樹木葬(自然葬)とは?樹木葬が今人気な理由
- 2023年03月14日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
樹木葬は、遺骨を樹木の根元に埋めたり、墓地の石碑の代わりに樹木を植えたりする葬送のひとつです。
自然を生かした里山型と、整然と区画整備された墓地の一角にシンボルツリーを植え、個別納骨や合同葬とする公園型とがあります。
ここでは樹木葬の考え方その種類、選び方についての基本を分かりやすく解説していきます。
目次
樹木葬とは、墓の一種
樹木葬は「墓を持たない」「自然葬」と言われることもありますが、墓地として認められた墓所の区画に遺骨を納めるので、散骨などの自然葬とは異なります。
樹木葬は基本的に「永代供養」
永代供養とは、遺骨を継ぐ人がいない場合、お寺の住職が責任を持って永代にわたり供養という宗教儀礼をおこなうシステムのことです。なお、自治体が遺骨を管理する場合は宗教儀礼を伴わないので永代管理ということになります。
永代供養墓の形として以下のようなものが例に挙げられます。
- お骨安置用の納骨堂を作りその上に仏像、仏塔、碑などを建立した墓)
- お骨安置用の納骨室を作りその下に合祀スペースを設けた墓
- 合葬墓を備えた納骨堂
永代供養は遺骨の管理・供養システムになるため、外形は問いません。一定期間個別に区画を使用したり、墓石を建てる場合はの永代使用料や墓石の購入が伴います。
樹木葬の霊園タイプは二種類に大分される
樹木葬は1999年から始まった葬送スタイルです。
そのためか、墓地・霊園によっては樹木葬のことを「植樹葬」「庭園墓」など独自の呼び方があることが多く、分かりにくいかもしれません。
一般的な樹木葬の霊園タイプは大きく分けると「里山型」と「公園型さん」の二種類となります。
里山型
自然の里山を活かしたタイプで、周囲の自然環境と一体となれることから「最期は自然に還る」という意味合いで人気です。 一方で、墓標自体が判別しにくいため、墓参りや掃除など、墓所の管理には困難な点もあります。
公園型
一本の木の周辺に多人数の合葬墓型で納骨されるタイプと、樹木葬エリアの個別区画に納骨するタイプがあります。 霊園が公園になっているガーデニングタイプもあり、「墓」というイメージが薄いこと、景観が良いことから支持されています。 公園型の場合、従来の墓地のように墓参りができるという点が大きなメリットです。
把握しておくべき樹木葬のメリット・デメリット
基本的に永代供養の一種である樹木葬には、メリットもデメリットもあります。
その両方をきちんと把握しておくことは、樹木葬を考える上でとても大切なことです。
メリット、デメリットの両者をきちんと把握していないと、思いがけないトラブルが起こりかねません。
メリット
- ・個人墓が多く、墓地の継承や、墓地の管理がいらない。
- ・樹木の植樹によって緑がはぐくまれていく。
- ・自然志向、自然回帰という面から「エコ」という考え方が尊重される。
- ・墓石を建てるよりも、費用の負担を抑えることができる。
- ・同じ自然葬の海洋散骨に比べて「墓の形態」がはっきりしているので墓参りが可能。
- ・生前に求めることができる。
自然に還るという気持ちになることで、余生を穏やかな気持で過ごすことができ、また遺族も故人を身近に感じられることが何よりのメリットでしょう。
デメリット
- 郊外の樹木葬墓地は交通の便が良くない。
- 数人分で使用する場合、割高になることもある。
- 合葬タイプの場合、墓標が判別しにくい。
- 骨壷ごとを収めるタイプ以外は、一度納骨すると再度お骨を取り上げることはできない。
- 樹木葬とは名ばかりで、樹木がほとんどない墓地もある。
デメリットとして挙げた点をクリアできるかが大きなポイントです。
「樹木」の種類は?
樹木葬でとくに人気があるのは桜の木
花見などで日本人にとってなじみ深い桜の木は、樹木葬でも人気の高い木です。
開花してから散るまでの期間が2週間程度と短く、その「美しく咲き、儚く散る」様子が人の人生とリンクし、樹木葬のシンボルとして選ばれるのでしょう。
樹木葬の中でも桜に特化したものを「桜葬」と呼びます。開花シーズンに合わせて法要を行う霊園もあり、毎年桜が咲く季節に故人を偲ぶことができます。
日本初の樹木葬に使われたのは低木
日本で初めて樹木葬をおこなったのは、岩手県一関市の祥雲寺といわれています。その際にシンボルツリーとして使用されたのがヤマツツジという、花を咲かせる低木でした。そのことから、ヤマツツジのように花をつける低木も人気があります。
彩り豊かなガーデンタイプ
樹木葬のシンボルは木ばかりではありません。ハーブやバラなど四季折々の植物に囲まれるガーデンタイプも存在します。季節ごとの草花が咲き誇るので、その景観の良さが魅力です。
また、生前に申し込む方が多いというのも特徴のひとつとなっています。
墓地・霊園によっては、「ガーデン葬」「花壇墓」としてプランを確立させているところもあります。
スタイリッシュなモニュメントタイプ
主に合祀に多いのがモニュメントタイプです。
ガラスのオブジェの周りに花をあしらったもの、三角錐のオブジェに苔をはったものなど、様々な形状があります。
ペットと一緒に眠りたいという望みもかなう
樹木葬が可能な霊園を運営している企業には、ペットと一緒に埋葬できる墓所を提供しているところもあります。
家族としてともに暮らした愛するペットと、死後も一緒にいたいという気持ちは、ペットを飼っている方なら当然わかるはずです。
樹木葬は一般的な埋葬方法と比べて自由度が高いため、ペットと同じ場所に入るには適していると言えるでしょう。
価格例を以下に挙げます。
墓所使用料30万円
運営管理費月額5千円
ペット一回埋葬につき1万円
※ペット専用を希望の場合
一区画永代使用料2万円
埋葬料一回1万円
ペット用プレート代1万2千円
ペット用合祀では永代使用料1万円~
樹木葬の費用相場
屋外墓地の全国的価格は、墓石および墓石工事代(150万円)および墓地永代使用料(100万円)が一般的相場です。
一方で、樹木葬の価格は里山型と公園型では値段に大きな開きがありますが、だいたい20万円~100万円となり、個々の要望に応じて選択することができます。
ただし、一人分の費用として明示されている場合、複数人で使用する際、割高になるここともあり注意が必要です。
樹木葬の流れ
樹木葬の基本的な流れは一般的な墓に納骨するのとほぼ同様です。亡くなってから納骨までの流れを整理してみます。
樹木葬は散骨のような自然葬とは異なりますので、どこにでも納骨できるわけではありません。
通常の墓と同じように墓地埋葬に関する法律が適用され、埋葬する場所は、墓地として許可されたところを利用することになります。
樹木葬をおこなっている墓地や霊園に行って場所を確認し、詳細説明を受け、納得した上で申込をおこない、墓所の抽選などを受け、契約をしておきます。
臨終~死亡診断書・死体検案書の受領
亡くなったことを正式に証明する書類です。これは一般葬と変わりません。
死亡届~火葬許可書・埋葬許可書の受領
死亡後、役所に死亡届を提出すると死体(胎)埋火葬許可書が発行されます。
通夜~葬儀
通夜、葬儀をそれぞれの宗派に従って行います。
火葬~骨上げ
火葬許可書を提示し地域の火葬場の申し込みをおこない火葬の日程を決めて荼毘(だび)に付し、骨壷に骨を収めます。
納骨
樹木葬をおこなう寺院・霊園・葬地などに納骨の日取りを連絡します。納骨には火葬済印が押された死体(胎)埋火葬許可証が必要になります。
このように、大きな流れは一般的な葬儀とあまり変わりません。樹木葬を希望するのであれば、生前に霊園まで決めておくと安心です。
今ある墓から樹木葬に変える場合
現在、お墓はあるが、後継者や親近者あるいは墓地が遠くて、墓守・墓参りできないなどの理由から、樹木葬を希望されるケースも近年ふえています。
その場合はまず、新しい樹木葬の墓所を用意した上で、今ある墓所を廃墓(墓じまい)する手続きが必要になります。
墓じまいの方法は下記の通りです。
- 墓じまいをした後の遺骨の行き先を決めておく。
- 祭祀継承者の意見をまとめる。
- 寺や霊園など現在の墓地管理者に墓じまいをすることを伝える。
- 墓地を管轄する市区町村へ改葬許可申請をする。
- 墓を撤去する専門業者を決める。
- 遺骨を取り出しメンテナンスする。
- 墓石を撤去し更地にする。
- 墓地管理者に永代使用権をを返納する。
これで墓じまいが完了です。
しかる後に、用意してある樹木墓地へと遺骨を移します。
樹木葬ができる墓地・霊園を探す方法
樹木葬について前向きに検討したとき、どのようにして墓地を探せばいいのでしょうか。 上手に探すためのポイントをまとめてみます。
情報の収集
全国に広まりつつある樹木葬ですが、すべての寺や霊園で対応しているわけではありません。 ですので、情報の収集は必須となります。 まずは、ネットで手軽に情報を得るのがベストです。 ネットには、実際に樹木葬を行った方の口コミや評価なども掲載されていますので、そういった面でも非常に参考になるでしょう。
樹木葬を行いたいのは寺?霊園?
ある程度情報が集まったら、宗教なども含めて寺で行うのか、霊園で行うのかを決めておきます。 その際、それぞれのメリットとデメリットをよく把握しておくとよいでしょう。
ピックアップした墓地・霊園の比較
いくつかピックアップができたら資料請求などをしてみて、それぞれ比較をします。場所や価格帯、こだわりたいところなど、比較するポイントは具体的に挙げておきましょう。 また、霊園の場合には大きく分けて「民営」と「公営」があります。 もちろん、民営か公営かで価格にも幅が出てきますので、そういったポイントもおさえておくとよいでしょう。
実際に樹木葬の見学に行く
比較をした上で、理想により近い墓地・霊園が見つかったら、実際に樹木葬の見学に行きましょう。 自身が思い描く樹木葬のイメ―ジ通りの場所であるかを確認しておくことも大切です。 また、見学に行くことでより詳しい話を聞くことができるので、疑問点などは前もってもとめておくとよいでしょう。
まとめ
墓のあり方への意識の変化や自然志向の高まり、後継者・継承者の問題、土地の問題などで今後はさらに希望者が増えると考えられる樹木葬。
樹木葬についてしっかりと知った上であれば、敷居が高いもの、よく分からないものとして敬遠するものではなく、選択肢のひとつとして検討する価値があるものとなるのではないでしょうか。
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監修者のコメント
岩田 昌幸 一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
集落の一角に昔からある共同墓地を探ると、地域の葬制を垣間見ることができます。男女別の墓、遺骨(遺体)は一カ所に埋められ詣り墓は別に設けられている墓など、地域によって弔い方は多様です。現在「共同墓地」して販売されている墓はそれとは異なり、「跡取りがいない」「承継墓は不要」「お墓にお金をかけたくない」といったニーズにこたえる形でできたものになります。