浄土真宗ってどういう宗派?特徴や葬儀のマナーを紹介

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日本の葬儀は80%が仏式で行われていると言われていますが、仏教にもさまざまな宗派があります。

宗派毎に葬儀の作法やマナーが微妙に異なるため、いざという時に迷うことがないようポイントを押さえておきたいものです。

特に浄土真宗は、数ある仏教宗派の中で最も信仰者が多いため、参列先の葬儀が浄土真宗である可能性は少なくないでしょう。加えて、浄土真宗には他の宗派にない独特な作法やマナーがたくさんあります。

今回はそんな浄土真宗の基礎知識や特徴、葬儀でのマナーについて見てみましょう。

この記事の監修者

人はなぜ弔い、弔われるのか、葬送儀礼を意味のある営みとして理解し、私たちは次世代へ伝えていきます。葬送儀礼マナー検定実施中。

浄土真宗にはどんな特徴がある?

浄土真宗は、浄土信仰にもとづく日本仏教の宗派の一つで、一般に鎌倉仏教の一つとしても説明されます。

浄土真宗は、法然の門下であった親鸞を宗祖とし、阿弥陀如来の本願(「すべての人を救う」という誓い)をよりどころに、阿弥陀如来のはたらき(他力)によって救われることを大切にします。

また、浄土真宗には複数の宗派があり、代表的な十の宗派は「真宗十派」と呼ばれます。なかでも、西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派と、東本願寺を本山とする真宗大谷派は大きな教団として知られています。

※門徒とは、浄土真宗で信徒(檀家)を指す言い方です。

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親鸞と「肉食妻帯」の関わり

日本では明治5年(1872)の太政官布告をきっかけに、僧侶の肉食や妻帯などが公的に容認されていきました。一方、浄土真宗は歴史的に妻帯した僧侶が多い宗派として知られ、親鸞(浄土真宗の宗祖)が「非僧非俗」を名乗ったことや、妻とされる恵信尼に関する史料が伝わることから、親鸞の生き方と結びつけて語られることがあります。

当時、戒律上は出家者に肉食や性行為を慎むことが求められるという建前がありました。そのため、親鸞の生き方については、阿弥陀仏の本願(身分や立場を問わず救うという誓い)を重んじる教えとの関係から説明されることがあります。

ただし、肉食妻帯を「意図的に行った理由」を一つに断定するのではなく、歴史的背景や解釈には幅がある点に留意が必要です。

浄土真宗の3つの経典

浄土真宗では、浄土の教えを説く三つの経典を、よりどころとなる重要なお経として重んじています。

これらは一般に「浄土三部経」と呼ばれ、「仏説無量寿経」「仏説観無量寿経」「仏説阿弥陀経」の三つを指します。

仏説無量寿経(大経)

「仏説無量寿経」は、浄土三部経の中心となる経典として、とくに大切にされています。分量が多いことから「大経」とも呼ばれます。

この経典では、阿弥陀如来が法蔵菩薩であったとき、すべての人々を救うために四十八の誓願(本願)を立て、その願いを成就して仏となったことが説かれます。また、阿弥陀如来の光明と寿命が無量であること、極楽浄土の荘厳なありさまなどが描かれています。

四十八願のうち第十八願は、とりわけ重要な誓願として知られ、浄土真宗の信仰理解の中核として語られます。要旨としては、阿弥陀如来の救いを信じ、浄土に生まれたいと願い、名号(念仏)を称える者を救うという趣旨が示される、と理解されます。

さらに経典の末尾では、時代が下り仏教が衰えていく中でも、この教えが人々のよりどころとして伝えられていくという趣旨が述べられます。

仏説阿弥陀経(小経)

「仏説阿弥陀経」は、極楽浄土のありさまや阿弥陀如来の徳を讃える内容が説かれる経典です。『仏説無量寿経』を「大経」と呼ぶのに対して、『仏説阿弥陀経』は「小経」とも呼ばれます。

経典の中では、極楽浄土が西方の彼方にあることが示され、浄土の世界を具体的に思い描く手がかりが語られます。

また、この教え(この経)を諸仏が讃歎し、信受を勧める趣旨も説かれており、阿弥陀如来の救いの尊さを理解する上で重要な経典だといえるでしょう。

仏説観無量寿経(観経)

「仏説観無量寿経」は略して「観経」と呼ばれ、苦悩の中にある人々が救いに遇う道が説かれる経典として知られます。とりわけ、重い罪を負う者を含め、さまざまな境遇の人々が救いと関わる可能性が語られている点が特徴です。

この教えを説く導入として、序文には「王舎城の悲劇」と呼ばれる物語が描かれます。韋提希(いだいけ)が、夫の頻婆娑羅王と子の阿闍世(あじゃせ)をめぐる宮廷の悲劇に巻き込まれる中で苦悩し、釈尊がその問いかけに応えて浄土の教えを説いていく流れが示されます。

また、経典名に「観」の字がある通り、浄土を観想するための十六の観法(十六観)が説かれていることも、大きな特徴です。

浄土真宗の葬儀の特徴とは?

ここでは、浄土真宗の葬儀で大切にされる考え方や、他宗派の葬儀と異なりやすい点を中心に整理します。

浄土真宗の葬儀は「何を目的として営むのか」が特徴として語られるため、順を追って見ていきます。

故人の供養ではなく阿弥陀仏への報恩感謝

浄土真宗では、葬儀や法要を「亡き人のために功徳を積んで回向し、冥福や成仏を願う場」というより、阿弥陀如来のはたらき(救い)を聞き、報恩感謝の思いを新たにする場として受けとめることが多いと説明されます。

その背景には、阿弥陀如来の本願をよりどころとして、命終わるときに浄土に生まれる(往生する)といただく考え方があります。

このため、式の中心は故人そのものではなく、ご本尊(阿弥陀如来)を礼拝することに置かれる、という点が特徴として挙げられます。

引導や授戒がない

浄土真宗の葬儀では、他宗派の葬儀で行われることのある「引導」や「授戒」を行わない、と説明されます。一般には、引導は亡き人を送り導く作法、授戒は戒を授けて仏弟子として位置づける作法として理解されています。

浄土真宗では、亡き人の行いによって悟りを目指していくというよりも、阿弥陀如来の本願をよりどころとして往生が成り立つと受けとめるため、葬儀の場で引導・授戒を中心儀礼として置きません。

また、他宗で用いられる「戒名」に対して、浄土真宗では「法名」を用います。法名は、仏弟子として生きていく名として授かるものとされ、生前にいただく場合もあれば、事情により葬儀の場(臨終勤行など)で授かる場合もあります。

葬儀の流れ

浄土真宗の葬儀の進み方は、寺院(派)や地域、葬儀社の運用によって細部が異なりますが、一般には僧侶の読経と参列者の焼香を中心に営まれます。以下は代表的な例です。

なお、浄土真宗には本願寺派・大谷派などがあり、儀式の呼称や進行には違いが出ることがあります。

臨終

臨終に際しての作法(末期の水など)は、浄土真宗では一般に重きを置かず、行わない場合も多いとされます。

納棺

湯灌などで身体を整え、装いを整えて納棺します。納棺の場に僧侶が立ち会い、お勤め(勤行)や念仏が称えられることもあります。

通夜・葬儀

通夜・葬儀では読経と焼香を中心に進み、『正信偈』や『御文章』などが用いられることがあります。念仏を称えることも大切にされます。

火葬

火葬場でお勤めが行われ、焼香する場合があります(呼び名や有無は地域・寺院で異なります)。

還骨・その後

還骨後にお勤めを行う場合もあります。いずれの場合も、浄土真宗では式全体を通して、ご本尊(阿弥陀如来)を礼拝しつつ、亡き人を縁として教えを聞き、報恩感謝の思いを確かめる、という趣旨で説明されます。

浄土真宗の焼香の方法は?

急な葬儀で迷ってしまうのが、お焼香の作法です。浄土真宗の焼香の特徴は以下の3点です。浄土真宗と分かっていれば、これらを押さえておきましょう。

  • 額におしいただかない
  • 本願寺派(西)の焼香回数は1回。
  • 大谷派(東)の焼香回数は2回。

具体的な流れは以下の通りです。

  1. 焼香卓の一歩手前で進み出て、遺族に一礼します。
  2. 焼香卓へと進み、故人に一礼します。
  3. 右手でお香をつまみ、香炉にくべます(本願寺派は1回、大谷派は2回)
  4. 合掌して「南無阿弥陀仏」を唱えます
  5. 焼香卓から少し後ろに離れた場所で1度立ち止まって、故人に一礼します
  6. 遺族に一礼してから席に戻ります

香典袋の表書きはどうすればいい?

お香典は、故人様へのお供えとして包まれるお金のことです。

浄土真宗であっても表書きは「御香典」としても何ら問題はありません。「香典」という言葉が「香のお供え物」を意味し、浄土真宗でもお香を焚くからです。

他にも「御仏前」という言葉も使えます。これは、浄土真宗では亡くなった人は等しく極楽浄土に往生し、仏になると考えられているからです。

逆に、「御霊前」は使わないとされています。ここでいう「霊」とは、仏になるまでの四十九日の間の存在のことを指しますが、浄土真宗では先ほどから述べているように、亡くなった人はすぐに成仏すると考えられ、「霊」という概念がないためです。

水引の色は双銀、黒白、黄白などが用いられますが、これは宗派の違いではなく地域性などによります。迷ったときは葬儀社などに相談してみましょう。

浄土真宗でやってはいけないこと

浄土真宗には、葬儀や日常の作法で「しない」とされる振る舞いや、言葉選びの注意点があります。

これはタブーが多いというより、浄土真宗が大切にする教え(阿弥陀如来の本願、報恩感謝)と目的が合わない作法を避ける、という整理が分かりやすいでしょう。

ここでは代表的な例を、理由とあわせて紹介します。

真宗の教義と関係のないものはタブー

浄土真宗では、阿弥陀如来の本願をよりどころとして念仏の教えを聞き、報恩感謝を大切にします。

そのため、葬儀や日々の信仰においても、「不安を鎮めるためのまじない」や「死を穢れとして扱う作法」など、教義の目的と合わないものは控えるよう説明されることがあります。

葬儀におけるタブー

「戒名」ではなく「法名」

浄土真宗では、他宗で用いられる「戒名」とは別に、「法名」を用います。葬儀で授戒(戒を授ける儀礼)を中心に据えないため、呼び方や位置づけが異なる、と説明されます。

枕飯・枕団子を供えないことが多い

枕飯や枕団子は、亡き人の“旅支度”として供える風習ですが、浄土真宗では死後の旅を前提にした考え方を重視しないため、供えないことが多いとされます(ただし地域や家の慣習で異なる場合があります)。

清め塩を用いない

浄土真宗では死を穢れとして扱わず、往生という教えの文脈で受けとめるため、穢れを祓う目的の「清め塩」は用いないと説明されます。

日々の信仰におけるタブー

般若心経を読む

浄土真宗では、葬儀や法要で用いるお経は浄土の教えを説く経典などが中心とされ、一般に「般若心経は読まない」と説明されます。

日々の吉凶・占い等に信仰を預ける

日柄の吉凶や占いによって不安を処理するよりも、阿弥陀如来の教えを聞き、念仏の教えに遇うことを大切にする、という立場から、占い等を信仰の拠り所にしないよう勧められます。

「冥福を祈る」と言う

浄土真宗では、亡き人の行き先を不確かなものとして“冥福”を祈るより、阿弥陀如来の救いを聞いて報恩感謝の思いを確かめる、という趣旨で葬儀・法要を受けとめます。そのため弔意の言葉として「冥福を祈る」は避ける、と案内されることがあります。

位牌や仏壇の飾り方を“先祖供養の中心”にしてしまう

浄土真宗では礼拝の中心はご本尊であり、仏壇も本尊を中心に荘厳します。位牌や写真などの扱いは家庭事情もありますが、少なくとも「何を礼拝の中心にするか」が曖昧にならないよう配慮する、という考え方で整理すると分かりやすいでしょう。

お盆の“迎え火・送り火”を信仰の中心に置く

お盆の行事そのものを否定するというより、浄土真宗では霊を迎え送る発想を信仰の中心に置かず、亡き人を縁として教えを聞き、報恩感謝を確かめる機会として受けとめる、という説明が一般的です。

まとめ

今の時代においても、浄土真宗が仏教宗派の中でも最大勢力を誇るのにはそれなりの理由があります。

親鸞という己の哲学を探求しつくした生きざまと、死と同時に極楽浄土へ導いてもらえるという分かりやすい教えは、鎌倉時代の動乱を生きる人々だけでなく、現代の私たちにとっても力強い支えとなってくれます。

浄土真宗はその特徴的な教えから、他の仏教宗派とは異なる考え方やマナーが多くあります。浄土真宗について事前に正しい知識を身につけておくことで、心を込めて、故人に、そして阿弥陀如来に向き合うことができることでしょう。作法が不安な場合は菩提寺や葬儀社に相談しておくと安心です。

 

監修者のコメント

浄土真宗では位牌を必要とせず、線香も立てずに寝かせて焚いたり、焼香は額にいただかないなどの作法があります。門徒の方でも「詳しい作法はよくわからない」という声も少なくありません。決まり事が多くて厳しいようにもとれますが、ほとんどは「〇〇してはいけない」ではなく、「〇〇する必要がない」という解釈になります。旅立ちの白装束は必要ありませんが付けることを否定しているわけではないですし、御霊を入れるわけではありませんがシンボルとして位牌が欲しいという場合は作ることを否定しないという考えです。

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よりそうお葬式 コラム編集部

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