【統廃合】仏壇に供える花(仏花)の種類や選び方
- 2022年06月02日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
仏壇への毎日のお供え物として、お香(線香)やお灯明(ろうそく)と同じく大切なものに「仏花(ぶっか)」があります。仏壇の両脇に1対の花瓶を設置して、お花をお供えするのが一般的です。
小さい頃からお家に仏壇があったりご家族に詳しい方がいれば問題ありませんが、突然仏壇を引き継ぐことになった方はどのようにお供えすれば良いか分からないという方は多いでしょう。
ここでは仏花をお供えする意味からお花の選び方、飾り方のマナーや長持ちさせる方法、枯れた花の処分方法について解説していきます。
仏壇に備える花の意味
仏壇に供えるお花を仏花と呼び、お墓参りにお供えする花も同じように呼びます。ご自宅に仏壇を置いていなかった方でも、お墓にお供えしている仏花を一度は見たことがあるでしょう。
お盆のシーズンになれば、墓地のまわりだけでなく街の花屋さんにも菊の花を主体とした花束が店頭を彩ります。
仏教においてのお花・仏花は、お香や灯籠などと同じように故人やご先祖様の霊を供養するために重要な役割を果たすものです。これに加えて、お供えをした本人の心も穏やかにすると考えられています。
仏壇に仏花をお供えする意味は、「仏様への誓い」が主な要素です。人々が厳しい修行に耐え忍ぶということを、厳しい自然環境にも耐え忍んで咲き誇る花の姿になぞらえて仏様に宣誓する意味を込めて、お花を仏前にお供えをするようになったとされています。
線香をたきあげることは供養の他に「故人や仏様に香りを楽しんでもらう」という理由があるように、お花にも故人に香りを楽しんでもらうという目的もあるのです。
三具足と五具足
ご家庭における仏壇はもちろん寺院など仏教のあらゆる儀式に「仏具」が用いられますが、中でも重要な仏具である香炉と燭台そして花立の3つを「三具足」と呼びます。
香炉には線香を設置して燭台にはろうそくを用い、花立に仏花をさすのが通常です。この3つを横に並べる三具足と、香炉を中心に燭台と花立を一対ずつ並べる五具足の2パターンがありますが、いずれも仏花がいかに重要であるかが分かります。
三具足を用いるか五具足を用いるかは、宗派によって異なるという点も覚えておいてください。
仏花の種類
仏壇にお花を供えるという行為は最も基本的な供養方法であり、線香やろうそくと同様に欠かせません。
供養に使用する花の種類に厳密な決まりはないものの枯れやすさや散りやすさ、持ちの良さなどの観点から選び方にはいくつかのポイントがあります。
トゲやにおいの有無に関してもある程度決まりはあるため、適した花や適さない花の種類・色について見ていきます。
仏花に適した花
この種類の花でなければならないという厳格な決まりごとはありませんが、適しているとされる条件は明確に存在しており、宗派問わず広く普及しているのが「長持ちする花」です。
仏壇や仏儀だけでなく贈り物などでも、長く飾っていられる花の方が喜ばれるのは世の常でしょう。
主な花の種類
長持ちする花の代表的な存在といえば、お墓へのお供え物でもよく見かける「菊」です。
中でも和風・洋風問わずアレンジできるため、広い用途で用いられているピンポン菊は特に長持ちします。丈夫なだけでなく、香りと丸い形が人気の品種です。
この他にカーネーションやスプレーマムなども長持ちする花であるため、仏儀においても広く使われています。常に栽培されているため1年を通じて市場に常備されていること、水はけが良いこともよく用いられる理由です。
色に関しては、49日までは白い花を飾るのが一般的とされています。忌明けまではカラフルな色を避けて、白色に留めておきましょう。
この期間が過ぎれば、色の種類はある程度解禁されます。白色の他に黄色や紫、赤やピンクといった5色が基本です。
仏花に適さない花
主な花の種類
一方仏花に適さない花としては、バラやヒガンバナが挙げられます。
美しいバラの特徴の1つである「トゲ」は、殺生をイメージさせるため仏教的に良くないと考えられているからです。
ヒガンバナに関しては毒を持つ花であるという点が、タブーである理由とされています。
同じくトゲがあるアザミや、テッポウユリなど一部の品種の球根に毒が含まれる百合も仏花に適していません。
他にも自立できないという理由からツル状の植物や、香りが強い植物も適さないとされています。
適さない色に関しては、忌明けまでは白以外のカラーがタブーです。忌明け後は適する5色であれば大丈夫ですが、3色の花を組み合わせるなら白と黄、紫色の3つとなります。
仏花の選び方
仏様にお供えすると考えると重く受け止めがちですが、長持ちすることと香りがきつくないこと、毒を持つ植物でないことなど条件を守れば比較的自由に選ぶことができます。
近年では故人の好きな花を飾っても良いという考え方も徐々に浸透していて、ある程度自由に選べる風潮が広まりつつあるのが現状です。
ただし適さない花の項目で触れた条件については、避けた方が賢明でしょう。
仏教の中でのタブーもありますが、毒やトゲのあるものは小さなお子さんやペットが触れてしまう恐れがあるからです。
強い香りがしたり花粉が多い花に関しては、アレルギー症状が出る場合もあります。
花びら散りやすかったり花粉が多い花に関しては、現実的な問題として毎日の掃除が厄介という理由がある点も覚えておいてください。
造花
仏花は花屋さんで買ってきた生花を使うものというイメージがありますが、実は造花や庭で栽培しているものであっても問題はありません。
特に傷みやすい夏シーズンは、枯らさないように毎日水の入れ替えをするのも大変です。表向きは造花よりも生花の方が良いという風潮があるものの、大切なのは故人や仏様への気持ちというのが仏教の基本的な考えとなります。
そのため造花でも生花でも、供養する気持ちなどご先祖に対して心がこもってさえいればどちらでも構いません。
ブリザードフラワー
近年では造花の他に、手軽なブリザードフラワーも人気があります。
法要の日や弔問時は、普段飾っているよりも華やかにすると良いです。花屋で仏花を依頼する場合2~3千円ほどが相場ですが、特別な日には5千円ほどの予算で作ってもらうと良いでしょう。
お正月
お正月に飾る花も、法要の日と同様に華やかに飾るのが良いとされています。大振りな花を中心に組み合わせたり、カスミソウやスターチスなどを散りばめるのも華やかな雰囲気となります。
お盆
お盆に飾る「盆花」は、海に近い地域は華やかな色で山に近い地域であれば控えめな色というのが主な傾向です。
菊が無難ですが、他にもミソハギやキキョウなどお盆の時期や秋口に咲く花が用いられます。
仏花の飾り方
仏壇用の花の飾り方について、明確に決まっているのは花の本数です。飾る本数は3本や5本、7本など奇数が基本であり花屋で販売されている花束もあらかじめ奇数となっています。
2箇所飾る宗派である場合は、同じ本数の束を2セット用意しましょう。
三具足である花立に入れる時、上から見た時に菱形となるように形を整えるのが良いです。菱形にする理由は、神事の榊の形が由来となっています。
お店で購入した花束は輪ゴムでまとめられている場合が多いですが、ゴムを付けたままでも構いません。
水切り
仏壇の花の生け方を知る上で大切なのが、水切りと呼ばれる作業です。
まず新聞紙や包装紙に包んだ状態のままにして、茎を10cmほど出します。
きれいな水を張った洗面器もしくはバケツを用意して、水の中で茎を2cm前後斜めにカットしましょう。
斜めに切る理由は断面を広くするためであり、これにより花立に入れた水を吸収しやすくなります。
水切りを終えたら、花立に差すまで直射日光の当たらない風通しの良い場所で保管すると良いです。
仏花をお供えする際、花の表側を礼拝する側に向けてください。
仏様や故人のためにお供えするものであるため礼拝者の反対側に向けるべきではないかと思うかもしれませんが、仏花は仏様の慈悲の心を表すものであり、礼拝者側に向けるようになったと考えられています。
仏花を飾る位置(仏壇のどこに飾る?)
仏壇に仏花を飾る場合、三具足もしくは五具足が基本的な飾り方となります。
三具足
三具足は本尊から向かって左から仏花、真ん中に線香を置き右にろうそくを設置するのが正式な飾り方です。
仏花は花立に差して、線香は香炉に入れてろうそくは燭台に立てます。これらは、本尊の前に横一列に並べましょう。
五具足
五具足の場合も横一列に並べますが、香炉(線香)以外を1対用意するのが通例です。本尊から向かって中央に線香を設置して、その両側にろうそく(燭台)を1対配置します。そこからさらに外側に、仏花を設置してください。
必ずしも五具足を用意する必要はなく、宗派のルールはもちろん燭台や花立が2本ずつない場合は三具足のままでも問題ありません。
七回忌以降はシバや杉など緑の葉は、後列に配置しましょう。燭台に差したろうそくと同じ高さになるように仕上げると、より美しく見えます。
仏花を長持ちさせる方法
仏花に選ばれる花は長持ちしやすい種類ではあるものの、手入れを怠ればその分早く枯れてしまいます。
枯れてしまう原因は、バクテリアの繁殖です。切り花の場合主に切り口である茎で繁殖して、切り口を塞いで水分の吸収が不可能になります。
そのため長持ちさせるには、バクテリアを繁殖させないことと茎からよく水分を吸収させることが大切です。
水を取り替える
バクテリアを繁殖させないために、最も効果的な方法として頻繁に水を取り替えることが挙げられます。
水がきれいな状態を保っていれば、バクテリアの繁殖が極力抑えられるからです。
カッターで茎を斜めに切る
さらに水分の吸収効率を下げない方法としては、定期的にカッターで茎を斜めに切ることが挙げられます。この時ポイントとなるのが、よく切れるカッターナイフを使うことです。
切れ味が悪いカッターやハサミを用いると、茎の切り口の組織が潰れてしまい、せっかくカットしても水分の吸収効率が下がりかねません。
目安としては、水を取り替える時に一緒にカットすると良いでしょう。
水に浸かる部分の葉を取る
また水に浸かる部分の葉を取ってしまうのも、バクテリアの繁殖を抑える方法として優れています。
花立に入れる水の分量を多くしないのも重要で、これにより夏場はボウフラが発生するのを防ぐことができ、長持ちしやすくなるでしょう。
延命剤を利用する
他にも、ホームセンターなどで販売されている延命剤を利用するのも良い方法です。バクテリアの繁殖を防ぎつつ、植物に必要な栄養素を補給することができます。
1週間ほど水を取り替えなくても良いぐらい、高い殺菌作用がある薬品です。差している瓶をこまめに洗ったり、食器用洗剤を1滴垂らして殺菌するのも良いでしょう。
仏花の処分方法
贈り物ではなくお供え物であるため、処分の仕方に悩む方も多いことでしょう。基本的にお供えした花については、仏教では土に還すものとされています。
墓地では水道や桶を設置している場所の付近に穴が用意されていて、供えた後の花をここで処分するのが一般的です。
しかし仏壇に供える分は自宅であるため、庭のあるご家庭でない限り土に還すのは容易ではありません。そのため仏壇に供えた仏花に関しては、燃えるゴミとして出してしまっても良いと考えられています。
もしもそのまま捨てるのが忍びないのであれば、半紙などの白い紙に包んで捨てると良いです。
ただし自治体によって捨てる区分が異なったり、枝や茎の長さに制限がある場合もあります。特に長さは30cmなど細かいルールを持つ可能性もあるため、不安な場合は自治体に直接問い合わせてみると良いでしょう。
また捨てることに抵抗がある方は、白い紙に包んで捨てる以外の方法にお香や塩で清めてから捨てるという方法もあります。
まとめ
仏壇にお供えする仏花には故人や先祖の霊を供養するという役割の他に、私たちの心を穏やかにする効果もあります。
供えるのに適している品種は菊が代表格ですが、1年を通して入手しやすいカーネーションやスプレーマムなども良いでしょう。
白や黄色、紫色が好ましいとされていますが仏様や先祖を供養する気持ちがあれば自由に選んでしまっても構いません。
ただしトゲや毒のあるものや、香りの強い花を選ばないようにしましょう。
水をこまめに取り替えたり茎をカットすることで、仏花を長持ちさせることができます。毎日のお手入れが大変である場合、決して無理をせず造花やブリザードフラワーを用いて負担を減らすなどして、故人と向き合うようにしましょう。
お葬式手配の「よりそうお葬式」