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葬儀の種類・宗派
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神式のお葬式で知っておきたい香典袋のマナーは?参列時のマナーや作法を紹介
日蓮宗は、お釈迦様が説いた教えである法華経を信仰する宗派です。
日本の仏教にはいろいろな宗派があり、葬儀の流れやマナーにもそれぞれ違う点があります。
お葬式はその家の宗派にしたがって行われますので、各宗派の葬儀のしきたりに通じていれば、急な不幸の際にも恥をかかずに済みます。
日蓮宗のお寺は非常に多いため、この宗派のお葬式に参列する機会も増えてくる可能性が高いです。日蓮宗について、順を追って見ていきましょう。
日蓮宗は、山梨県にある身延山久遠寺が総本山です。
鎌倉時代に誕生したこの宗派は全国に多数の霊跡寺院や由緒寺院を持ち、組織の規模が大きいのが特徴です。
日蓮宗を興したのは、鎌倉時代の僧である日蓮上人です。千葉県安房郡に生まれた日蓮上人は、10代の頃から仏教の修行を始め、鎌倉や京都の比叡山などで学びます。著書である「立正安国論」を時の執権であった北条時頼に送るなど、政治にも大きな影響を与えました。
日蓮宗の修行では、お題目と呼ばれるお経が重視されています。例えば、お経の言葉としてよく知られている「南無妙法蓮華経」は日蓮宗のお題目です。「法華経に帰依する」という意味を持つこの7文字のお題目を唱えるのが、日蓮宗の修行の1つです。
お題目を続けて唱えることによって、即身成仏ができると日蓮宗では考えます。即身成仏は、生きたまま悟りを開き仏の状態になること。お題目を唱えるという「行」を行うことで、悟りを得て、仏の状態になれるというのが日蓮宗の考え方です。
日蓮宗では、大乗仏教の経典である法華経を教義のベースにしています。法華経は、聖徳太子によって仏教が日本にもたらされたときに合わせて伝えられた経典です。
法華経は、仏教の祖であるお釈迦様が説いた教えをまとめた経典です。すべての人が分け隔てなく成仏できるという仏教の基本的な考え方が説かれており、日本でも奈良時代から用いられてきた歴史があります。正倉院には法華経の一部が残っており、仏教が伝えられた時点から親しまれていた経典です。
法華経は、妙法蓮華経とも呼ばれます。妙法蓮華経は、「正しい教えである白い蓮の花の経典」というサンスクリット語の漢訳です。中国の僧である鳩摩羅什(くまらじゅう)がこの漢訳を手掛け、妙法蓮華経が誕生しました。
日蓮宗では、すべての人に仏の心が備わっていると考えます。仏を信じて法華経の教えの通りに生きることで、本来の仏の心が現れてくると考えられており、法華経は日蓮宗の教えのベースとも言える経典です。ちなみに、「仏のような心になれば、自然に幸せになれるような道が開ける」というのも、日蓮宗の教えです。
日蓮宗については、宗教団体である創価学会と関係が深いというイメージを持っている方もいるかもしれません。実際、日蓮宗は創価学会とつながりを持っていた時期もあります。
創価学会は、もともとは学校の教員などが結成した創価教育学会が母体です。この創価教育学会は、かつて日蓮宗の1派である日蓮正宗に関連団体として所属していたことがありました。このようないきさつがあることから、日蓮宗は創価学会と関わりが深い、というイメージを持つ方も少なくありません。
創価教育学会は1945年に宗教法人になり、創価学会として活動を始めます。しかしながら、1991年に日蓮正宗が創価学会を破門にしたため、以後は別々の宗教として活動を行うことになりました。
ちなみに、日蓮宗と日蓮正宗、創価学会は、法蓮華経を経典としています。同じ経典の教えをベースに活動している点も、日蓮宗と創価学会の関係性が取りざたされる理由と言えるでしょう。
日蓮宗の葬儀には、他の仏教の宗派には見られない特徴があります。例えば、お題目を重視するところは、日蓮宗の葬儀の重要なポイントと言えるでしょう。
日蓮宗のお葬式では、南無妙法蓮華経のお題目を唱えることが重要視されています。葬儀の際にもさまざまなシーンでこのお題目が唱えられています。
南無妙法蓮華経のお題目には功徳が込められているため、繰り返し唱えることで故人の法華経への信心の深さを示せると日蓮宗では解釈します。僧侶や参列者が唱えるお題目は、故人の信心深さをたたえるための行為でもあります。
日蓮宗では、信心の深さを示すことで霊山浄土で釈迦牟尼仏に会えるようになり、成仏ができると考えます。したがって、故人を成仏させるためにも、僧侶や参列者がお題目を唱えることは大きな意味があるわけです。
日蓮宗の場合、故人が亡くなった日の夜、もしくは次の日の夜に通夜が行われるのが一般的です。葬儀や告別式は通夜の翌日になるのが通常のスケジュールです。葬儀や告別式は、午前10時ごろから始まり、2時間程度で閉会をするのが習わしです。葬儀の中で行われるのが、次のような儀式です。
葬儀は、開式の宣言から始まります。僧侶による読経が済むと、総礼という儀式が行われるのが日蓮宗の葬儀です。総礼は、僧侶と参列者がともに合掌してお題目を3回唱える儀式です。日蓮宗の葬儀では、この後に道場偈と呼ばれる曲を流して仏を迎えます。
その後に行われる勧請は、日蓮上人や久遠釈尊、四菩薩などを招く儀式です。
また、法華経の功徳をたたえるのが開経偈です。この儀式では、法華経の主要な部分を参列者が全員で読経をします。さらに、開経偈の次に行われるのが、南無妙法蓮華経を唱える唱題です。参列者が僧侶と一緒に読経をするという点は、日蓮宗の葬儀ならではの特徴です。
他の宗派の場合、参列者は最初から最後まで読経を聞いているだけであることが多いですが、日蓮宗では参列者も一緒に参加をして葬儀を進めていきます。
葬儀の途中では、以下のような儀式も行われます。
開棺は、僧侶が棺の傍に立ち、棺の蓋を叩いて音を立てながら読経し、供物やお膳を祭壇へと捧げる儀式です。僧侶は本尊に一礼をしてから棺のところに進み、焼香をし、開棺の文を唱えます。霊膳や茶湯と呼ばれる食事や茶を供えるのが本来の開棺のやり方ですが、実際にはあらかじめ祭壇に供物やお膳を供えておくなど、プロセスを省略するケースが多いです。ちなみに、この開棺は、その後に行われる引導の儀式の前触れの意味合いもあります。
次いで行われる引導は、仏様に故人を引き合わせるための儀式であり、葬儀のプロセスの中でもとくに重要な部分です。引導の儀式では、払子という仏具を僧侶が振りながら引導文を読み、僧侶が払子を3回ほど振り、さらに焼香を3回した後に引導文を読み上げるのが主な流れです。
焼香のマナーは宗派によって変わることが多いため、日蓮宗の場合も事前にしっかりと確認しておくのがベストです。日蓮宗の葬儀では、南無妙法蓮華経を唱えながら参列者が順次焼香を済ませていくのが一般的な流れです。自分の番がやってきたら、以下の手順で焼香を行いましょう。
日蓮宗の葬儀では、同じ要領で3回ほど焼香を行うのがマナーです。実際、僧侶は3回の焼香を行いますが、一般の参列者の場合は1回のみでも構いません。状況に応じて1回から3回の焼香を行いましょう。
また、焼香の際には香を額に押し当てるようにするのがポイントです。宗派ごとにやり方が異なるため、わからない場合は僧侶や遺族、親族の動作を真似てみるのが1つの方法になるでしょう。
日蓮宗で使用する数珠は、形に少し特徴があります。
他の宗派で用いられている数珠とはデザインが異なりますので、自分の家が日蓮宗というときには、ぜひ正式なスタイルの数珠をそろえておきましょう。
日蓮宗の数珠は、珠の数が108個のものが正式とされていますが、片側に2本の房、もう一方に3本の房がついているのが特徴です。数珠を持つ際は、房が2本の側を右手の指に、3本の側を左手の指にかけます。
菊房がついているものが、日蓮宗本来の数珠と考えられています。菊房は小さな球形の房で、数珠の素材やデザインにより色が異なります。
日蓮宗の葬儀に参列する際、正式な数珠を持っていない場合は、手持ちの数珠を使用しても問題ありません。ただし、施主の場合はできれば正式な数珠を用意することが望ましいです。
葬儀に参列する際には、先方の宗派にかかわらず香典を持参します。香典の金額は、先方との関係を考えてある程度自分で決められますが、不祝儀袋の表書きには一定のマナーがあります。先方が信仰している宗派によって表書きが異なりますので、間違わないようにしましょう。
日蓮宗の葬儀では、香典に「御霊前」や「御香典」と記載するのがマナーです。香典を渡すのが少し遅れた場合にも、四十九日を過ぎる前であれば、引き続きこういった文言を表書きに書くことができます。ただ、四十九日を過ぎてからは「御仏前」か「御香典」にします。
曹洞宗や臨済宗など、仏教の他の宗派でも香典の表書きは日蓮宗とほぼ同じです。ただ、浄土真宗だけは、四十九日を過ぎる前から「御仏前」を使います。したがって、浄土真宗の葬儀に香典を持参するときには、「御霊前」ではなく「御仏前」と書きましょう。
「御霊前」、「御香料」、「御香奠」などは、神式やキリスト教式の葬儀の香典にも使えます。また、とくに信仰を持っていない無宗教の方の葬儀にもこの手の表書きは可能です。先方の宗教が分からないときには、あえて無難な表書きにしておくとマナー違反にならずに済みます。
日蓮宗の葬儀には、参列者が全員で読経するシーンがあります。
このような光景は、他の仏教の宗派では余り見られません。他の宗派を信仰している方や無宗教の方は、日蓮宗の葬儀の際に戸惑いを感じる可能性がありますので、参列する際には少し注意が必要です。
事前に先方が日蓮宗であることが分かっている場合は、葬儀の流れなどをひととおりチェックしておくといいかもしれません。
葬儀のプロセスを理解していれば、全員で読経をするときにもタイミングを逃してしまうことがなくなるでしょう。
「南無妙法蓮華経」という日蓮宗のお題目を知っているだけでも、葬儀で感じる戸惑いはだいぶ減ります。
初めて日蓮宗の葬儀に参列する、というときには、できるだけ葬儀についての情報を集めておきたいところです。
急に葬儀に参列しなければならないなど、どうしても準備ができない場合でも、他の参列者と同じような行動を心がければ、大きな間違いは少なくなります。
葬儀は、故人や遺族への哀悼の気持ちが大切になってきますので、葬儀のしきたりが分からない場合でもいたずらに不安を感じることはありません。
周囲の参列者に葬儀の流れを教えてもらえば、初めて日蓮宗の葬儀に出るときにも自信を持って供養ができるでしょう。
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※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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