復氏届とは?必要な書類、書き方、メリット/デメリット
- 2024年11月27日
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結婚をすると配偶者の姓になりますが、配偶者が死亡すると残された配偶者は、そのままの姓でいるか旧姓に戻すか自由に選べます。
旧姓に戻すことで新たな人生を歩みたい、死別した配偶者の親族と関係が良くないので姓を変えたい、旧姓に戻して復職したいなど理由は様々です。旧姓に戻すには市区町村役場に「復氏届」を提出することになりますが、本記事では復氏届について詳しく解説します。
目次
復氏届とは?
旧姓に戻す場合、市区町村役場に提出しなければならないのが「復氏届」です。復氏届は姓(氏)が変わるだけなので、死亡した配偶者の姻族関係は残ります。
提出期限はありませんが、国際結婚の場合は3か月以内の提出期限があり、期限を超えると家庭裁判所の許可が必要になるので注意しましょう。
死亡した配偶者の死亡届が受理された後ならいつでも提出できますが、戸籍の作成のため数日かかるので即日交付はできません。
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復氏届と姻族関係終了届の違い
結婚をすると配偶者の血族との間に姻族関係が発生します。配偶者が死亡すると自然に婚姻関係は解消しますが、死亡した配偶者の血族との関係は自然に消滅せず残ります。姻族関係の継続を望まず消滅したい場合は「姻族関係終了届」を提出しなくてはいけません。
この届出も復氏届と同じく、残された本人は配偶者の血族の同意を得ることなく提出できます。姻族関係終了届は残された生存配偶者のみ提出が可能です。死亡した配偶者の血族でも姻族関係終了届は提出できません。
復氏届は姓(氏)だけを変える届出なので、死亡した配偶者側の姻族との関係は残ります。姻族のままだと死亡した配偶者側に扶養が必要な方がいれば扶養の義務が発生する可能性があります。本来、直系血族が互いに扶養をする義務はありますが姻族は含まれません。
しかし姻族関係がある場合、事情によっては家庭裁判所から扶養することを命じられる可能性があります。このような可能性を抹消するには姻族関係終了届が必要となります。姻族関係終了届のみの提出であれば姓は死亡した配偶者と同じ姓のままです。
復氏届と共に必要な書類
復氏届を提出できるのは本人のみです。提出する際には、復氏届以外の書類も必要になるので準備をしておきましょう。本籍地以外で提出する場合は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要になります。本籍地の場合であれば戸籍謄本は不要です。
復氏届を提出することは死亡した配偶者の戸籍から抜けるため、新しい戸籍を作るか結婚前の戸籍に戻るか事前に決めておく必要があります。結婚前の元の姓に戻すなら婚姻前の戸籍謄本も必要となります。また、結婚前の姓に戻りたくない場合は分籍届を共に提出する必要があります。これらの書類の他には届出人の印鑑が必要になる場合があるので忘れずに持参しましょう。
復氏届の様式と書き方
復氏届の様式
復氏届の様式はどの市区町村役場でもあまり変わりませんが、必ず提出先の市区町村役場に用意された用紙で提出してください。取りに行かなくても市区町村役場のホームページからダウンロードできる場合もあります。
復氏届の書き方
・届出日
必ず届出する年月日を記入してください。
・復氏する人の氏名
復氏する届出人の名前(よみかた含めて)を記入します。生存している配偶者のみになります。生年月日の欄があるので届出人の生年月日も記入してください。
・住所[住民登録をしているところ]
住民票で確認できる場所を記入します。世帯主の欄には、世帯主名を記入します。
・本籍
戸籍上の本籍と筆頭者を記入します。筆頭者欄には筆頭者氏名を記入してください。筆頭者は、戸籍謄本の「氏名」に記載された人を指します。
・復する氏の父母の氏名、父母との続き柄
氏の欄には復氏する姓とよみかたを記入します。父の欄には復氏元の父の氏名を記入、母の欄には復氏元の母の氏名を記入します。続き柄の欄には記入した父母との続柄を記入・選択します。例えば長女の場合は「長」と記入し「女」にチェックします。
・復氏した後の本籍
結婚前の戸籍に戻す場合は、「もとの戸籍にもどる」にチェックを入れます。住所欄には戻る先の本籍と筆頭者の氏名を書きます。両親が亡くなり戻る戸籍がない場合は、復氏する届出人を筆頭者とする新戸籍を作ります。「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れて、新しい本籍と筆頭者(届出人)の氏名を書きます。
・死亡した配偶者
氏名には死亡した配偶者の氏名を記入します。死亡日には死亡した配偶者の死亡日を記入します。
・その他
通常何もなければ空欄のままとなります。役所の人から指示がある場合は記入します。
・署名押印欄
復氏届の届出人が署名押印してください。復氏する前の氏名とその名前の印鑑なので間違いないように注意してください。押印は認印でも構いませんが、シャチハタは不可となります。
・電話番号
欄外に記入するところがある場合は連絡先を記入します。
復氏届を出すメリット/デメリット
復氏届は一度提出し受理されると元の姓(復氏届提出前の姓)に戻れませんのでよく考えてから復氏届を出しましょう。
復氏届を出すメリット
・姓を戻すことで精神的に楽になる
死亡した配偶者の血族(残された本人にとっては姻族)とは今後お付き合いしたくない場合は、まず姓を戻すことで精神的に楽になります。復氏届だけでは完全に姻族と関係は切れませんが、姓が変わるというのは人生において大きな転換になります。
・実家に戻る場合には旧姓の方が何かと便利
配偶者の死後、実家に戻る場合は旧姓にしたほう便利です。契約関係など一緒に住んでいるのに姓が異なると面倒なことが多々あります。
・職場復帰する場合には旧姓の方が関係構築し易い
結婚を機に退職したが配偶者の死後に復職する場合、独身時代に旧姓で仕事をしていた方は旧姓に戻したほうがスムーズに職場関係を構築することができます。
復氏届を出すデメリット
・復氏届だけでは子供の姓は変更されない
復氏届は提出をした本人のみが変更されるので、死亡した配偶者との子供の姓は変更されずそのままになります。子供の姓を自分の姓と同じ姓にしたい場合は、家庭裁判所に子供の姓の変更許可申立書を提出して許可審判を受けなければなりません。許可が通れば復氏届をした本人の戸籍に入籍する「入籍届」を提出し同じ姓になります。
・各種契約など全てに名義変更が必要になる
姓を変えることで名義変更の手続きが面倒になります。運転免許証や銀行口座、公共料金、生命保険、自動車の名義変更、クレジットカードなどのローン、携帯電話など諸々変更しなくてはいけません。膨大な書類の書き換えや、本人確認のため関係各所に行かなければなりません。
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・親族や友人との関係性が変わる可能性がある
死亡した配偶者の親族との付き合い方が変わる場合があります。復氏届は姓が変わるだけですが、日本は「家」の考え方が強く、旧姓に戻るということは家から抜けると思われてしまう場合があります。今までとは異なる関係性になってしまう可能性があります。
復氏届についての気になる疑問
復氏届を提出することは姓が変わることだけと解っていても、疑問があると不安を感じてしまいなかなか踏み切れません。ここでは復氏届に関してよくある疑問を紹介します。
復氏届はいつまでに出すの?期限はある?
復氏届の提出に特に期限はありません。配偶者の死亡届が受理された後であれば、いつでも提出が可能です。
遺族年金の受給権が無くなるのはどんな場合?
遺族年金の受給資格が無くなるのは下記のような場合です。
①死亡したとき。
②婚姻したとき。(事実婚を含む)
③離縁によって死亡した方との親族関係がなくなったとき。
④子・孫である場合は、18歳になった年度の3月31日に達したとき
⑤直系血族および直系姻族以外の方の養子となったとき。
⑥父母・孫・祖父母である場合は、死亡した方の死亡当時胎児であった子が生まれたとき。
⑦夫が死亡したときに30歳未満の「子のない妻」が、遺族厚生年金を受け取る権利を得てから5年を経過したとき。
⑧遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取っていた妻が、30歳に到達する前に遺族基礎年金を受け取る権利がなくなり、その権利がなくなってから5年を経過したとき。
子どもの氏も変更をするにはどうしたらいいの?
未成年の子どもの名字を変更する場合、家庭裁判所に申し立てが必要となります。復氏届は本人の名字の変更のみとなるため、子どもの名字も変更する場合は別途手続きが必要となるのです。
申立書については、裁判所のサイトよりダウンロードください。
まとめ
配偶者と死別してしまうことは残された配偶者にとって人生の大きな分岐点になります。復氏届を提出することはそれほど難しくありませんが、旧姓に戻すことは今まで築いてきた人間関係に大きな影響を与える場合があります。
そして一方では、死別後でも姓を名乗り続けることでいつでも亡き配偶者と人生を歩むという選択もあります。復氏届を提出する前は必ず冷静に判断することが大事です。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
離婚の場合は、原則として旧姓(婚姻前の名字)に戻るため特別な手続きは必要ありませんが(婚氏を使いづけたい場合は婚氏続称の手続きが必要)、配偶者が亡くなった場合、旧姓に戻りたい場合は復氏届を出す必要があります。