黒ならOK?お葬式・法事参列で喪服礼服にあわせる靴

- 2023年02月08日

お葬式手配の「よりそうお葬式」
お通夜、葬儀・告別式などお葬式の喪服にあわせる靴は、いわゆるリクルートパンプス、リクルートシューズを思い浮かべればほぼ間違いありません。
女性は黒色のパンプス、肌の透ける黒色のストッキング、男性は黒色の内羽根でストレートチップの靴に、黒色の靴下です。
葬儀・告別式などお葬式の場面では男女とも、おしゃれさやモテ要素をいっさい排した目立たない、マナーを守ったスタイルでいることがスマートなのです。
この記事では、お通夜、葬儀・告別式などお葬式の基本と、喪服やブラックフォーマルの違いなどをおさらいし、お葬式の足元はどこまでがマナーで許されるのか詳しく説明していきます。
目次
お通夜、葬儀、告別式の違い
葬儀、告別式とは
遺族で故人の冥福を祈り葬る宗教儀式を「葬儀」といい、遺族にかぎらず親しい人たちが故人と最後のお別れをする儀式を「告別式」といいます。
ただし、現在ではお通夜の翌日に葬儀と告別式を一緒におこなうのが一般的なため、葬儀と告別式をあわせて「葬儀」または「お葬式(葬式)」と呼ぶ人もいます。
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葬儀、告別式の意味についての詳しい説明はこちらをご参照ください
お通夜(本通夜)、仮通夜とは
お通夜(本通夜)は告別式の前夜に、遺族、親族や親しい友人などが集まり夜通し故人との別れを惜しむことをいいます。
告別式の日程の関係で2日間にわたりお通夜を行う場合、1日めを仮通夜、2日めを本通夜と呼びます。
最近では告別式に出席できない人のお別れの場に変わってきていて、短い時間(1時間ほど)で終わる半通夜が行われることも多くなっています。
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仮通夜と本通夜との違いについての詳しい説明はこちらをご参照ください
喪服とブラックフォーマルの違い
冠婚葬祭で着る正装を「礼服」といい、なかでも葬儀・告別式(お葬式)、法事(法要)で着る礼服を「喪服」といいます。
喪服は特殊な染め方によって、深い黒色となります。
漆黒であればより格が高いとされます。
こうした喪服の黒色をスーパーブラックといい、通常着る洋服の黒色とは異なります。
弔事の種類や参列する立場によって、服装の格式を変えます。
喪服=ブラックフォーマルと思っている方も多いと思いますが、実は違います。
礼服と喪服、ブラックフォーマル
「喪服」は葬儀や告別式に着用する礼服で、正喪服、準喪服、略式喪服の3つの格式に分けられます。
格式の高さは正喪服>準喪服>略式喪服です。ブラックフォーマルには慶事用と弔事用があり、弔事用のブラックフォーマルは準喪服にあたります。
喪服の格式と装い、靴
正喪服とは
正喪服は喪主や親族、近親者が葬儀・告別式などお葬式で着用する喪服です。最も格式が高い喪服です。
男性であればモーニングコートや紋付羽織袴、女性は黒紋付の着物に黒無地丸帯が正喪服とされます。格式の高い五つ紋です。
洋装の場合、男性はモーニングコートに限らず準喪服であるブラックスーツ、女性は黒のワンピース、アンサンブルなどを着用します。
ただし正喪服として着用する場合、柄やレースがあるものはマナー違反です。
喪服は黒色が深く濃いほうがよいとされ、「漆黒」ほど格式が高くなります。喪服の黒色は特殊な染め方をしています。したがって、正喪服として洋装する場合は、光沢がなく深い黒の服を選びましょう。
正喪服での靴
和装の場合、足袋は白色で草履は黒(光沢なし)です。
洋装の場合、男性は黒色の靴、靴下も黒です。
女性の靴は黒色のパンプス、ストッキングも肌の透ける黒色です。タイツはマナー違反です。
※詳しくは後ほど説明します。
準喪服とは
準喪服は喪主、親族や近親者、一般の参列者どちらでも着用できます。最も一般的な喪服です。
正式な喪服は葬儀・告別式など弔事に着用しますが、ブラックフォーマルは冠婚葬祭に着用できる装いをまとめていいます。
弔事用の「ブラックフォーマル」は準喪服にあたり、男性はブラックスーツに白シャツ、黒無地のネクタイを着用し、女性は黒のワンピース、アンサンブル、スーツなどを着ます。男性のスーツはダブル、シングル、三つぞろいのいずれも可です。
女性は、袖は長めでスカートはひざ下やくるぶしまでの丈を選びます。
準喪服とする場合は、素材に控えめな柄やレースなどがあっても良しとされるので、ビジネスシーンや結婚式、入学式といった場面でも着用できる服装も可とされます。
しかし、喪服の「黒」と通常の服の「黒」は色の深さが違いますので、他のシーンと準喪服とを兼用する場合には、やや深みのある黒を選ぶようにしても良いでしょう。
準喪服での靴
男性は黒い靴、靴下も黒です。
女性の靴は黒色のパンプス、ストッキングも肌の透ける黒色です。タイツはマナー違反です。
※詳しくは後ほど説明します。
略式喪服とは
略式喪服はお通夜や三回忌以降の法事(法要)に参列する場合や急な弔問に訪れる場合などに着ます。
男性の場合、濃紺やダークグレーなどの「ダークスーツ」、女性の場合は「ダークアフタヌーンウェア」と呼ばれますが、スタイルは準喪服と同じようなもので、色が黒以外にグレーや濃紺など地味な色を着用します。
略式喪服の靴
靴も略式喪服の場合、男女とも基本は黒色ですが、紺やグレーでも装飾のない靴であれば良いとされます。
靴下は黒色やグレーなど地味な色、ストッキングは黒色やベージュです。タイツはマナー違反です。
子供の葬儀、告別式やお葬式の服装
葬儀・告別式などのお葬式では、子供は学生の場合は制服を着ます。
制服がない場合には白シャツやブラウスに、無地の黒や紺、グレーのズボンやスカートが望ましいです。ブレザーがあるとなお良いでしょう。
乳幼児などは、白や薄い水色などで控えめなものを着用させましょう。
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通夜・葬儀、法事での子供の服装マナー、詳しい説明はこちら
子供の葬儀、告別式やお葬式の靴
制服を着用することが基本のため、黒色の靴がなければ学生らしい白、紺、黒のスニーカーなどでもかまいません。
靴下も黒色や白色など学生らしいもの、タイツも良しとされます。
※詳しくは後ほど説明します。
この場合の平服は、普段着という意味ではなく、略式喪服を指しています。
ダークスーツや地味なワンピースなどの装いで参列しましょう。
お葬式の種類別、服装や靴のマナー

仮通夜
仮通夜は、故人が亡くなった日に駆けつけられる親族や親しい人で行われる通夜です。
仮通夜は亡くなった直後に行われるため、喪服を用意できずに向かうという意味から控えめな平服を着用します。
つまり、略式喪服、ダークスーツや地味なワンピースなどの装いです。
その場合、靴は装飾のない黒や紺やグレーなど、靴下も黒色や紺やグレーなど地味な色、ストッキングは黒やベージュです。
仮通夜で喪服を着用していると、不幸を予期していたとして失礼と考える人もいるので喪服は避けます。
お通夜(本通夜)
お通夜は告別式の前夜に行われ、親族や親しい友人などが集まり、夜通し故人との別れを惜しみます。
服装は喪主の場合は正喪服や準喪服です。
親族や親しい人がかけつける場合は喪服でなく、控えめな平服です。つまり略式喪服、ダークスーツや地味なワンピースなどの装いです。
靴も装飾のない黒色や紺やグレーなど、靴下も黒色や紺やグレーなど地味な色、ストッキングは黒色やベージュです。
ただし訃報を聞いてから、半日~1日ほど時間が経つのであれば準喪服、ブラックフォーマルで構いません。
またお通夜に参列して、葬儀や告別式に出席できない場合には準喪服、ブラックフォーマルがマナーとされます。
その場合は靴や靴下は黒色、ストッキングは肌の透ける黒色を着用します。
葬儀・告別式
葬儀や告別式では喪主、親族や近親者の場合は、正喪服または準喪服です。
一般として参列する場合はブラックフォーマル(準喪服)です。男性は黒色の靴、靴下も黒色、女性は黒色のパンプス、ストッキングも肌の透ける黒色です。
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男性の通夜、葬儀のマナーについての詳しい説明はこちら
女性の通夜、葬儀のマナーについての詳しい説明はこちら
葬儀に着ていくコートの色や素材で注意すべきこと
葬儀、告別式などお葬式の靴
葬儀、告別式などお葬式に、一般の参列者が着用する靴について、詳しく説明していきます。
靴下、ストッキングのOKとNGもご紹介します。
女性のお葬式パンプスの選び方
黒のパンプスが基本
女性の準喪服、弔事のブラックフォーマルにあわせる靴は黒色のパンプスです。
パンプスは履き口が広くて、金具や紐がないタイプの靴です。
黒色のローファーはカジュアルとされるので、大人は避けます。ブーツやショートブーツ、ハイカットの靴もカジュアルとされるのでNGです。スニーカーやサンダルはもちろんNGです。
葬儀・告別式などお葬式の場では中敷き(インソール)の色は黒が好ましいですが、派手な色でなければ特に気にしなくても良いです。
靴を脱ぐ場面で気になりそう、という方は黒のインソールが販売されていますので利用しましょう。
ヒールの高さ、デザイン
ヒールの高さは3cmから5cmのミドルヒールです。
ファッション性の高いデザインは避け、太めのデザインを選びます。
例えばピンヒール、ウェッジヒール、スタックヒール(木の板や革を積み重ねたヒール)はNGです。
ただし、妊婦や高齢の方などはローヒールやフラットな靴(バレエシューズなど)でも良しとされます。事情がある方は、状況や体調にあわせて選びましょう。
素材のOK、NG
パンプスの素材は光沢がない、布、ポリエステルなどの生地、本革、合成皮革がマナーです。
本革も葬儀・告別式などでは良くないとする人もいますが、靴の場合には革を避けるとフォーマルなものは選択肢が狭まるので許容範囲とされます。
ただし、殺生を感じさせるスエード(※)やアニマル柄(型押し)はNGです。光沢感が強いエナメルも葬儀・告別式などではマナー違反です。
※スエードとは子牛や山羊の皮をなめして起毛したもの
つま先(トゥ)、装飾のOK、NG
つま先(トゥ)はラウンドトゥ、スクエアトゥ、アーモンドトゥ(※)はOKです。
※アーモンドの様なややほっそりした形
ポインテッドトゥ(尖ったもの)、夏でもオープントゥ(つま先のないもの)はNGです。 装飾はないシンプルな靴が基本です。リボンなども避けましょう。
ストラップについては、脱げにくいというメリットを優先する場合、金具が地味で目立たなければ許容範囲内です。
ストッキング、タイツ
ストッキングは黒色で、薄く肌が透けるものがベストです。30デニール以下のものです。
ただし一般の参列者であれば肌色(ベージュ)も、急いで駆けつけた感がでるため、NGとまではいえません。
網タイツや飾りのついたものはNGです。夏でも生足はダメです。
冬でもタイツはマナー違反とされますが、真冬の葬儀、告別式などお葬式の場合は60デニールほどまでなら良しとするようです。地域差もあり、真冬に東北や北海道など極寒地ではタイツも許容されます。
妊婦や高齢の方は例外で、体を冷やさぬように状況や体調にあわせたものを身につけましょう。
派手なペディキュアの色が見えてしまうのは場にそぐわずマナー違反で、落としてから参列しましょう。
またストッキングは伝線しやすいので、予備のストッキングを用意しておくと安心です。
男性のお葬式向け、靴の選び方
男性の靴は内羽根でストレートチップ
男性の準喪服、弔事のブラックフォーマルにあわせる靴は、黒色の内羽根でストレートチップが基本です。
靴紐エリアの革が外に出ていないのが内羽根、つま先の革の切り替えラインが一文字のデザインがストレートチップです。
ただし、外羽根の靴でも問題はないとされます。内羽根がよりフォーマルという考え方です。
葬儀・告別式などお葬式の場では中敷き(インソール)の色は黒が好ましいですが、派手な色でなければ特に気にしなくても良いです。靴を脱ぐ場面で気になりそう、という方は黒色のインソールが販売されていますので利用しましょう。
素材のOKとNG
男性の靴も、女性と同じように素材は光沢がない、布、ポリエステルなどの生地、本革、合成皮革がマナーです。
本革も葬儀・告別式などでは良くないとする人もいますが、靴の場合には革を避けるとフォーマルなものは選択肢が狭まるので許容範囲です。
ただし、殺生を感じさせるスエード(※)やアニマル柄(型押し)はNGです。光沢感が強いエナメルも葬儀・告別式などではマナー違反です。
※スエードとは子牛や山羊の皮をなめして起毛したもの
つま先のデザイン
男性の葬儀・告別式などお葬式での靴はストレートチップがベストです。
ストレートチップに穴飾り「ブローグ」があるものは避けましょう。または装飾のないシンプルなプレーントゥ(つま先にラインなし)選びます。
ウィングチップ((つま先が羽のように切り替えられたデザイン)やUチップ(つま先がU字型に切り替えられたデザイン)、ポインテッドトゥ(尖ったつま先)はマナー違反です。
靴紐エリア
男性の葬儀・告別式などお葬式での靴は、靴紐エリアの部分に内羽根がベストとされます。
靴紐エリアの革が外に出ていないのが内羽根、外に出ているのが外羽根です。
内羽根がよりフォーマルですが、外羽根でも問題ありません。
装飾のOKとNG
装飾がついた靴は葬儀や告別式といったお葬式の場にはふさわしくありません。
メダリオン(穴飾り)や金具のある靴もマナー違反です。靴紐の穴にも金具が使われていないものがベストです。
ローファーは一見シンプルに見えますが、カジュアルとされるのでNGです。もちろんビットローファーも金具がついているのでダメです。
靴下
男性の葬儀や告別式などお葬式の場面での靴下には、黒色の無地を着用します。
短くてくるぶしが見えるようなもの(肌が露出するもの)はよくありません。柄が入っているものも避けましょう。
子供、学生の靴と靴下
子供、学生の靴
子供は葬儀や告別式などお葬式の場面で制服を着用することが基本のため、黒の靴がなければ白、紺など学生らしいスニーカーなどをあわせます。また、大人はダメなローファーも子供や学生はOKです。
派手な色を避け、目立たない靴を選びましょう。
乳幼児や小学生向けのフォーマル靴も販売されていて、卒園式、発表会、入学式などでも使えるので、黒のシンプルなフォーマル靴があると便利です。
子供、学生の靴下
靴下は黒色の靴下が良いですが、学生らしい白色の靴下でも良いとされます。
フォーマル靴にあわせたタイツもOKです。
まとめ
葬儀・告別式などお葬式は突然にやってくるものです。
女性はシンプルな黒のパンプスと黒のストッキング、男性なら内羽根のストレートチップの黒色の靴、黒色の靴下を社会人になったら準備しておきましょう。
リクルートパンプスやリクルートシューズで使った靴を履いてもいいですね。ない場合でも、できれば買い足すか、礼服をレンタルできる所から借りるなどしてマナーを守った靴を着用するように心がけましょう。
年代があがると親族以外でのお葬式など弔事も増えてきますから、正式な喪服で一式揃えておくと安心です。
喪服は一度買えば10年以上使えます。黒の深さや素材の良さなどを考慮して選びましょう。
通夜や葬儀、告別式などのお葬式ではしっかりマナーを守りながら、気品のあるスタイルを心がけたいですね。
喪服礼服にあわせる靴に関するよくある質問

お葬式手配の「よりそうお葬式」
監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
「喪服用の黒靴を久しぶりに出して履いたら、底のゴム部分が劣化してボロボロに…」というケースは実は珍しくありません。式場に到着するまでにすべてなくなってしまったり、式場内をゴムのカスで真っ黒にしてしまったというシーンは数多く見てきました。定期的に履くようにしたり、湿度が低く風通しの良い場所に置くなど日頃から保管に気を配っておくことをお勧めします。