生前整理とは?必要な手順から上手に進めるコツについて
- 2022年08月16日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
「終活」という言葉だけでなく、「生前整理」という言葉が徐々に認知されるようになってきました。これまでのように家庭で最期を看取るのではなく、老後は介護施設や病院での生活をする方が増えてきている状況下では、まだ元気なうちから身の回りの整理をおこなっておくことは非常に大切です。
今回は生前整理について、その詳しい内容をご紹介するとともに、具体的な手順や上手に進めるコツに至るまでを順に解説して参ります。
生前整理とは?
人が亡くなった際に家族が遺品を片付ける「遺品整理」という言葉がありますが、これに対し生前の元気なうちに身の回りの片付けなどをおこなうことを「生前整理」といいます。
特に高齢になって子供等の家に同居したり、介護施設等に入居したりする時には、それまでの生活で使用していた荷物の処分や整理が必要となってくるでしょう。また、自身がどれだけの資産を所有していて、それをどのように遺していくのかといった財産整理も必要となってきます。
こうした生前整理については、いざとなってからでは準備が大変なため、時間的にも体力的にも余裕があるうちに取り組んだほうがよく、40代や50代頃から始めたとしても決して早くはありません。
生前整理が必要な3つの理由
残される家族の負担を減らすため
家族が亡くなると、遺族は葬儀社の手配から式の打ち合わせなどで慌ただしい時間を過ごすこととなります。また、葬儀が終わった後も行政の手続きや参列者への御礼周りなどの対応に追われることも多くなってきます。
そうした状況下では、故人の残された遺品を整理したり、場合によっては処分したりといった作業が遺族にとっての大きな負担になってくるでしょう。また、遺品整理の業者に依頼をしたとしても金銭的な負担が掛かってきてしまいます。
そのため、本人がまだ元気なうちから生前整理によって荷物を減らしたり、断捨離をしておくことで、残される家族の負担を軽減することにつながります。
親族間のトラブルを無くすため
亡くなった後の遺産の相続については、昔からトラブルを引き起こしやすい要因となっています。特に最近ではインターネットでの証券口座の普及や、暗号通貨といった新しい資産も普及しており、たとえ一緒に生活をしている家族でさえ表立って資産状況を把握できないケースもあります。
生前整理によって預貯金も含めた財産を正確に把握しておき、それらの扱いをどうするかについてもしっかりと決めておく必要があるでしょう。
人生の振り返りをするため
生前整理をすることで、自分自身がどんな人生を歩んできたのか、という振り返りが出来るきっかけになります。それによって、残りの人生において何を成し遂げたいのか、やり残したことは無いか、といった将来の目標設定をすることにも繋がっていくでしょう。
生前整理をおこなう手順について
身の回りの整理や片付けをする
まずは自身の身の回りにあるものを確認し、必要なものとそうでないものに分類していくことから始めましょう。捨ててしまうのがもったいないと考えるものは、誰かに譲る、もしくはメルカリやヤフオクといったサイトに出品するという選択肢もあります。
また最近では、家の片付けや不用品の処分を代行してくれる業者も多数あるため、必要に応じて相談してみても良いでしょう。
エンディングノートを記しておく
終活においてエンディングノートを記しておくことは非常に大切です。
なぜなら、エンディングノートでは葬儀に対しての希望や自分が亡くなった後のこと、資産の所有状況に至るまでを、必要なだけ書き記しておくことができるからです。それによって、残された遺族が故人の想いをしっかりと把握して、迷いなく死後の手続きをおこなうことが可能となります。
最近では書店などでも専用のコーナーが設けられているところもありますので、自身に合った一冊を手元に準備しておくと良いでしょう。
財産目録を作成しておく
財産とは、現金や預貯金だけでなく、家や土地などの不動産、車、有価証券といったものが挙げられますが、これらの所有状況が分かる財産目録を作ることをおすすめします。
なぜなら、いざ本人が亡くなってしまった後では、遺族が資産状況を調べるのには手間も時間もかかってしまうからです。また、財産を早めに把握しておくことで、生前贈与といった税金対策をおこなうことも可能となるため、相続税の負担軽減にも繋がります。
なお、そうした手続きでもし少しでも不安に思うことがあれば、弁護士や税理士などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。
必要に応じて遺言書の作成をおこなう
エンディングノートには自身が亡くなった後の希望や、財産状況を記載できるものの、法的な効力はありません。そのため、財産の分与や相続の関係でトラブルになる可能性がある場合には、あらかじめ専門家の監修のもと、遺言書を作成しておくことをおすすめいたします。
周りの友人や家族に現況を伝えておく
近しい家族と同居していない場合などは、自身の健康状態や所有財産といった情報を共有することが難しくなってくるでしょう。また、エンディングノートを作成したとしても、いざそれをしまっている場所が知られないまま亡くなってしまうと、家族としても見つけられない可能性があります。
そのため、終活についてどう考えているか、何から取り組んでいるのか、といった状況は都度周りの友人や家族に伝えておくと安心です。
生前整理を上手に進めるためには?
一気に進めようとしない
今ある身の回りの荷物を短期間で一気に片付けようとすると、それだけで体力や気力も使うため、方法としてはあまりおすすめできません。いざ荷物の処分をするだけといっても、自身にとっては大切な思い出の品も含まれる場合もあるでしょう。
そのため、1週間や1ヶ月といった期間で区切って、自らの出来る範囲で少しずつ整理整頓を始めていくことをおすすめいたします。また、生活をしていく上でなるべく物を増やさないように意識することも大切です。
家族とも相談しながら進める
生前整理をする際は、家族にも手伝ってもらいながら作業を進めていくのも一つの手です。周りの家族からしても、いざという時の話を切り出すのはどうしても抵抗があります。そのため、生前の整理をきっかけとして、自身の老後のことや亡くなった後のことついて直接家族と話し合ってみてもよいでしょう。
人生の節目ごとに内容を見直してみる
人生100年時代とも言われる通り、この先寿命はどんどん長くなっていくものと予想されています。そのため、いざ50代や60代の時から生前整理を始めたとしても、さらにその先40年から50年程度の人生を過ごす可能性も十分考えられます。
長い年月を過ごしていくと、自身の過ごす環境や周りとの交友関係も変化していくでしょう。そうした中で、老後や死後についての考え方というのも変わってくるかもしれません。
そのため、既にエンディングノートや遺書に記した事項についても、自身の誕生日などの節目ごとに記載内容を見直してみることでまた新たな発見が生まれるきっかけにもなります。
まとめ
生前整理をおこなうことで、残された遺族の負担を減らせるだけでなく、親族間のトラブルを未然に防ぐことも可能です。また、自分自身にとっても人生の振り返りや、余生の過ごし方を見つめ直すきっかけにもなるでしょう。
とはいえ、ある程度の年齢を重ねてしまうと、思うように身体が動かなくなってしまったり、気付かぬうちに判断能力も低下してしまう可能性があります。なるべく元気なうちから少しずつ身の回りを整理していくことで、いざという時も慌てることなく、穏やかな老後を過ごすことにもつながります。
お葬式手配の「よりそうお葬式」
監修者のコメント
竹内 義彦一般社団法人 終活協議会
生前整理をする人が増えていますが、実家の片づけを強引に進めて親と揉めている家族もありますので、 なんでもかんでも整理することが正義のように、自分の考えを無理に押し付けることは控えようにしてください。ただ、片付けられていない家よりも、片付いている家の方が、いろいろな面で見てもプラスになっていることは事実ですので、家族で話し合ったり、不要なものをフリマアプリで売却したりと楽しみながら生前整理するようにしてみてはいかがでしょうか。