お葬式・法事参列で喪服礼服にあわせる靴の選び方
- 2024年12月03日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
お通夜、葬儀・告別式などお葬式の喪服にあわせる靴は、いわゆるリクルートパンプス、リクルートシューズを思い浮かべればほぼ間違いありません。
女性は黒色のパンプス、肌の透ける黒色のストッキング、男性は黒色の内羽根でストレートチップの靴に、黒色の靴下です。
葬儀・告別式などお葬式の場面では男女とも、マナーを守ったスタイルでいることがスマートです。
この記事では、お通夜、葬儀・告別式などお葬式の基本と、喪服やブラックフォーマルの違いなどをおさらいし、靴の選び方やマナーを詳しく解説していきます。
目次
お通夜、葬儀、告別式の違い
はじめに、お通夜、お葬式、告別式の違いについて解説します。
葬儀、告別式とは
遺族で故人の冥福を祈り葬る宗教儀式を「葬儀(お葬式)」といい、遺族にかぎらず親しい人たちが故人と最後のお別れをする儀式を「告別式」といいます。
ただし、現在ではお通夜の翌日にお葬式と告別式を一緒におこなうのが一般的なため、お葬式と告別式をあわせて「お葬式」または「お葬式(葬式)」と呼ぶ人もいます。
お通夜(本通夜)、仮通夜とは
お通夜(本通夜)は告別式の前夜に、遺族、親族や親しい友人などが集まり夜通し故人との別れを惜しむことをいいます。
告別式の日程の関係で2日間にわたりお通夜を行う場合、1日めを仮通夜、2日めを本通夜と呼びます。
最近では告別式に出席できない人のお別れの場に変わってきていて、短い時間(1時間ほど)で終わる半通夜が行われることも多くなっています。
喪服とブラックフォーマルの違い
冠婚葬祭で着る正装を「礼服」といい、なかでもお葬式・告別式、法事(法要)で着る礼服を「喪服」といいます。
喪服は特殊な染め方によって深い黒色で、色が濃いほど格が高いとされます。
こうした喪服の黒色をスーパーブラックといい、通常着る洋服の黒色とは異なります。弔事の種類や参列する立場によって、服装の格式を変えるのが一般的です。
喪服の格式と装い、靴
正喪服とは
正喪服は喪主や親族、近親者が葬儀・告別式(お葬式)で着用する喪服です。
最も格式が高い喪服となります。
男性であればモーニングコートや紋付羽織袴、女性は黒紋付の着物に黒無地丸帯が正喪服とされます。
洋装の場合、男性はモーニングコートに限らず準喪服であるブラックスーツ、女性は黒のワンピース、アンサンブルなどを着用します。
ただし、正喪服として着用する場合、柄やレースがあるものはマナー違反です。
したがって、正喪服として洋装する場合は、光沢がなく深い黒の服を選びましょう。
正喪服での靴
和装の場合、足袋は白色で草履は黒(光沢なし)です。
洋装の場合、男性は黒色の靴、靴下も黒です。
女性の靴は黒色のパンプス、ストッキングも肌の透ける黒色です。タイツはマナー違反です。
※詳しくは後ほど説明します。
準喪服とは
準喪服は喪主、親族や近親者、一般の参列者どちらでも着用できます。
正式な喪服は葬儀・告別式(お葬式)などの弔事に着用しますが、ブラックフォーマルは冠婚葬祭に着用できる装いのことです。
弔事用の「ブラックフォーマル」は準喪服にあたり、男性はブラックスーツに白シャツ、黒無地のネクタイを着用します。女性は黒のワンピース、アンサンブル、スーツなどを着ます。
女性は、袖は長めでスカートはひざ下やくるぶしまでの丈を選びます。
準喪服とする場合は、素材に控えめな柄やレースなどがあっても良しとされるので、ビジネスシーンや結婚式、入学式といった場面でも着用できる服装も可とされます。
しかし、喪服の「黒」と通常の服の「黒」は色の深さが違うため、他のシーンと準喪服と兼用する場合には、やや深みのある黒を選ぶようにしましょう。
準喪服での靴
男性は黒い靴、靴下も黒です。
女性の靴は黒色のパンプス、ストッキングも肌の透ける黒色で、タイツはマナー違反です。
※詳しくは後ほど説明します。
略式喪服とは
略式喪服はお通夜や三回忌以降の法事(法要)に参列する場合や急な弔問に訪れる場合などに着ます。
男性の場合、濃紺やダークグレーなどの「ダークスーツ」、女性の場合は「ダークアフタヌーンウェア」と呼ばれます、
スタイルは準喪服と同じようなもので、色が黒以外にグレーや濃紺など地味な色を着用するのが一般的です。
略式喪服の靴
靴も略式喪服の場合、男女とも基本は黒色です。
ただし、紺やグレーでも装飾のない靴であれば良いとされます。
靴下は黒色やグレーなど地味な色、ストッキングは黒色やベージュです。タイツはマナー違反です。
葬儀・告別式(お葬式)参列時の、子供の服装
お葬式では、子供が学生の場合は制服を着ます。
制服がない場合には白シャツやブラウスに、無地の黒や紺、グレーのズボンやスカートが望ましいです。ブレザーがあるとなお良いでしょう。
乳幼児などは、白や薄い水色などで控えめなものを着用させましょう。
葬儀・告別式(お葬式)参列時の、子供の靴
制服を着用することが基本のため、黒色の靴がなければ学生らしい白、紺、黒のスニーカーなどでもかまいません。
靴下も黒色や白色など学生らしいもの、タイツも良しとされます。
お葬式のための靴選びのポイントや心得
お葬式で履いていく靴にはいくつかのマナーがあるため、その場や雰囲気に適したデザインや素材を選ぶことが大切です。
ここでは、お葬式のための靴選びのポイントや心得を紹介します。
色や素材を優先する
お葬式に履いていく靴を選ぶ際には、見た目にこだわりすぎないようにしましょう。見た目よりも、靴の色や素材を優先することが大切です。
足元は目につきやすいため、普段から履いている仕事や日常用の靴ではなく、派手さを控えたものを選んでください。
一般的には茶色系の靴はNGで、女性だと黒のパンプス、男性なら黒の革靴やビジネスシューズを履きます。
また、急なお通夜の参列で靴を選んだり用意したりする余裕がない場合は、明るい色を避けましょう。
素材については布や合成皮革、天然皮革、ポリエステルがふさわしいです。本革はお葬式の場で良くないという方もいますが、革を避けてしまうと選択肢が減ります。
一方、ヘビやワニ、スエードはマナー違反とされているため注意しましょう。
光沢の有無に注意する
お葬式では、キラキラと輝く光沢のある靴はNGです。その理由は、お祝いや派手さをイメージさせるため、悲しみの場にはふさわしくないとされているからです。
革の表面をエナメル塗料で加工して光沢を出しているエナメル素材の靴や、金具がついている靴は控えた方がよいでしょう。
一方、靴墨を使っている靴のように、磨かれて多少艶が出ている靴は問題ありません。
むしろ靴の表面に擦れた跡があったり、乾燥していたりする方がお手入れがされておらず、礼儀に欠ける印象を与える可能性もあります。
デザインはシンプルを重視する
靴選びは、見た目やデザイン性の高さではなくシンプルさを重視しましょう。
金具やリボン、留め具が金色や銀色だと、お葬式にふさわしくない光物と捉えられる可能性があります。
男性の場合は、つま先に横一文字が入っている内羽根のストレートチップやプレーントゥがよいでしょう。
女性の場合は、丸みのあるつま先のラウンドトゥや角ばっているスクエアトゥが適しています。
ヒールに関しては、ピンヒールだと歩くと音が鳴ってしまい、派手な印象を与えてしまうため控えましょう。
カジュアルな印象を避け、長時間の立ちっぱなしも想定し、高さは3cmから5cmが望ましいです。
また、ウェッジソールのようなカジュアルなデザインも、お葬式の場ではマナー違反とされているため気をつけましょう。
中敷の色に注意する
お葬式では靴の色やデザインだけでなく、盲点となりやすい中敷の色にも注意しなければなりません。
一般的なビジネスシューズやパンプスなら、外観に合わせて中敷のデザインも統一されている場合がほとんどです。
しかし、デザインによっては外観と異なる中敷が採用されていることもあります
靴を履いていれば中敷が見えることはありませんが、お通夜やお葬式中に靴を脱ぐ場合があるため注意しましょう。
中敷が派手な色で目立ってしまうと、不快に思われてしまう可能性があります。中敷の色はベージュやブラックなどの目立たない色や、控えめなプリントのものを選びましょう。
ファッション性は重視しない
お葬式に履いていく靴を選ぶ際に、ファッション性を気にする必要はありません。
お葬式での格好はフォーマルさが求められるため、ファッション性よりもその場の相応しさが大切です。
ファッション性を重視してしまうと、無意識に派手なデザインを選んでしまう可能性があります。また、場にふさわしくない形状を選んでしまう可能性もあるため注意が必要です。
過度にファッション性の高い靴は、周りの方々に不快な思いをさせてしまう可能性もあります。
コーディネートや流行を考えたい気持ちもあるかもしれませんが、お葬式で大切なことは故人さまに弔意を示すことです。
そのため、お葬式に履いていく靴を選ぶ際には、マナーを優先する必要があります。
カビ汚れに注意する
お葬式の靴はカビ汚れに注意し、目立つ汚れがある場合は取り除いておく必要があります。
靴によっては使用頻度が少なく、お葬式のために久々に出したらカビが生えて汚れているようなケースも少なくありません。
カビで汚れている場合は、乾いた布でカビの部分を拭き取り、次に除菌スプレーをかけた布で拭き取りましょう。
そのあとは乾燥させて靴専用の石鹸で洗い、再び乾燥させてカビを取り除いていきます。
また、カビは湿度が高く風通しの悪い場所で増えやすい特徴があるため、使用後は防水スプレーを革靴にかけておくとよいでしょう。
防水スプレーは、水だけでなく汚れに対しても効果があります。お葬式に履いていく際には事前にかけておくと、汚れを防ぐことも可能です。
お葬式の種類別、服装や靴のマナー
仮通夜
仮通夜は、故人が亡くなった日に行われる親族や親しい人で行われる通夜です。
仮通夜は亡くなった直後に行われるため、喪服を用意できずに向かうという意味から控えめな平服を着用します。
つまり、略式喪服、ダークスーツや地味なワンピースなどの装いです。
その場合、靴は装飾のない黒や紺やグレーなど、靴下も黒色や紺やグレーなど地味な色、ストッキングは黒やベージュです。
仮通夜で喪服を着用していると、不幸を予期していたとして失礼と考える人もいるので喪服は避けます。
お通夜(本通夜)
お通夜は告別式の前夜に行われ、親族や親しい友人などが集まり、夜通し故人との別れを惜しみます。
服装は喪主の場合は正喪服や準喪服です。
親族や親しい人がかけつける場合は喪服でなく平服となります。
靴も装飾のない黒色や紺やグレーなど、靴下も黒色や紺やグレーなど地味な色、ストッキングは黒色やベージュです。
ただし訃報を聞いてから、半日~1日ほど時間が経つのであれば準喪服、ブラックフォーマルで構いません。
またお通夜に参列して、お葬式に出席できない場合には準喪服、ブラックフォーマルがマナーとされます。
その場合は靴や靴下は黒色、ストッキングは肌の透ける黒色を着用します。
葬儀・告別式
お葬式では喪主、親族や近親者の場合は、正喪服または準喪服です。
一般的に参列する場合はブラックフォーマル(準喪服)です。男性は黒色の靴、靴下も黒色、女性は黒色のパンプス、ストッキングも肌の透ける黒色です。
葬儀、告別式などお葬式の靴
お葬式に、一般の参列者が着用する靴について、詳しく説明していきます。靴下、ストッキングのOKとNGもご紹介します。
女性のお葬式パンプスの選び方
黒のパンプスが基本
女性の準喪服、弔事のブラックフォーマルにあわせる靴は黒色のパンプスです。
履き口が広くて、金具や紐がないタイプの靴を選びましょう。
黒色のローファーはカジュアルとされるので、大人は避けます。
ブーツやショートブーツ、ハイカットの靴もカジュアルとされるので避けましょう。スニーカーやサンダルはもちろんNGです。
お葬式の場では中敷き(インソール)の色は黒が好ましいですが、派手な色でなければ特に気にしなくても良いです。
靴を脱ぐ場面で気になりそう、という方は黒のインソールが販売されていますので利用しましょう。
ヒールの高さ、デザイン
ヒールの高さは3cmから5cmのミドルヒールです。
ファッション性の高いデザインは避け、太めのデザインを選びます。
例えば、ピンヒール、ウェッジヒール、スタックヒール(木の板や革を積み重ねたヒール)はNGです。
ただし、妊婦や高齢の方などはローヒールやフラットな靴(バレエシューズなど)でも良しとされます。事情がある方は、状況や体調にあわせて選びましょう。
素材のOK、NG
パンプスの素材は光沢がない、布、ポリエステルなどの生地、本革、合成皮革がマナーです。
本革もお葬式では良くないとする人もいますが、靴の場合には革を避けるとフォーマルなものは選択肢が狭まるので許容範囲とされます。
ただし、殺生を感じさせるスエード(※)やアニマル柄(型押し)はNGです。光沢感が強いエナメルも葬儀・告別式ではマナー違反です。
※スエードとは子牛や山羊の皮をなめして起毛したもの
つま先(トゥ)、装飾のOK、NG
つま先(トゥ)はラウンドトゥ、スクエアトゥ、アーモンドトゥ(※)はOKです。
※アーモンドの様なややほっそりした形
ポインテッドトゥ(尖ったもの)、夏でもオープントゥ(つま先のないもの)はNGです。 装飾はないシンプルな靴が基本です。リボンなども避けましょう。
ストラップについては、脱げにくいというメリットを優先する場合、金具が地味で目立たなければ許容範囲内です。
ストッキング、タイツ
ストッキングは黒色で、薄く肌が透けるものがベストです。30デニール以下のものです。
ただし一般の参列者であれば肌色(ベージュ)も、急いで駆けつけた感がでるため、NGとまではいえません。
網タイツや飾りのついたものはNGです。
冬でもタイツはマナー違反とされますが、真冬のお葬式の場合は60デニールほどまでなら良いとされています。。地域差もあり、真冬に東北や北海道など極寒地ではタイツを履いても問題ありません。
妊婦や高齢の方は例外で、体を冷やさぬように状況や体調にあわせたものを身につけましょう。
派手なペディキュアの色が見えてしまうのは場にそぐわずマナー違反で、落としてから参列しましょう。
またストッキングは伝線しやすいので、予備のストッキングを用意しておくと安心です。
男性のお葬式向け、靴の選び方
男性の靴は内羽根でストレートチップ
男性の準喪服、弔事のブラックフォーマルにあわせる靴は、黒色の内羽根でストレートチップが基本です。
靴紐エリアの革が外に出ていないのが内羽根、つま先の革の切り替えラインが一文字のデザインのストレートチップを選びましょう。
お葬式の場では中敷き(インソール)の色は黒が好ましいですが、派手な色でなければ特に気にしなくても良いです。「靴を脱ぐ場面で気になるかもしれない」とご不安のある方は、黒色のインソールが販売されているので利用しましょう。
素材のOK、NG
男性の靴も、女性と同じように素材は光沢がなく、布、ポリエステルなどの生地、本革、合成皮革がマナーです。
本革もお葬式などでは良くないとする人もいますが、靴の場合には革を避けるとフォーマルなものは選択肢が狭まるので許容範囲です。
ただし、殺生を感じさせるスエード(※)やアニマル柄(型押し)はNGです。光沢感が強いエナメルもお葬式ではマナー違反です。
※スエードとは子牛や山羊の皮をなめして起毛したもの
つま先のデザイン
男性のお葬式での靴はストレートチップがベストです。
ストレートチップに穴飾り「ブローグ」があるものは避けましょう。または装飾のないシンプルなプレーントゥ(つま先にラインなし)選びます。
ウィングチップ((つま先が羽のように切り替えられたデザイン)やUチップ(つま先がU字型に切り替えられたデザイン)、ポインテッドトゥ(尖ったつま先)はマナー違反です。
靴紐エリア
男性のお葬式での靴は、靴紐エリアの部分に内羽根がベストとされます。
靴紐エリアの革が外に出ていないのが内羽根、外に出ているのが外羽根です。
内羽根がよりフォーマルですが、外羽根でも問題ありません。
装飾のOKとNG
装飾がついた靴はお葬式の場にはふさわしくありません。
メダリオン(穴飾り)や金具のある靴もマナー違反です。靴紐の穴にも金具が使われていないものがベストです。
ローファーは一見シンプルに見えますが、カジュアルとされるのでNGです。もちろんビットローファーも金具がついているのでダメです。
靴下
男性のお葬式や告別式などお葬式の場面での靴下には、黒色の無地を着用します。
短くてくるぶしが見えるようなもの(肌が露出するもの)はよくありません。
柄が入っているものも避けましょう。
子供、学生の靴と靴下
女性のお葬式パンプスの選び子供、学生の靴方
子供はお葬式や告別式などお葬式の場面で制服を着用することが基本で、黒の靴がなければ白、紺など学生らしいスニーカーなどをあわせます。
また、子供や学生はローファーでも問題ありません。
派手な色を避け、目立たない靴を選びましょう。
乳幼児や小学生向けのフォーマル靴も販売されています。卒園式、発表会、入学式などでも使えるので、黒のシンプルなフォーマル靴があると便利です。
子供、学生の靴下
靴下は黒色の靴下が良いですが、白色の靴下でも良いとされます。
フォーマル靴にあわせたタイツもOKです。
お葬式のための靴を管理する方法
お葬式は急に行われるため、新しい靴を準備する余裕がない場合も多いです。慌てないためにも、フォーマル用の靴を適切に管理しましょう。
ここでは、お葬式のための靴を管理する方法を紹介します。
防水スプレーを使用する
お葬式で使った靴は、防水スプレーをかけておきましょう。その理由は、風通しが悪く湿度の多い場所に保管するとカビが繁殖する可能性があるためです。
防水スプレーはさっと吹き付けるだけで水を弾くことができますが、効果を最大限に発揮させるためには使い方にも注意しなければなりません。
防水スプレーはいきなり靴に吹き付けるのではなく、まずは表面にあるホコリや汚れなどをブラッシングや乾いた布で取り除きましょう。
表面が汚れていると、スプレーをかけても水をはじく成分が定着しません。
また、防水スプレーを噴射する際、対象物に対して至近距離で吹き付けるのはNGです。成分が靴に均等に付着しないだけでなく、色落ちのリスクが高まるため気をつけましょう。
合皮の靴はなるべく避ける
お葬式用の靴は頻繁に使うものではないため、できるだけ長持ちさせるためにも合皮の靴はなるべく避けましょう。
合皮の靴は値段が安く購入しやすい一方で、本革に比べると耐久性は低いです。本革は合皮に比べると金額は高いものの、適切に保管すると長持ちしやすく長期的に使用できます。
もちろん、合皮はお葬式にNGではないため履いても問題ありません。合皮は本革に比べると安価であるため、お葬式ごとに買い替えるのも方法の一つといえます。
シューキーパーを使用する
靴を保管する際には、型崩れを防ぐためにも、革靴用のシューキーパーを使用しましょう。シューキーパーとは革靴の型崩れを防止し、長く履き続けるために重要なアイテムです。
革には、濡れると伸びて乾くと縮む性質があるため、靴が汗を吸うと革が水分を含んで柔らかくなります。
その状態で保管すると乾燥して縮んでしまい、適切なケアをせずに繰り返していると、変形が起こってしまうのです。
革靴を保管する前にシューキーパーを入れておけば、常に形が整われるため劣化を最小限に抑えられます。
デリケートクリームを塗る
お葬式で使った靴を保管する際には、シミやムラを抑えるためにも、デリケートクリームを塗りましょう。
デリケートクリームとは、デリケートな素材に配慮して作られたケアアイテムです。使用すると靴の革は柔軟性や耐久性をキープし、見た目を美しく保てるメリットがあります。
使用する際には、靴をブラッシングしてホコリや汚れを取り除き、専用の布やスポンジで塗りましょう。
防水スプレーとデリケートクリームを同時に使用する場合、順番に明確な決まりはありません。お店やメーカーで使い方や手順が異なるケースがあるため、確認しておきましょう。
定期的にチェックする
お葬式用の靴を長く使うためには、定期的なチェックが重要です。長く放置しているとカビが発生し、お葬式に履いていくときにカビ取りが必要になります。
チェックする際には湿気やカビが発生していないかを確認し、換気をしたり、乾燥している場合は防水スプレーを拭きかけます。
カビの原因となる湿度は、季節や保管する場所の空気の循環によっても変わります。気になる場合は、温湿度計で湿度を測ってみるのもおすすめです。
お葬式のための靴選びQ&A
ここでは、お葬式の靴選びでよくある質問をまとめています。
安い靴でお葬式に参列しても問題ありません。
革靴やパンプスの値段は数千円から数万円と幅広いですが、お葬式で求められるのは雰囲気に相応しいものであるため、価格よりもシンプルさや色の方が重要です。
むしろ、高級なブランド靴だときらびやかさや派手さが目立ち、デザインによってはNGなケースもあります。
靴の値段を気にする必要はないため、急にお葬式が入って履いていく靴がないときも、予算に合わせて靴を選んで問題ありません。
ただし、靴の耐久性は素材によって変わってくるため、長く使いたい場合は、費用だけでなく素材や質も重視して選びましょう。
お葬式の服装で平服と指定された場合も、黒のフォーマルな靴を履きましょう。
家族や故人さまの意向によっては、「お葬式には平服でお越しください」と案内される場合もありますが、平服とはいつもと同じ服装という意味ではありません。
冠婚葬祭における平服は、本来であれば礼服・礼装がマナーではあるものの、そこまでかしこまる必要はないニュアンスです。
お葬式における平服は略喪服を指し、服装はブラックスーツやダーク系の地味なスーツの装いとなります。そのため、地味で目立たない黒い靴を履く必要があります。
また、平服指定でも、リボンや柄が入っている靴は避けた方がよく、目立たないシンプルなものを選びましょう。
妊娠している場合は、体への負担や安全性を考慮した靴選びを心がけましょう。
段差での転倒や長時間立ちっぱなしになる場合もあります。負担をかけないためにも、かかとはできるだけ低いものを選び、安定性を重視しましょう。
パンプスのヒールは一般的に3~5cmですが、妊娠している方が高さのあるヒールを履くのは危険です。そのため、靴底がフラットなデザインでも問題ありません。
履きやすいパンプスがない場合は、暗い色のスニーカーでも問題ないため安定性を重視しましょう。
一方で、歩きやすさや安全性以外についての靴選びのポイントは従来と変わりません。派手なデザインや飾りがついているものはNGです。
靴選びの際にはストッキングやタイツも気になるところですが、身体を冷やさないためにもタイツがよいでしょう。
お葬式において紐靴を履く場合は、しっかりと引き締める意味合いがあるシングルで結ぶのがマナーです。
シングルは、靴の羽根の紐通しに左右交互に紐を通す方法です。最後は、一番上の穴から出ている紐靴の長さをそろえて結んだら完成となります。
一方、通し穴を一段ずつ下げながら靴ひもを表から裏に通すオーバーラップは、カジュアルな印象となるためNGです。
裏から表に通すアンダーラップも、カジュアルな印象を与えるため避けましょう。靴を脱ぐ場面においては、靴ひもをほどいて脱ぎ、履いたら結ぶのがマナーとなります。
紐をほどかず着脱できるのは、靴が足の大きさに合っていない、もしくは紐がしっかり締めていない証拠です。
キレイに靴を履けていない印象を与え、マナー違反にもなるため注意しましょう。
着物を着用してお葬式に参列する場合は、黒の草履を着用するのが一般的です。パンプスと同じく、黒だからといってエナメルのように光る素材はNGです。
お葬式の着物では、色喪服と呼ばれる黒色以外の着物を着用することもありますが、このケースにおいても黒色が最適です。
素材は布製の草履がベストですが、天候やメンテナンスのしやすさを重視するのであれば合皮もよいでしょう。
お葬式用の草履はかかとが高ければ高いほど格式が高いとされています。また、草履台と呼ばれる底部の枚数も、多くなるほど格式が高いです。
しかし、草履のかかとが高く草履台が多いほど良いものではなく、一般的な高さとなる5cm前後にとどめるのもポイントです。
着物の注意点としては、着物は弔事の服装でもっとも格式が高く、誰が着てもいいものではありません。
着物を着用するのは、故人さまのご家族やご親族が一般的となる点に注意しましょう。
靴を履き間違えないためには、脱いだときに自分の靴だとわかるように目印をつけておきましょう。
お葬式で靴を脱いで下駄箱に置く場合、大勢の人が似たような靴を置くため履き間違いのトラブルが発生するケースもあります。
お葬式が終わって自分の靴がないと外に出られなくなったり、悲しみの中にある参列者に声をかけたりしなければなりません。
式場によっては、靴の履き間違いを防ぐために番号札やクリップが用意されている場合もあります。これらがない場合は、手持ちの靴ベラを目印として入れておくのもよいでしょう。
靴を脱ぐタイミングで気づいてしまった場合は、財布に入っているレシートで代用しても問題ありません。
自分自身が他人の靴を間違えて履いて帰ってしまうリスクもあるため、そうならないように靴を履くときは十分に注意する必要もあります。
男性は黒無地の指なし靴下、女性は光沢のない薄手のストッキングが最適です。
靴と同じように靴下も黒色を意識して選び、靴下が目立たないようにしましょう。葬儀では肌の露出を抑えるのが基本であり、長めの靴下を選ぶのもポイントです。
また、フォーマルなイメージがあっても白色の靴下を履くことはマナー違反となります。黒の喪服に白の靴下は目立つため、お葬式では着用を控えましょう。
子どもの場合も黒色がベストですが、大人ほどマナーは厳しくなく、黒以外でも目立たない色や地味な色であれば問題ありません。
しかし、ワンポイントなら問題ありませんが、キャラクターやラインストーンがついているものは避けましょう。
まとめ
葬儀・告別式などお葬式は突然やってくるものです。
女性はシンプルな黒のパンプスと黒のストッキング、男性なら内羽根のストレートチップの黒色の靴、黒色の靴下を社会人になったら準備しておきましょう。
リクルートパンプスやリクルートシューズで使った靴を履いてもいいですね。ない場合でも、できれば買い足すか、礼服をレンタルできる所から借りるなどしてマナーを守った靴を着用するように心がけましょう。
年代があがると親族以外でのお葬式など弔事も増えてきますから、正式な喪服で一式揃えておくと安心です。
喪服は一度買えば10年以上使えます。黒の深さや素材の良さなどを考慮して選びましょう。
通夜や葬儀、告別式などのお葬式ではしっかりマナーを守りながら、気品のあるスタイルを心がけたいですね。
お葬式についてご不安やお悩みがある場合は、よりそうお葬式までご相談ください。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
「喪服用の黒靴を久しぶりに出して履いたら、底のゴム部分が劣化してボロボロに…」というケースは実は珍しくありません。式場に到着するまでにすべてなくなってしまったり、式場内をゴムのカスで真っ黒にしてしまったというシーンは数多く見てきました。定期的に履くようにしたり、湿度が低く風通しの良い場所に置くなど日頃から保管に気を配っておくことをお勧めします。