長距離ご遺体搬送の流れと費用は?遠方(県外)や海外で死亡の場合
- 2024年11月28日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
大切な方が自宅から離れた遠方でお亡くなりになった場合、ご自宅や斎場までどのように故人を連れて帰ればよいのでしょうか。
旅先や赴任地、ひとり暮らし、県外を移動中など、一般的に遠隔地でお亡くなりになるのは、予期せぬ場合の突然のご不幸であることが多く考えられます。 ご家族の皆様は心配なことも多いでしょう。
本記事では県をまたぐような遠方からの長距離搬送や、日本人が海外でお亡くなりになった場合の日本への遺体搬送について解説します。
いざというときに慌てないためにも、遠方から長距離で故人を連れて帰る際の基礎知識を押さえておきましょう。
目次
長距離の遺体搬送はどこに依頼したらいい?
県外など離れた地域からご遺体を移動するには、現地の葬儀社やご遺体運搬専門の事業社に依頼をすることが一般的です。
専用寝台車でお迎えし、陸路やフェリーで輸送します。
亡くなられた場所によっては、空輸(飛行機での搬送)が必要な場合もあります。
遠方(県外)からの遺体搬送の流れ
死亡診断書や死体検案書を発行してもらう
病院でお亡くなりの場合は志望診断書
病院で死亡の場合、すぐに医師に死亡診断書を書いてもらいます。
そして病室から霊安室に安置されますので、現地の葬儀社やご遺体運搬専門の会社に依頼し、霊安室から自宅や斎場などの安置場所まで搬送します。
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死亡診断書についての詳しい説明はこちら
病院以外でお亡くなりの場合は死体検案書
病院以外や自宅療養中以外の死亡の場合、警察医により死体検案書が発行されます。
死体検案書が書かれるまでは遺体を動かしてはいけません。(場合によっては司法解剖が行われることもあります。)
つまり、死亡診断書や死体検案書があれば、現地の葬儀社またはご遺体搬送専門事業社を決めて連絡し、搬送してもらうことができます。
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病院から葬儀社を紹介される場合も
病院から葬儀社を紹介されることもあります。
あらかじめ葬儀社を決めている場合は断っても問題ありません。
病院の霊安室には一般的に半日ほどまでしか安置できないため、葬儀社が決まっていない場合は急いで手配する必要があります。
陸路でのご遺体搬送の場合
現地の葬儀社またはご遺体搬送専門会社を決めて連絡し、ご遺体のある場所へお迎えに来てもらいましょう。
専用ストレッチャーや専用の布団が搭載された寝台自動車などが使われます。
もちろん棺に納棺した状態での搬送も相談できます。
費用は輸送距離や移動経路により変動
中距離や長距離になるとご遺体搬送の料金(費用)は輸送距離や移動経路(高速道路、フェリー、航空機)や必要な備品(棺の有無やドライアイスなど)により変動します。
また早朝や深夜は割増料金になったり、冬場の割増料金が発生することもあります。
専門事業社によっても料金は異なる
基本運賃の例では、東京ー大阪を高速道路利用で約7時間、費用は19万円前後です。
東京ー札幌では青森港~函館港のフェリー乗船があり、40万円以上となります。
上記はあくまでも一例です。
葬儀社やご遺体専門事業社により、金額には大きく差が出ることもあります。
必ず依頼先へご確認ください。
ごく近距離のご遺体搬送については下記でご紹介しています。
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近距離のご遺体搬送についての詳しい説明はこちら
航空機のご遺体搬送(空輸)がある場合
基本的な知識として、飛行機で輸送の場合はご遺体は「貨物扱い」となります。
もちろん丁重に扱われますが、規定としての貨物という意味です。
コンテナを貸し切り、棺を固定して運びます。
納棺済みであることが必要
航空機にご遺体を乗せるには棺への納棺済みであることが必要で、葬儀社に防腐処置(エンバーミング)後に納棺してもらいます。
死亡診断書(または死体検案書)を空輸を手配してくれる葬儀社に渡し、出発空港まで移送してもらい、空港貨物所(カウンター)で手続き・出発します。
家族が同じ飛行機で付き添いたい場合は?
家族が同じ飛行機に搭乗したい場合は、予約した航空便を葬儀社に確認し、家族自身で搭乗予約や手続きをすることが多いようです。
ご遺体搬送にあたり、航空会社が家族の搭乗があるか確認したりなど、フォローしてくれることもあります。 希望があれば相談してみましょう。
飛行機の到着地では、到着地の葬儀社が引き継いで自宅まで(安置場所まで)運ぶことが一般的です。
ご遺体搬送は専門事業社に任せた方が安心
ご自身で手配されたいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、随所で特殊な対応が必要になることが多く経験者に任せた方が安心です。
きちんと遺体運搬の認可を受けた葬儀社やご遺体運搬専門の事業社へ依頼することをおすすめします。
航空機でのご遺体搬送費用
総重量と距離で費用は変動する
航空運賃は総重量と距離により異なります。
ご遺体や棺やドライアイスなど備品類も含めた総重量で変動します。
実際には飛行機の搬送代以外もかかる
また出発空港までの搬送、到着空港からの搬送、それぞれの費用がかかることになります。
ある事業社の例ですが、東京都内から那覇空港到着までの料金はおよそ25万円程度です。
那覇空港から安置場所までの移送費がさらに追加でかかるため、総額で35万~40万が搬送総額の目安でしょう。
葬儀社やご遺体運搬事業社により、金額には大きく差が出ることもあります。
必ず依頼先の担当者へご確認ください。
海外から遺体を日本へ搬送する方法
海外での死亡は外務省から連絡が入る
家族が海外への移住や転勤で暮らしていたり、留学や旅行中の不慮の事故や病気などでお亡くなりになった場合の対応方法です。
日本人の方が海外で死亡すると、現地の警察から日本大使館や日本領事館へ連絡が入り、そこから日本の外務省宛てに連絡、外務省が遺族へ連絡します。
その後は外務省や現地の大使館または領事館と相談しながら進めていきます。
ご遺体はまずは空輸業者の保管施設など、安置してもらえる場所へと預けられます。
遺族が現地に向かい、迎えにいく
もし連絡が来たら家族の誰が現地に向かうかを決めて、航空券や宿泊券を手配して早急に出発しましょう。
ご遺族で手配しますが、旅行代理店に手配を依頼しても良いでしょう。
パスポートの用意がない場合は特例措置で、数時間で発行してもらえます。
必要な手続きは国により異なる
海外から日本へ遺体を搬送する手続きについて、必要な手続きは国により異なってきますので、現地の日本大使館や日本領事館に相談しながら進めます。
またご遺族が現地へ行けない場合には、現地の大使館または領事館の方が現地の葬儀社と連携して行いますので指示に従いましょう。
※海外搬送サービス会社にお願いし、大使館または領事館とのやりとりから搬送までを委託することもできます。
現地で用意する書類
基本的に現地で3種類の書類を用意し、航空会社または旅行代理店に提出して航空貨物運送状を発行してもらいます。
①現地の医師の「死亡診断書」に、日本大使館・領事館がサインしたもの
死因が事故死や自殺、他殺などの場合は、監察医による死体検案書も用意する必要があります。
どちらも日本での死亡届提出に必要です。
②現地の葬儀社に依頼した、防腐処理(エンバーミング)証明書
③故人が火葬された事実が記載されている火葬証明書の類
海外で火葬した焼骨を埋蔵する場合は、改葬とみなされ、焼骨を安置している地域の自治体または死亡届を受理した市町村長によって改葬許可証が発行されます(令和2年11月厚生労働省の通達による)。
故人が火葬された事実が記載されている火葬証明書、火葬執行証明書などを死亡届と一緒に自治体に提出します。自治体によっては海外で火葬された遺骨の取り扱いに関する経験が乏しく、手続がスムーズにいかないこともあります。
その他には故人のパスポートも必要です。
通関に必要な書類も日本大使館や領事館の指示に従い、揃えましょう。
海外では現地の日本大使館や日本領事館によく相談して判断・行動します。
現地の空港までは現地の葬儀社に荷受人となってもらって、棺を空港まで移送し手続きします。
日本の到着空港からの搬送も手配する
日本の空港へ到着したら、空港からご自宅までの搬送が必要です。
予め日本の(到着地の)葬儀社か、ご遺体搬送の専門事業者に依頼しておきましょう。
搭乗予定の便名や日時などを確実にお伝えします。
海外からのご遺体搬送費用の目安
海外からのご遺体搬送費用は、もちろんどの国からかという距離にもよりますが、現地での防腐処理(エンバーミング)や空港までの搬送費なども含めて、100万円から150万円といわれます。
高額になりますので、費用内訳を事前に確認するなど必要に応じて行いましょう。
またぜひ保険も確認しましょう。
旅行保険やクレジットカードの付帯保険で補填できる場合もあります。
必ず確認してみてください。
日本国内でのご遺体搬送については既述を参考にしてください。
まとめ
遠方からのご遺体搬送について、手続きや陸路や飛行機での空輸の流れなどをご紹介しました。
また海外から日本へのご遺体搬送は、それぞれの国により手続きが異なりますので、外務省、現地の大使館や領事館の指示に従うことが基本になります。
費用が高額になることも確かです。
その時が来なくては、ご遺体搬送について知ることはあまりないと思いますが、海外でとなるとさらに複雑ですから、この記事が大まかな流れを知っておく機会になれば幸いです。
- 家族が亡くなったその時からすべき13のこと
- 通夜の流れ | 一般的な葬儀の場合
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お葬式手配の「よりそうお葬式」
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
海外で火葬された遺骨の書類上の手続きについて、現在の日本では法律がありません。これまでは墓地埋葬等に関する法律を独自解釈し、自治体によって対応が異なっていたのですが、令和2年11月に海外で火葬した焼骨については改葬として対応する旨の通達が厚生労働省より出されています。