浄土宗葬儀の特徴!浄土真宗との違い・流れ・注意点・マナーを解説

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浄土宗というのは法然上人を宗祖とする宗派で、鎌倉仏教の1つに数えられています。日本で開かれた浄土宗は、「専修念仏」を主な教えとし、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで極楽往生できると考えらえている宗派です。

儀式は他の宗教や宗派と共通していますが、浄土宗の葬儀では序分(じょぶん)で仏さまを迎え、正宗分(しょうじゅうぶん)で中心的な儀式を行い、流通分(るつうぶん)で法要を終えたことへの感謝を述べるというのが主な流れです。

この記事では、浄土宗とはどのようなものなのかをはじめ、浄土宗葬儀の特徴、流れ、参列の注意点、マナーについて詳しく解説します。

この記事の監修者

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浄土宗とは

浄土宗とは

浄土宗の葬儀について知る前に、浄土宗とは何か知っておくとより理解が深まりやすいです。

ここでは、浄土宗について詳しく解説します。

浄土宗の教え

浄土宗は、法然上人が1175年に開いた日本の仏教宗派です。

南無阿弥陀仏と念仏を唱えることで極楽浄土に行くことを願うのが主な信仰となっています。

具体的な教えとしては、以下のようなものがあります。

  • 往生:念仏を唱えることで死後、阿弥陀仏の慈悲によって穢土(穢れた世界)や煩悩(心を乱す欲望)を離れ、仏の住む浄土に生まれることができるという教え
  • 専修念仏:念仏を唱えることで阿弥陀仏の救いを受け、極楽浄土に行けるという教え
  • 他力本願:自らの力ではなく、阿弥陀仏の慈悲によって救われるという教え

以上の三つはいずれも、念仏を唱えること、阿弥陀仏の慈悲を受けること、極楽浄土に行けることの3点で共通しているのが特徴です。

より簡単に説明すると、誰もが過酷な修行をせずとも念仏を唱えるだけで阿弥陀仏の慈悲により極楽浄土へ行けるという教えといい換えられるでしょう。

浄土宗の歴史

浄土宗は法然上人の門流を源流として広がるなかで、後世にいくつかの流れへ分かれていきました。

大きな系統として知られるのが「鎮西派」と「西山派」で、鎮西派は浄土宗の中心的な流れとして寺院組織が整えられ、総本山は京都・東山の知恩院に置かれています(その下に七つの大本山と一つの本山、三つの特別寺院がある)。

一方の西山派は、法然門流に連なる点では同じ土台を持ちながらも、法人上は「宗教法人浄土宗」には含まれず、別の宗派として扱われるのが特徴です。

西山派は更に分かれて以下の三派へ分派しており、同じ浄土教系統でも系譜や組織のまとまり方が異なります。

西山浄土宗総本山は長岡京市の粟生光明寺(報国山念仏三昧院光明寺)
西山禅林寺派は京都市左京区の永観堂禅林寺(聖衆来迎山無量寿院禅林寺)
西山深草派総本山は京都市中京区の誓願寺

こうした分化の過程の先には、親鸞による浄土真宗の成立など、浄土教が日本仏教の中で多様に展開していく流れも見て取れます。

浄土真宗との違い

浄土宗と浄土真宗は、いずれも阿弥陀如来を中心に据えるため似て見えやすく、混同されることも少なくありません。

ただし成り立ちと、念仏をどう位置づけるかに違いがあります。

浄土宗は法然上人の流れをくむ宗派で、「南無阿弥陀仏」と称える実践そのものを信仰の表れとして重視するのが特徴です。

一方、浄土真宗は親鸞聖人が法然門下から展開して開いた宗派で、同じ念仏でも「唱えること」より阿弥陀仏の救いを信じる信心を重んじ、念仏はその心のあらわれとして受け止められます。

つまり両者は、念仏をめぐって行為に重きを置くか、信心に重きを置くかという点で整理すると分かりやすいでしょう。

なお、寺院の掛け軸(お荘厳)は宗派の傾向を見分ける手がかりになる場合がありますが、構成は寺院や系統によって異なることがあります。一例として、浄土宗では阿弥陀如来を中心に善導大師や法然上人を配する形式が見られ、浄土真宗(本願寺派)では阿弥陀如来を中心に親鸞聖人・蓮如上人を配する形式が用いられることがあります。

浄土宗葬儀の特徴

浄土宗葬儀の特徴

浄土宗の葬儀は、阿弥陀仏への信仰を背景に、念仏(称名念仏)を重んじて営まれることが多い宗派です。ここでは、浄土宗葬儀の特徴について詳しく解説します。

極楽浄土に導くための下炬引導を行う

浄土宗の葬儀では、極楽浄土に導くための下炬引導を行うのが通例です。

  • 下炬:ご火葬で使用される松明の火、またはご火葬そのものを表す言葉
  • 引導:故人さまを仏の世界へ導く、引導を渡すことを指す言葉

下炬引導では、お坊さんが2本の松明の代わりとなる法具を2本取り、穢土や煩悩にまみれたこの世を嫌い離れるという意味で、片方を捨てます。

その後、もう片方で円を描き、下炬引導文を読み終えたと同時に捨てます。

これは、極楽浄土に往生したいと心から願い求めることを意味する所作で、浄土宗の葬儀ではお坊さんが一通り儀式を行うことで故人さまが仏の世界に行けると考えられているのです。

南無阿弥陀仏で念仏一会を唱える

もう一つの儀式として、浄土宗の葬儀では南無阿弥陀仏で念仏一会を唱えるのが通例です。

  • 念仏:南無阿弥陀仏といった文言を唱えることを表す言葉
  • 一会:念仏を一連の行為として繰り返し唱えることを指す言葉

念仏一会は、浄土宗独自の葬儀形式の一つであり、僧侶と共に参列者が「南無阿弥陀仏」を10回または一定時間唱える儀式です。

信者が信仰心を深めるためでなく、阿弥陀仏と参列者の縁を結ぶ意味が込められているため、浄土宗の葬儀では全員で念仏を唱えることが求められます。

他の要素は大体同じ

その他の要素に関しては、仏教の葬儀であれば大体共通しています。

故人さまが亡くなられた後は、お通夜・葬儀・告別式・ご火葬を行い、無事に成仏されることを願うのが僧侶と参列者の務めです。

しかし、葬儀は宗教や宗派だけでなく家庭や地域によっても千差万別であるため、必ずしも同様の儀式を行うとは限りません。

場合によっては地元ならではのやり方があるため、注意が必要となるでしょう。

浄土宗葬儀の流れ

浄土宗葬儀の流れ

浄土宗の葬儀は、儀式全体を「序分」「正宗分」「流通分」の三部構成で捉えるのが基本です。

加えて、寺院や状況により、故人を仏弟子として位置づける授戒、僧侶が教え導く引導が組み込まれることがあります(生前に授戒を受けている場合などは省略されることもあります)。

ここでは、全体像と代表的な進行を簡潔に整理します。

序分

序分は、葬儀の場に仏さま(諸仏)をお迎えし、儀式を始める準備を整える段階です。

この段階では、讃歎(仏徳をたたえる)や、諸仏を招く趣旨の作法が行われます。

式次第は寺院や導師の流儀によって異なりますが、一例として奉請(諸仏の入場を願う)に続いて懺悔などが行われる場合があります。

正宗分

正宗分は葬儀の中心となる段階で、僧侶の読経や参列者の焼香がまとまって行われます。

また、授戒・引導が行われる場合は、この中心部の流れの中で位置づけられることがあります。

具体の次第は前後することもありますが、一例として剃度作法・十念、三帰三竟、授与戒名、開経偈、誦経、発願文、摂益文、念仏一会などへと進む形が挙げられます。

さらに寺院によっては下炬引導などが行われることもあります。

流通分

流通分は法要を結ぶ段階で、無事に勤め終えたことへの感謝を述べ、仏さま(諸仏)をお送りする趣旨で進行します。

経文を唱え、最後に回向を行って結ぶ形が一つの例です。

実際の次第は寺院の作法や葬儀の形態によって前後することがあるため、事前に菩提寺へ確認しておくと安心です。

浄土宗葬儀の参列の注意点

浄土宗葬儀の参列の注意点

浄土宗の葬儀に参列する場合、忌み言葉・重ね言葉は口にしない、受付で挨拶して芳名帳に記帳する、大声で叫んだり笑ったりしないなど、いくつか注意が必要です。

ご遺族の意向を尊重したり、無理に励ましたりしないといった点にも注意が必要でしょう。

ここでは、浄土宗葬儀の参列の注意点について詳しく解説します。

浄土宗葬儀の参列のマナー

浄土宗葬儀の参列のマナー

浄土宗の葬儀に参列する場合、お供え物をはじめお香典や数珠・服装、読経・焼香などのマナーについて知っておくと安心です。

ここでは、浄土宗葬儀の参列のマナーについて詳しく解説します。

お香典のマナー

お香典に関しては、別途で辞退の旨がない限りは持参するのがマナーです。

浄土宗の場合、表書きには御香典もしくは御霊前、四十九日以降にお渡しする場合は御仏前と書くのがマナーとなります。

金額や名前、住所は差出人がわかるよう読みやすい字で書きますが、表書きに関しては薄墨でお書きください。

薄墨で書く理由は諸説ありますが、急な訃報で墨をする時間がなかった、故人さまを失った悲しみで墨が滲んだということを暗に示すためとされています。

なお、お香典はお香典袋に入れ、袱紗(ふくさ)と呼ばれる布に包んで持参するのがマナーです。

ご遺族によってはお香典返しや参列者の負担を軽減したいとの意向でお香典を辞退されている場合があるため、お香典辞退の旨があった場合は無理にお渡ししないようにしましょう。

数珠・服装のマナー

浄土宗の葬儀では、数珠や服装にも気を配る必要があるでしょう。

数珠に関しては、日課数珠と呼ばれる輪がつながっているタイプの数珠をご使用ください。

浄土宗の葬儀では、一般的に輪のつながった略式念珠(日課数珠)を使用します。性別によって数珠の種類が異なるという明確な決まりはありませんが、珠数の多いものを選ぶ方もいます。

服装に関しては、男女ともに喪服を着用しましょう。

主に男性は黒のスーツやモーニングコート(靴下もネクタイも黒のもの)を着用、女性は黒のスーツやワンピース(ストッキングも黒のもの)を着用するのがマナーです。

なお、華美なアクセサリーや装飾品は避け、真珠のネックレスなどでまとめます。

化粧も控えめなナチュラルメイクを心がけ、派手なものは避けるべきです。

読経・焼香のマナー

浄土宗の焼香の回数に厳密な決まりはなく、地域や寺院(導師)によって異なりますが、一般的には3回が目安とされることが多いです。

主な手順に関しては、以下をご参考ください。

焼香台に進み、ご遺族と参列者に一礼する
香炉の前で合掌し、一礼する
親指・人差し指・中指で抹香をつまむ
つまんだ抹香を額に当て、香炉に入れる
再び香炉の前で合掌し、一礼する
ご遺族と参列者に一礼し、席に戻る

お線香の扱い(本数を立てる/折って寝かせる「寝線香」など)や、火の消し方(左手であおいで消す等)は、浄土宗でも地域・寺院・僧侶の考え方で異なる場合があります。

迷う場合は、会場の案内や周囲の作法に合わせる、または事前に確認しておくと安心です。

まとめ

一般的なお葬式は、1日目にお通夜、2日目に葬儀・告別式・ご火葬という流れで行われることが多く、浄土宗でも同様の流れで執り行われるのが基本です。

よりそうお葬式では、お通夜・葬儀(告別式)・ご火葬までを行う一般葬のほか、身内中心で執り行う家族葬の形式もご用意しており、浄土宗の葬儀にも対応しています。

監修者のコメント

浄土宗では必ず数珠を持つこととされていますが、形に特徴があり、二連の日課数珠(輪貫数珠)を使います。二つの数珠をひとつにつないだもので、念仏をとなえるごとに丸玉をひとつずつ繰り上げると6万遍の称名念仏ができるように工夫されています。

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記事の制作・編集

よりそうお葬式 コラム編集部

よりそうは、お葬式やお坊さんのお手配、仏壇・仏具の販売など、お客さまの理想の旅立ちをサポートする会社です。

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