喪主が葬儀後にすべきこと。手続き、供養、挨拶まわりを解説
- 2023年08月21日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
葬儀が終わった後も、喪主がしなければならないことはたくさんあります。役所への手続き、法事や供養の準備、さらにはお世話になった方々へ挨拶まわりや、訃報をお知らせしなかった方への事後報告など。
「煩雑な手続きについて理解したい」
「故人をきちんと供養して安心したい」
「挨拶や連絡をそつなくして失礼がないようにしたい」
この記事では、このようにお考えの方のために、葬儀後の手続き、法事や供養、関係先への連絡方法について分かりやすく解説します。あなたの不安がわずかでも軽減しますので、どうぞ最後まで読み進めてみてください。
手続きや相続について
葬儀後の手続きには、名義変更、給付金の申請、税金の手続き、相続などがあります。
年金に関する手続き
年金受給者は、受給停止の申請をしなければなりません。もしも未支給の年金があれば、忘れずに受け取ります。また、子どものいる配偶者は遺族年金を受給できるので、請求申請を行います。
●年金受給停止の申請
【期限】
すみやかに(国民年金の場合は14日以内)
【申請先】
市区町村役場(国民年金)、年金事務所(厚生年金)、共済組合(共済年金)
●未支給年金の受け取り
【期限】
すみやかに
【申請先】
市区町村役場(国民年金)、年金事務所(厚生年金)、共済組合(共済年金)
●遺族年金の請求
【期限】
死亡から5年以内
【申請先】
市区町村役場(国民年金)、年金事務所(厚生年金)、共済組合(共済年金)
健康保険の埋葬料・葬祭費の申請
健康保険は主に会社員などが加入する組合健康保険と、自営業者などが加入する国民健康保険に分けられます。前者であれば、埋葬を行う人に「埋葬料」または「埋葬費」が、被扶養者が亡くなったときには被保険者に「家族埋葬料」が支給されます。支給金額は5万円です。後者であれば、葬儀を行った人に葬祭費が支給されます。支給金額は自治体によって異なりますが、3万円から7万円が一般的です。
また、もしも業務災害、あるいは通勤災害で亡くなった場合には労災保険の葬祭料(業務災害の場合)または葬祭給付(通勤災害の場合)を申請します。
●各健康保険の埋葬料の申請
【期限】
死亡から2年以内
【申請先】
健保組合または年金事務所
●国民健康保険の葬祭費の申請
【期限】
葬儀を行った日から2年以内
【申請先】
市区町村役場
●労災保険の葬祭料と葬祭給付の申請
【期限】
死亡から2年以内
【申請先】
労働基準監督署
戸籍変更
故人様が世帯主だった場合は、変更の手続きをします。
●世帯主の変更
【期限】
死亡から14日以内
【申請先】
市区町村役場
相続
相続に関しては、相続放棄や限定承認の手続きと、相続税の申告があります。故人様の遺産は相続人によって分割相続されますが、プラスの財産だけでなくマイナスの負債も相続の対象となります。そのため相続の権利を放棄する(財産放棄)、あるいは相続したプラスの財産の範囲内でマイナスの負債を弁済する(限定承認)こともできます。ともに期限は3か月で、これを過ぎると相続を承認したことになります(単純承認)。相続で得られた遺産は、基礎控除額を超えた分だけ相続税の申告、納付をしなければなりません。
●相続の放棄、限定承認
【期限】相続の開始を知ってから3ヶ月以内
【申請先】家庭裁判所
●相続税の申告と納付
【期限】相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
【申請先】税務署
所得税
亡くなった年の故人様の所得は、相続人が準確定申告をします。
●所得税の準確定申告
【期限】相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
【申請先】税務署
生命保険
故人様が生命保険に加入していたら、保険金請求をしましょう。
●生命保険の死亡保険金請求
【期限】保険金請求の権利発生の翌日から3年以内
【申請先】加入の保険会社
医療費用
故人様が生前中に受けていた医療費のうち、自己負担額が一定額を超えた場合は高額療養費が払い戻されます。自己負担の限度額は年齢や所得によって異なります。
【期限】医療費を支払った日(領収書の日付)から2年以内
【申請先】市区町村役場(国民健康保険の場合)、健康保険組合または社会保険事務所
身分証明書の返納
運転免許証、国民健康保険証、介護被保険者証、パスポートはすみやかに返納しましょう。
さまざまな解約・名義変更
さまざまなサービスの解約手続きをします。
●ライフライン・通信関係
電気、ガス、水道、電話、インターネットなど
●金融関係
銀行口座、クレジットカード、株式などの有価証券
●民間業者との契約解除や名義変更
介護用品のレンタル解約、新聞契約の解除
供養について
葬儀後も故人様の供養は続きます。四十九日法要の準備、仏壇やお墓のことを進めていきます。
法事・法要
故人様の亡くなった七日後に初七日法要、その後、四十九日法要、百ケ日法要、一周忌法要と続いていきます。特に、四十九日法要は、故人様が仏となり、遺族も「忌開け」として日常生活を戻していく区切りの法要となります。
●初七日法要・追善法要
初七日法要とは、死後七日目に執り行う法要です。以降、二七日、三七日といった具合に、七七日(四十九日
法要)まで、7日ごとに法要を執り行います。今でも7日ごとに僧侶が自宅にお参りする地域は少なくなく、死後も手厚く供養をして、故人様をあの世に送り出すのです。
日本では、亡くなった人は死後49日間の旅に出ると考えられています。初七日はこの世とあの世を分かつ三途の川のほとりに到着する日であり、四十九日に来世の行き先が決まります。この間の7日ごとに行われる法要を「追善法要」と呼び。
追善法要は故人様の来世の行き先を祈るために行われます。亡くなってしまって徳を積めない故人様に代わって、遺族が法要を執り行って善徳を積み(追善)、故人様の成仏を願います。
最近では、初七日法要は葬儀当日に執り行うのが一般的になりつつありますし、追善法要を省略するところもあります。
●四十九日法要
四十九日法要は、仏教的には来世の行き先が決まる日であり、日本の民俗的には亡き人の霊(死霊)がご先祖様の仲間入りをする日とされています(祖霊)。故人様の供養の中でも特に重要な法要で、昔から家族や親族が一堂に集まって盛大に行われていました。
四十九日法要までに喪主がしなければならないことは次の3つです。
▶日程と場所の決定と告知
僧侶と調整して法要の日程と場所を決めます。故人様の死後49日目が平日で集まりにくい場合はその手前の土日や祝日にします。場所は自宅や寺院が選ばれていますが、最近では葬儀専用斎場も法要に利用されています。詳細が決まったら参列してほしい人に連絡します。
▶おもてなしの準備(料理・引き出物)
当日参列いただい方へのおもてなしの準備をします。場所は法要会場、または料理店のいずれかです。コロナ禍においては持ち帰り用の弁当を準備することが増えました。引き出物は参列者への手土産で、2千円から5千円程度のお菓子やタオル日用品などが選ばれています。
▶お供え物(供花・卒塔婆)
当日のお供え物の準備をします。自宅で行う場合は祭壇周りのお花や供物、寺院で行う場合はどんなものを用意すればいいかお寺に相談します。塔婆供養をする地域ではどのように手配すればいいか、あわせてお寺に確認しておきましょう。
仏壇・位牌
仏壇や位牌は四十九日法要までに揃えます。成仏し、ご先祖様の仲間入りをした故人様の居場所は、仮祭壇や仮位牌からお仏壇や本位牌に移るからです。
▶すでに仏壇や位牌がある人
もしもすでに仏壇がある家は、新たに位牌を手配します。位牌にはさまざまな種類がありますが、ご先祖様と同じ形状、同じ寸法のものを選ぶのがよいでしょう。次の準備をして仏具店に相談しましょう。
- ご先祖様の位牌の写真(表裏、全体が映り、彫刻文字や台座の形が分かるもの)
- ご先祖様の位牌の寸法(札板の幅と丈、台座からの総高さ)
- 故人様の情報(戒名、生前の名前、命日、年齢など、彫刻してほしい情報)
▶新しく仏壇や位牌を購入する人
自宅に仏壇や位牌がない人は新しく購入します。最近は、従来型の仏壇だけではなく、モダンな住宅にあったさまざまなサイズやデザインのものが販売されています。予め自宅の中のどこに置くかを決めてから、仏壇店を巡ってみましょう。位牌は仏壇のサイズや大きさに合わせて決めていきます。
お墓・埋葬
お墓への埋葬に決まった日はありません。葬儀当日、四十九日、一周忌、三回忌、またはこうした区切りの法要以外の日に埋葬する人もいます。
お墓がすでにある方は、埋葬当日までに石材店に連絡し、戒名などの文字を彫刻してもらいます。現地の確認、原稿の作成などを経て工事にかかるので、遅くても1か月前までには連絡しましょう。
お墓がない方は無理に四十九日までに用意しなくても構いません。一周忌や三回忌を目安に、じっくりと霊園やお墓探しをしましょう。
最近はお墓が多様化し、墓石もコンパクトなものや、墓じまいの心配のない有期限のものなども登場しています。そのほか、納骨堂や樹木葬などの選択肢も増えており、ご遺族のライフスタイルにあわせたものを選びましょう。
関係者への連絡について
関係者へのお礼や挨拶まわりも、喪主がすべき大切な事柄です。最近では家族葬が増えたため、葬儀の事後報告も丁寧にしておかないと、あとから苦言を呈されることもあります。
お礼と挨拶まわり
葬儀後の挨拶まわりはできるだけ早く済ませます。お手伝いの方々、供花、供物、弔電をいただいた方、葬儀でお世話になった方に直接訪問、あるいは電話やお礼状で感謝を伝えます。
香典返し
香典返しは、葬儀でいただい香典に対するお礼の品のことです。四十九日法要が無事に済んだことの報告を兼ねるので、四十九日の翌日から一週間程度で相手に届くよう手配します。お茶、お菓子、タオルに加え、最近では相手が品物を自由に選べるカタログギフトも人気です。最近は葬儀当日に香典返しをする「当日返し」が増えていますので、この場合は不要です。
家族葬後の死亡通知
家族葬で行った場合、葬儀を終えた後に死亡通知を出します。まずは知らせが遅れたことをお詫びし、故人様の遺志で家族葬にしたことをきちんと記しておきましょう。また、年末の年賀欠礼(喪中はがき)を死亡通知に代える人も少なくありません。
葬儀が終わったあとも、ご家族と亡き人とのつながりは続いていきます。しなければならないことを無理せずひとつひとつこなしていくことが、故人様の死をゆっくりと受け入れるプロセスとなるのかもしれません。
お葬式手配の「よりそうお葬式」