊さんにどう渡したら良いのだろう?」
この記事にたどり着いた方は、法事や葬儀を直前に控え、僧侶(お坊さん)へのお布施を用意しなければならないものの、金額や渡し方でお悩みではないでしょうか。
本記事は、そんなお布施に関する悩みを抱えたあなたのために、地域別のお布施の相場や平均金額から、葬儀・通夜、初七日や一周忌などの各法事・法要に関するお布施の相場、さらにはお布施金額を抑える方法についてご紹介します。
本記事を読んでいただければ、お布施に関する悩みを解決し、法事や葬儀に安心して臨めます。
【大前提】お布施金額に決まりはない
はじめにお伝えしておきたいのは、お布施金額に決まりはない、ということです。
お布施の金額についてお寺に相談してみると、金額を明示するところと、「お気持ちでよい」とするところとに分かれます。どうしてお寺は、こちらを迷わせるような答えをするのでしょうか。
お布施とはお経に対する謝礼や対価という考えではなく、そのため定価というものがありません。それは、お寺や神社へのお賽銭や、災害地への寄付の金額などを自分の心に照らしあわせて決めるのに、本質的には似ているでしょう。
私たちはお布施をお経を頂いた僧侶の懐に入るものと考えがちですが、実際には僧侶の所属するお寺のご本尊に捧げるものになります。そして、ご本尊へ捧げられたお布施を用いて、寺院の維持や活動を行い、社会に還元していくのが仏教におけるお布施の本来のあるべき姿です。
またお家とお寺とのお付き合い具合(毎月の祥月命日に法要を依頼していたりお寺の行事に参加しているのか、葬儀や法要の時だけの付き合いか)によって変わることが多くあります。
実際に、「金額はいくらでもよいですよ」「お気持ちでどうぞ」と答える僧侶はたくさんいます。そう言われた側はいくら包むべきか迷ってしまうのですが、この迷いに向き合う営みこそがある意味では仏教における修行なのです。
私たちはお金に強く執着しており、このお金を手放すのはとても気が引けることです。しかしその執着を故人の供養のためにどれだけ手放せるか、その心の働きを仏教では大切に考えます。
一方で、お布施は多ければいいというものでもありません。故人のためを思って無理な金額を包むことで苦しい想いをすると、故人も同様に心苦しく思うことでしょう。
金額の多寡によって僧侶の供養の内容が変わるということはあってはならないことです。自分の中にある故人への想いを形に代える、これこそがお布施の本質的な意味であり、だからこそ定額ではなく「お気持ち」なのです。
お布施の金額相場
それでは、全国のお布施の平均や地域の相場を見ていきましょう。基本的には読経料と戒名料という表現をせず、をまとめてお布施として捉えます。
葬儀のお布施の金額相場(全国の地域別)
葬儀のお布施の金額相場(全国の地域別)
日本消費者協会が行なった「第12回『葬儀についてのアンケート調査』報告書」によると、葬儀時の寺院へのお布施の全国平均は42.5万円だそうです。
2日間にまたがる葬儀のお布施の相場は、ここに読経料(枕経、通夜、葬儀、火葬場、初七日法要)や戒名料が含まれているものとみなされます。
地域別に見てみると、以下の通りです。
- 北海道 25.4万円
- 東北 34.2万円
- 関東 48.7万円
- 東京 57.2万円
- 北陸 31.6万円
- 東海 43.6万円
- 近畿 38.7万円
- 中国四国 43.7万円
- 九州 35.0万円
もちろん、すべてをこの通りに包まなければならないわけではありません。特に葬儀のお布施の場合は戒名によって金額が大きく左右されます。一般的に、戒名の階級によって次のような相場となります。
- 「信士/信女」 20万円~40万円
- 「居士/大姉」 40万円~60万円
- 「院号」+「信士/信女」 60万円~80万円
- 「院号」+「居士/大姉」 80万円~100万円
また、特に都市部では、その時限りのお付き合いの僧侶を葬儀社が紹介してくれるケースが少なくありません。この場合は、遺族の希望が反映されやすく、地域の相場より安くなる傾向があります。
ここまで見て分かるように、地域別、そして戒名の階級別にお布施の相場は大きく変動します。詳しく知りたい方は地元の葬儀社に訊ねてみることをおすすめします。
御車料と御膳料
御車料と御膳料は 5千円〜1万円が相場です。
御車料は僧侶の交通費です。市内の移動程度であれば5千円で充分です。しかし、遠方から来られる場合は、距離に見合った金額をお包みしましょう。実費としてガソリン代、高速道路代、さらには公共交通機関を使用される場合にはそうした実費も勘案して金額を決めます。
御膳料とは僧侶にもてなす食事をお金に代えたものです。本来は遺族や親族の食事の席に同席するのがならわしですから、それと同等の金額を包めば充分であり、ゆえに5千円~1万円が妥当だと言えます。
喪主が送迎用の車両を手配したり、食事を用意する場合には、御車料や御膳料は不要です。
葬儀のお布施 渡し方やタイミング
葬儀のお布施は、式場の僧侶控室に出向いて手渡します。
お渡しするのは開式前のあいさつ、もしくは通夜式を終えたあとです。
葬儀・告別式あとだと、火葬場への出棺などもあり、かなり慌ただしくなってしまいます。
僧侶に手渡す際には、切手盆(漆塗りの小さなお盆)に載せて差し出します。もしも切手盆がなければ代わりのお盆、あるいは袱紗の上に置いて、文字の正面が僧侶の方に向くようにして差し出します。
また、お金を入れる封筒の表書きは必ず「御布施」となりますので注意しましょう。
法事・法要のお布施の金額相場
法事・法要のお布施の相場は、3万円〜5万円です。
法事・法要を執り行うということは、先祖代々を通じて、そのお寺とのお付き合いがある場合が多いため、金額に困った時は家族や親戚に相談しても良いでしょう。中にはお布施の金額を一覧表にして示しているお寺もあります。迷ったときにはお寺に相談してみましょう。
また、お寺ではなく自宅や式場で法事をする場合、会場まで僧侶が出向かなければならないため、御車代を用意するのが一般的です。また、葬儀後の会食の用意がないのであれば、御膳料を用意します。ともに5千円~1万円が相場です。
初七日(しょなぬか/しょなのか)
亡くなってから初めて迎える法要が初七日法要です。
正式には「しょなぬか」と読みますが、「しょなのか」と言われることも多いです。
最近では葬儀式の後に続いて初七日法要が執り行われることが多く、そのため、葬儀のお布施の中に初七日のお布施も含むのが一般的です。
葬儀当日に初七日法要を行うのは、葬儀で集まった家族・親族がもう一度初七日に集まることが大変なためです。
地域の慣習やお寺の考え方によっては、初七日法要を葬儀当日ではなく、本来の形に則って、きちんと死後7日目に執り行うところもあります。その場合は別にお布施を用意しなければなりません。相場は3万円程度です。
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初七日法要の詳しい説明はこちら
四十九日(しじゅうくにち)
四十九日法要は、故人の供養にひと区切りをつける、とても大切な法要です。
お布施の相場は、3万円~5万円程度です。お布施の他に、自宅や式場で法要を執り行う場合は御車代を5千円~1万円程度、僧侶が会食を辞退された場合は御膳料を5千円~1万円程度準備します。
初七日以降、没後七日ごとに二七日(ふたなぬか)、三七日(みなぬか)、四七日(よなぬか)、五七日(いつなぬか)、六七日(むなぬか)と続き、七七日(なななぬか)がいわゆる四十九日のことです。
初七日から四十九日の期間を中陰と呼び、亡き人は49日をかけて仏さまの世界に向かうと考えられています。故人がよりよい世界に行けるよう、七日ごとに家族や親戚が集まり、僧侶招いて供養するのが習わしで、いまでも地域によっては七日ごとに僧侶が自宅にお参りをします。
そして、四十九日で満中陰となり、故人は晴れて仏さまの世界に生まれ変わり、その家は「忌明け」を迎えることとなります。
(浄土真宗は四十九日を待たず、亡くなった直後に成仏するとされています)
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納骨
納骨は法要にあわせて行うことが多いため、基本的には法事のお布施の中に納骨に対してのお布施が含まれているものと考えてよいでしょう。もしも法要のお布施と分ける場合は、1万円~3万円が相場です。
一般的な納骨の流れは次の通りです。
- お寺や自宅などで法要
- お墓に移動して納骨式
- 自宅や料理店などで会食
納骨式までに、石材店に依頼して墓石に戒名などを刻んでおくのがならわしです。遅くても納骨式の1か月前までには石材店に連絡しましょう。墓石彫刻の相場は5万円前後です。
また、お墓の形状によっては、石材店に納骨の手伝いをしてもらわなければなりません。費用相場は1~2万円です。
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初盆(新盆)
四十九日法要後に初めて迎えるお盆を「初盆」(はつぼん)、「新盆」(にいぼん)と呼びますが、呼び名は地域で違うようです。四十九日法要前にお盆が来る場合は、その翌年が初盆となります。
毎年お盆になるとお坊さんが自宅の仏壇や盆棚(お盆時期専用の祭壇)にお参りに来てくれますが、初盆のお参りは特に大切なものとされ、自宅あるいはお寺の本堂で行ないます。お布施の相場は3万円~5万円程度です。
初盆の期間は地域によって違います。7月13日~15日(新のお盆)に行う地域と、8月13日~15日(旧のお盆)に行う地域の大きく二つに分かれます。現在では全国的に8月盆が浸透しています。
初盆の準備は四十九日法要と同じく、お寺様・会食・引き出物の手配が必要です。それ以外の準備が仏前に飾る提灯や、盆棚、精霊馬(茄子やキュウリで作った馬のこと/しょうりょううま)、送り火、迎え火の準備があります。精霊馬にはご先祖様が帰ってくる時に馬に乗り、牛には荷物を引かせる意味があります。
送り火、迎え火は提灯に灯す火をご先祖様に例えて自宅に連れて帰るという意味があります。これらの準備も地域によって違うようです。実家が遠い方は実家の近くのご親戚に確認を取った方が良いでしょう。
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一周忌
一周忌は亡くなってから満1年で行う法要です。一周忌法要のお布施の相場は3万円~5万円程度です。お布施の他にお車代を5千円~1万円程度、僧侶が会食を辞退された場合は御膳料を5千円~1万円程度準備します。
亡くなった月日と同じ「祥月(しょうつき)命日」に執り行うのが基本ですが、この日が平日で親戚が集まりにくい場合、祥月命日より手前の土日祝日など集まりやすい日に行うのが一般的です。
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三回忌
三回忌は亡くなってから満2年で行う法要です。三回忌法要のお布施の相場は1万円~5万円程度です。お布施の他にお車代を5千円~1万円程度、僧侶が会食を辞退された場合は御膳料を5千円~1万円程度準備します。
なぜ「二回忌」ではなく「三回忌」なのかという、年忌は数え年で数えるからです。数え年とは生まれた時を1と数え、以降元旦を節目に数をひとつ増やしていく数え方です。
2023年に亡くなった人の場合、この年が一回忌、2024年が二回忌(一周忌と呼ぶのが一般的)、2025年が三回忌となり、以降、七回忌、十三回忌と続いていきます。
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七回忌以降
七回忌は亡くなってから満6年目の命日に合わせて行なわれます。以降、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌と続き、三十三回忌で故人様の供養は完成されると考えられています。
七回忌法のお布施の相場は1万円~5万円程度です。これ以降の法要も同額を包めばよいでしょう。また、お布施の他にお車代を5千円~1万円程度、僧侶が会食を辞退された場合は御膳料を5千円~1万円程度準備します。
七回忌以降、いつまで法事をするかは家族の考えや地域の風習が大きく反映されます。伝統的な習俗が残る地域では三十三回忌まで行うことも少なくありませんが、都市部や、家族や親戚間の関係が希薄な場合には七回忌や十三回忌を最後にする、という家もあるようです。
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お盆参り(棚経)
毎年のお盆のお参り(「棚経」とも呼ぶ)のお布施の相場は5千円~1万円です。
初盆の時ほど大掛かりなお供え物は必要としませんが、ご先祖様を迎えるために心のこもった準備をします。
盆提灯、精霊馬などを準備して仏間を飾ります。13日にお墓参りを済ませた後、そのローソクの火を提灯に移し自宅に帰り、お仏壇のローソクに火を移します。15日にお仏壇のローソクの火を提灯に移し、お墓まで行き、送り火迎え火の終了となります。
お彼岸
春と秋のお彼岸の時期にお寺様にお経をあげてもらった場合、お布施をお渡しします。彼岸の時期は春分の日、秋分の日の両日を中日として前後3日を合わせた7日間となります。
お寺様で行われる合同のお彼岸法要に参加する場合は3千円~1万円程度、個別でお寺様に法要を依頼する場合は3万~5万円程度が相場です。
まとめ
ここまで、葬儀や法事など、さまざまな場面におけるお布施の相場や渡し方について解説してきました。この記事の冒頭でも述べたように、大前提としてお布施に決りはありません。どうしても経済的に苦しい場合など、個別に対応して下さるお寺もたくさんあります。
まずはこの記事を目安にお布施の金額を検討してみて、それでも迷う時にはお寺や葬儀社に相談してみましょう。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
お布施の額の目安については、提示することに難色を示したり、公開されている情報について否定的な意見も少なくありません。しかし、一方で「あいまい」であることに不安を抱える人が多いのも事実です。「まったく見当がつかない」「どうしたら良いのかわからない」とう方にとって、こういった情報は参考になります。