戒名授与にかかる値段相場とランク毎の意味と選び方
- 2023年02月13日
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人が亡くなった時に行われることとしてお葬式があります。お葬式の際に、今まで使っていた名前ではなく新たな名前を付けられているのを見たことがあると思いますが、これを戒名というのはご存知でしょうか。
人は死んだときに仏様のもとに行くとされていて、その時に生前に使っていた俗名ではなく、戒名をつけるとされています。
宗派によっては戒名ではなく法名や法号という名で呼ばれていますが、一般的なお坊さんを呼ぶようなお葬式を上げる場合には、戒名を付けることが多くなっています。
この戒名にはランクがありそれぞれ意味が違います。ランクごとの意味やどのように選べばいいのか、戒名を付けてもらうための金額の相場などについて解説していきます。
目次
戒名とは?
戒名とは意味なく付けているわけではなく、きちんとした意味があります。また宗派によっても違いますので、戒名のランクや読み方、その意味について見ていきましょう。
一般的な戒名 | 信士・信女、居士・大姉、院信士・院信女、釋・釋尼 |
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高位な戒名 | 院釋・院釈尼、院日信士・院日信女、院居士・院大姉 |
信士・信女(しんし・しんにょ)
信士は男性、信女は女性につけられる戒名です。信士や信女はもっとも一般的な戒名で、よく使われているものになります。
ランクとしていえばもっとも低いランクで江戸時代には下級武士に使用されていた戒名だと言われています。信士や信女には、仏教に帰依した信者であるというような意味があるのです。
信士や信女の戒名を授与された人物の例としては、小説家として有名な樋口一葉や浮世絵師として知名度の高い菱川師宣などが挙げられます。
居士・大姉(こじ・だいし)
こちらも同じく居士は男性、大姉は女性の戒名になります。こちらは、江戸時代には上級武士などに使われていた戒名で、庶民などが使うことはできないものでした。そのため、現在でも戒名のランクとしては信士よりも上になっています。
信士などよりはランクは高くなっていますが、こちらも一般的によく使われる戒名です。居士や大姉を授与された例としては、国民的文学者として現在でも知られている夏目漱石や昭和の歌姫美空ひばりさんなどがいます。
院信士・院信女(いんしんし・いんしんにょ)
こちらの戒名は信士などに院号がついたものになります。院号は、退位した天皇が移り住んだ御所を「○○院」と呼んだことが始まりとされています。
天皇家などに使われていたものですが、のちに社会的身分の高い人や特別な貢献をした方、寺社などに対して特別に大きな貢献をしたという方に使われるようになりました。
そのほかにも、仏教への信仰心が非常に篤く、寺院を建立するなどの貢献をした方にも付けられるようになりました。
一般的な人に授与される戒名の中では、ランクが高く上から二番目のランクに位置しています。ランクが高いだけに、ほとんど使われることがなく一般的な葬儀などでは見ることのない珍しい戒名です。
釋・釋尼(しゃく・しゃくに)
こちらは浄土真宗で使われているものです。浄土真宗では法名といい、男性は釋、女性は釋尼と使います。これはお釈迦さまの弟子に入るという意味があり、法名の中では一番ランクが低く一般的に使われているものです。ランクとしては、信士などと同ランクだということが言えるでしょう。
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院釋・院釈尼(いんしゃく・いんしゃくに)
こちらも浄土真宗で使われている法名です。社会的に大きな貢献をした方や寺社への貢献度が高い方などに付けられる院号がついているため、釋や釋尼などよりもランクは上になります。院信士などと同じぐらいのランクの戒名になるでしょう。
院日信士・院日信女(いんにちしんし・いんにちしんにょ)
こちらは日蓮宗独特の戒名で、院信士などに日号が含まれているものになります。日号とは宗祖日蓮上人の名にちなんだものだと言われています。信仰の篤い信者や、社会や寺院に深く貢献した人につけられることが一般的です。
そのため、日蓮宗に篤い信仰心を持つ方、寺院などに貢献している徳の高い方に授けられる戒名になっています。
院居士・院大姉(いんこじ・いんだいし)
こちらは、居士や大姉に院号を付けたものになります。社会的貢献度の高い方、寺院に対して多大なる貢献をした方につけられる戒名になっており、戒名の中では最高ランクに位置しているのが院居士や院大姉です。
最高ランクだけに簡単につけられるものではなく、一般的な故人につけられることは滅多にないでしょう。
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戒名授与にかかる値段の相場
戒名を付けてもらう場合には僧侶に戒名料をお布施として渡すことになるのですが、ランクや宗派によって値段が変わります。戒名授与にかかる値段の相場を見ていきましょう。
信士や信女
信士や信女の相場は、真言宗や浄土宗、日蓮宗などは10万~50万円くらいが相場となっていて宗派や寺院によって幅が大きくなっています。
釋や釋尼
浄土真宗の釋や釋尼は、10万~30万円とほかの宗派よりも比較的安めなのが特徴です。
居士や大姉
居士や大姉の相場は、50万~80万円となってます。院釋や院釋尼の場合は、50万円~と他の宗派より値段は低めです。
院信士や院信女
院信士や院信女は、宗派によって違いがあり浄土宗は70万円~、真言宗や天台宗は80万円~、曹洞宗が一番高くて100万円~となっています。
一番ランクの高い院居士や院大姉は、どの宗派でも100万円~となっていて、払える限り自分たちの気持ちで払うことになります。菩提寺によっても変わってきますので、お布施の額などを直接聞いてみるのが一番いいでしょう。
一般的に菩提寺や特定の宗派を持っていない人の場合には、地域によっても違いがありますが20万円~30万円程度が戒名料の相場です。
菩提寺を持たずに葬儀社などに僧侶の手配を任せる場合には、戒名料はいくらですと明確な金額を提示されることになるのが一般的ですから、わからない時には聞いてみてください。
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戒名ランクの選び方
戒名ランクの選び方としては、基本的には現代ではお布施を多く出せば高ランクの戒名を授けてもらうことができます。そのため、ランクが高い戒名がほしいという場合には、お布施さえ多く出せば高ランクの戒名を授与してもらうことは可能です。
しかし、一般的には戒名を選ぶ基準というものがあり、それに沿って選ぶのがいいでしょう。
- 菩提寺を持っていて、新たにその寺社にお墓を立てる場合は自由に選ぶことができる
- 先祖と一緒の墓に入る場合には、先祖より高ランクの戒名はつけない
- 夫婦で入る場合には、夫婦の戒名ランクを揃える
このようなことに注意して、選ぶようにしましょう。
また、菩提寺を持っていて信仰心が篤い、宗派や寺社の発展に尽力しているというような条件がそろっていれば、高ランクの戒名を授与してもらうことができます。
お寺との関りは薄いけれども故人の社会的貢献度が高いので、ランクの高い戒名を付けてもらいたいという場合にはあらかじめ、院信士や院信女などの戒名を付けてほしいと僧侶にお願いしておくといいでしょう。
戒名を付けない場合のデメリット
戒名を付けない場合にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?まず、戒名がなければ仏式の葬儀を執り行うことができません。仏式の葬儀を行いたい場合には戒名が必要となります。仏式以外のキリスト教や神道で葬儀を行う場合は戒名がなくても問題はありません。
また先祖代々の墓があり、その墓に入る予定がある場合には注意が必要です。一般的に、先祖代々の墓は菩提寺の土地に建てられています。菩提寺の土地に建てられたお墓に入るためには、菩提寺のルールに従って戒名を付けなければなりません。つまり、菩提寺に戒名を付けてもらわない限り、先祖と同じ墓に入ることはできないのです。
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戒名を自分で作るという判断
実は戒名は自分で作っても問題ないのです。しかし、あらかじめ決まったお寺の納骨堂やお墓に入る場合は勝手に作るのは良くありません。
お寺のお墓や納骨堂ではなく、公共の霊園や民営の墓地などに入ろうと考えている方で戒名が欲しい方は自分で考えて作ってみるのも選択肢の一つです。
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寺院やお坊さん便に相談する
お付き合いしているお寺があり、戒名について不明な点がある場合には、そのお寺にあらかじめ相談するのが良いでしょう。
お寺との関わりがなく戒名について相談できる人がいない場合は、よりそうが提供している「お坊さん便」をご活用ください。
お坊さん便は、法事や法要などの際に僧侶を呼ぶことができる僧侶手配サービスです。
まとめ
このように、戒名にはランクが存在しており、そのランクによって戒名料は大きく変わってくるのです。それぞれの社会的貢献度や信仰心の篤さ、寺社への貢献度などによってつけられる戒名も違ってくるということを覚えておいてください。
近年ではお布施さえ多くすれば高ランクの戒名を付けることができるという寺院などもありますが、本来は故人の生き方や社会への貢献、宗派への貢献度などによって決まるものです。無理して高ランクの戒名を付けても意味がありません。悩まれる場合はお寺の方や「お坊さん便」にご相談ください。
戒名授与に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
戒名(法名)は、もともと生前に授かるものでしたが、近世の檀家制度のもとで死後授与が多くなりました。浄土真宗では「釋」(男性)、「釋尼」(女性)を「釋」に統一し、男女による区別がなくなっています。今後も他宗派でもこのような傾向になる可能性があるかもしれません。