お盆になすときゅうりで作る精霊馬の意味や作り方、処分方法まで
- 2022年06月02日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
お盆になると見かける、なすやきゅうりに割りばしを刺した飾りをご存知でしょうか。これは精霊馬(しょうりょううま)といって、お盆にご先祖様が戻ってこられるようにするためのものです。
精霊馬は比較的認知度が高く、お盆の時期になると目にすることはあっても、その意味や作り方、処分方法などを知らないという人は少なくありません。
そこで、こちらでは、精霊馬の意味や作り方、飾り方や処分方法などについてご紹介していきます。
地域や宗派によって取り扱いが異なるケースもありますので、引っ越しや結婚などでこれまでと風習が変わったときには気を付けましょう。
お盆になるときゅうりで作る精霊馬の意味
お盆の時期に作るなす(ナス)ときゅうりの飾りは、なす(ナス)が牛、きゅうりが馬を模した人形です。それぞれ精霊牛・精霊馬といい、どちらも夏野菜で手に入りやすいために使われるようになったといわれています。
きゅうりで作られた精霊馬は足が速いため、ご先祖様があの世から早く家に戻ってくるための乗り物です。
一方、なす(ナス)で作られた精霊牛は歩くのが遅いため、少しでもこの世にとどまっていられるようにという意味を込めた、あの世に戻るときの乗り物です。
また、牛はご先祖様を供養するためのお供え物などを、楽に持ち帰ってもらうために選ばれたとも考えられています。つまり、どちらもご先祖様が楽に行き来をできるように、そして、少しでもこの世で過ごす時間を多くとれるようにという意味を込めて作られた乗り物なのです。
お盆飾りセットの飾り方について詳しい説明はこちらをご参照ください
精霊馬の地域による違い
精霊馬は、基本的にはお盆の間に家に飾り、送り盆になると処分することになっています。ただ、取り扱いや考え方は地域によって違いがあります。
例えば、北海道から中部地方などでは、迎え盆ではなく16日の送り盆に精霊馬を作り、お供え物と一緒にすぐに川や海に流していました。
一方、関東地方では13日の迎え盆に精霊馬を作り、送り盆に流すのが一般的です。なお、近年では川や海に精霊馬を流すことができませんので、土に埋めたり、塩などで清めたりして処分することがほとんどです。
精霊馬の意味も地域によって全く異なっており、一般的にはこの世に長くとどまるために、こちらに来るときは馬、あの世に帰るときは牛に乗るとされています。
しかし、ご先祖様をお迎えする準備をしっかり行う時間がほしいため、迎え盆に牛を作り、早くあの世に帰ることができるように送り盆に馬を作るというところもあるのです。
浄土真宗は、なすときゅうりを飾らない?
なす(ナス)やきゅうりで作る精霊馬は、材料が入手しやすく、比較的簡単に作ることができるため、毎年準備している世帯もたくさんあります。
しかし、中には全くこれらを用意しない宗派もあります。
そもそも、精霊馬は、ご先祖様の霊があの世とこの世を行き来するための乗り物として用意しているものですので、亡くなった人の霊があの世で過ごしているという概念がある宗派でしか必要とされません。
浄土真宗などの仏教の考えでは、お盆になると地獄の釜の蓋が開き、ご先祖様が戻ってくるという考え方は存在しないのです。
それではお盆というのはどういった日なのかというと、浄土真宗においては、お盆はご先祖様を救う日ではなく、自分自身の精進のための日という考え方なのです。
そのため、精霊馬を用意してご先祖様をお迎えするのではなく、親類縁者が集まって親鸞聖人の教えやお経を聞き、生きている人たちのご縁を深めるという過ごし方をしています。
なすときゅうりを用いた精霊馬の作り方
精霊馬の作り方はいたって簡単です。
1. なす(ナス)ときゅうり、割りばしを用意します。
※なす(ナス)やきゅうりは、まっすぐなものよりも少し形の曲がったものの方が動物らしく見えてよいでしょう。
2. 野菜の大きさに合わせて、それぞれ馬や牛に見えるように割りばしの長さを調節して4本ずつカットします。
※きゅうりは馬なのでやや足が長めになりますし、なす(ナス)は足の短い牛に合わせて短めにカットしましょう。
3. 足をカットしたら、自立できるようにやや開き気味に、バランスよく割りばしを刺していきます。
※なす(ナス)のへたは、牛の頭に見立てて作ることが多いです。
4. ご先祖様をお迎えする迎え盆の時は、盆棚の上に内向きに置きます。また、送り盆の時には外向きに置くのが一般的です。
※あるいは、東から戻ってくると考えられているため、馬は西向き、牛は東向きに置くこともあります。
5. 飾る期間は8月13日から16日までの4日間となります。
地域によって考え方や置き方、作り方などが異なりますので、きちんと確認してから用意しましょう。
精霊馬の処分方法
精霊馬は、お盆を過ぎたら処分しなければなりません。ただし、旬の野菜で作ってあるといっても食べるのはNGです。
ご先祖様の乗り物として使われたものですので、食べずに正しい方法で処分しましょう。
代表的な処分方法は、川や海に流したり、土に埋めて還したり、燃やしたりするというものです。
しかし、近年では、川や海に流すことを禁じている地域も多いため、庭などに埋めるか、お盆飾りと一緒に燃やすことが少なくありません。
また、お寺で処分してもらうという方法もあります。精霊馬を作る家庭が多い地域では、お焚き上げなどでまとめて処分してくれるお寺もありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。
他にも、白い紙に包み、塩で清めてから可燃ごみとして処分する方法もあります。
まとめ
このように、精霊馬はご先祖様が気持ちよくあの世とこの世を行き来するための大切な乗り物であり、飾り方や処分方法などもきちんと独自のルールがあります。
ただし、宗派や地域などによって精霊馬を用意する時期や飾り方などに違いが見られますので、慣れないうちはその地域のやり方に詳しい人からきちんと教えてもらった方がよいでしょう。
逆に、馬や牛の形ではなく、馬車や飛行機、スポーツカーなどのアイデア豊かな精霊馬を用意している家もあります。
伝統的なお盆の過ごし方をする家庭では難しいかもしれませんが、きちんとした馬や牛の姿をした精霊馬の他に、ご先祖様が好きだった乗り物や動物を用意するなど、独自のやり方で供養をするという方法もあります。
ご先祖様や親族が気持ちよく過ごせるように、精霊馬も含めてお盆の準備や過ごし方を正しく理解しておくようにしましょう。
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