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葬儀社にはさまざまな業態のものがあり、その中の一つが冠婚葬祭互助会、いわゆる「互助会」です。互助会は、元気なうちに毎月一定金額を積み立てて、結婚式や葬儀のサービスを受けられるというものです。
葬儀はいつやってくるか分かりませんし、多額な費用がかかります。そんな方にとって、互助会は大変便利なシステムです。しかし一方で、しつこい勧誘方法や解約渋りなどをめぐってトラブルに発展した事例も見られます。
互助会制度によって、本当に私たちにとって満足いくお葬式が実現できるのか。この記事では互助会の仕組み、メリットやデメリット、毎月の掛け金や解約手数料などについて詳しく解説いたします。
互助会は、正式名称を「冠婚葬祭互助会」と呼びます。
この名称から分かるように、互助会が扱うのは葬儀だけでなく、結婚式も含まれます。互助会が提供するサービスは、結婚式、葬儀、法要、貸衣裳、料理など、冠婚葬祭にまつわるあらゆる儀式に対応してくれるのです。
人生において、もっともおめでたい「結婚式」と、突然やって来る「葬儀」ですが、この2大セレモニーには多額の費用がかかります。互助会とは、いずれやってくる結婚式やお葬式にかかる費用を「事前に準備して(支払って)おこう」という発想から生まれました。
互助会は、その名が表す通り、会員同士が「お互いに助けあう」目的で成り立っています。加入者が毎月一定額の掛け金を積立て、高額な費用のかかる「結婚式」や「葬儀」を支えあうのです。
もともと互助会は、貧しい終戦直後に始まりました。貧困に苦しむ中、冠婚葬祭すら満足に行うのも困難でした。そこで、みんなでお金を出し合って、婚礼や葬儀で必要なものを購入して、共同利用しようと始まったのが互助会の成り立ちです。
高度成長期以降は営利化が進み、1973年から通商産業省(現在の経済産業省)の許可事業となりました。
毎月の掛け金を事前に徴収するためには、「前払式割賦販売法」の適用を受け、「前払式特定取引業」として運営されなければなりません。そのためには経済産業大臣の厳しい審査をパスしなければならず、開業後も、事業内容や経営状態も国によって厳しく審査されます。
互助会に加入すると「会員」となり、幅広い料金プランの中から任意の額の積立を行います。また、互助会費に消費税は含まれません。
料金プランはさまざまで、毎月の掛け金は1,000円から5,000円、払込期間は5年から10年の中から選択するものが多いようです。
たとえば1回の支払い金額が2,000円で、支払い回数が100回(8年4か月)の場合は、20万円分の費用を事前に積み立てた上で、プランが定める商品やサービスを受けられます。

たとえば満額20万円のコースに加入していたとしても、葬儀費用に100万円かかったとしたら、残りの70万円は実費で支払わなければならないということです。
一般的に互助会の貯蓄金のみで葬儀・結婚式費用全額が賄えるわけではありません。
互助会に預けた掛け金のうち、50%は国が保証してくれます。万が一契約先の互助会が倒産したとしても、掛け金のうちの半額は返金されるということです。
消費者保護の観点から、互助会には前受金の1/2の保全が義務付けられており、法務局、経済産業大臣が指定する保証会社、銀行などの金融機関のいずれかに供託しなければなりません。
一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)加盟の互助会間であれば、他の互助会への移籍もできます。
「契約先の互助会が倒産してしまった」「遠方に引っ越すために契約が無駄になってしまう」等の理由で、契約が無駄にならないための措置です。
互助会に加入することのメリットとしては以下のような点が挙げられます。
互助会の加入することで、いざという時に備え、葬儀の費用を積立ておけます。月々の掛け金も1000円から始められますので、無理なくお金の準備ができるでしょう。
大切な家族を失った直後は、悲しみで茫然自失となっていて、数多くの葬儀社のプランを比較検討するのは簡単なことではありません。互助会に加入しておけば、分からないこともすぐに相談できます。互助会の契約が、元気なうちに葬儀について考えるきっかけにもなるでしょう。
万が一のことが起きた時も互助会がすぐに対応してくれますので、どの葬儀社に連絡すればいいのかと迷うことがありません。事前に葬儀の希望を伝えておけば、打ち合わせや手配もスムーズに進みます。
万が一、契約金額の満額を支払うまでに会員が死亡しても、満額との差額を支払うことで同様のサービスを受けられます。また、掛け金を完納したあとも、会員が死亡するまでは、加入者としての権利があります。
互助会から受けられるサービスは葬儀だけではありません。結婚式はもちろんのこと、法要の会場利用や料理の手配、七五三の貸衣裳、さらには冠婚葬祭に限らず親睦会などを行いたい時も、互助会の施設を優待価格で利用できます。
万が一互助会のエリア外に引っ越す場合も、同じグループの互助会があれば、同様の積立を続けることでサービスを受けられます。もしもグループの営業所がない場合であっても、全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)加盟の互助会であればそのまま移籍できます。
互助会は葬儀保険のような掛け捨て保険ではありません。万が一解約したい場合は、解約手続きを行うことで手数料を差し引いたの額が返金されます。

互助会制度にはデメリットも存在します。
互助会に途中解約した場合、これまでの掛け金は解約手数料を差し引いて返金されます。この解約手数料が積立金の15~20%とかなり高く、実際に訴訟問題が起きたほどです。
「解約手数料が高額過ぎる」という消費者の声を基に、平成27年1月20日、大阪高裁は、冠婚葬祭事業者の定める約款の解約返戻金条項は「平均的な損害の額」を超えるものとして、消費者側の主張を認める形で条項使用の差し止めを言い渡しました。
そもそも互助会は民間企業ですから、経営破綻や倒産のリスクもあります。
先ほどの章で、互助会が倒産した時には、「割賦販売法」によりそれまで積み立てた掛け金の1/2は保全されるとお伝えしました。しかしこれは言い換えると「半分しか保証されない」とも受け止められます。
互助会に契約していると、その互助会が保有する式場しか利用できません。加入者からすると、葬儀場の選択肢が選択肢が減ることを意味します。
葬儀プランも、互助会が定めるものの中から選ぶこととなります。「会員様価格」や「〇〇%オフ」などと謳っていても、元の金額を高めに設定していることも考えられます。「もっと簡素なものでよかったのに」と思っていても、自分たちが希望するものと違う形のものになる可能性があります。
毎月の掛け金を満額完納したとしても、これで葬儀費用を全額充てられることはなく、費用の一部をまかなうのみです。
互助会のプランは満額で15〜50万円程度のものがほとんどです。家族葬や一般葬をしようとすると平均相場で100万円近く必要となります。互助会の積立金だけでは不十分で、必ず追加費用が生じるのです。
互助会トラブルで多いのが解約渋りです。こちらが解約を申し出ても、なかなか解約に応じてくれないのです。
互助会は、親戚や知人などの人間関係を通じて契約するケースが少なくないため、解約もなかなかしづらく、互助会側もいろいろな理由をつけては解約を避けようとします。
互助会からすると、毎月の掛け金があるからこそ、事前に設備投資をして会社を経営できているため、会員離れは死活問題なのです。

互助会は、賢く利用すると便利な制度ですが、葬儀の知識や互助会の仕組みを分からずに利用することで、結局損をしてしまい、トラブルに発展しかねません。互助会トラブルの対策方法をご紹介いたします。
自分が納得して互助会の会員になったのであれば問題ありませんが、親戚や友人を介して勧誘された場合はなかなか断りづらいものです。
しかし、毎月の少額積立とはいえ、最終的には何十万円にもなる出費を迫られているわけです。入会の判断は慎重に行い、もしも納得ができないようであれば明確に断りましょう。
「掛金で葬儀ができると思っていた」
「追加で費用を請求された」
このような声をよく耳にしますが、これは何も互助会が詐欺を働いるわけではないものの、勧誘を急ぐあまり、説明が不明瞭のこともしばしばです。
また、説明を受ける側も、葬儀のことがよくわかっておらず、しかも契約から葬儀の施行までは長く時間が空いてしまうので、契約時の説明を忘れてしまっていることがほとんどです。
だからこそ、掛け金の満額だけでは葬儀費用をすべてを賄えないということだけは、肝に銘じおきましょう。
日本消費者協会が2022年に発表した「第12回『葬儀についてのアンケート調査』」によると、2017〜2019年の葬儀一式費用の全国平均相場は121.4万円とされています。
あなたの加入するコースの満額はいくらでしょうか。おそらく、100万円には全然届かないのではないでしょうか?
入会コースの基本プランが最も安価なものだったというのもよくある話です。いざ葬儀の実施しようとすると、最安値のAプランではなく、さらに豪華なBプランやCプランを勧められるというのは珍しい話ではありません。
掛け金だけで葬儀ができないのに加えて、入会しているコースが実は最安価のもので、さらにアップグレードを求められるとなると、喪主の費用負担は増えるばかりです。
まずは入会コースにどのような葬儀プランが付帯されているのか、どんなサービスを受けられるのかをきちんと確認しておく事が大切です。
解約を申し込んでもなかなか応じてくれない時には、家族や親戚など、周りの人たちの力を借りて複数人で対応しましょう。また、どうしても埒が明かない場合は消費生活センターなどにも相談しましょう。

もちろん、すべての互助会が悪徳会社であるわけではありません。
急な出費に備えた保険的な意味もあり、加入者の冠婚葬祭費用の負担軽減を目的とした地域密着型の優良な互助会もあります。
ただし、互助会という構造自体が悪質になりがちな傾向にあるのも事実です。加入しようと考えた場合は、きちんとした優良業者であるか否かを自身で判断しなくてはいけません。
互助会に加入する際のポイント
…など、互助会費の仕訳について、はっきり把握してから加入するようにしましょう。
契約書は自分でよく確認して失くさないように保管しておきます。また、少しでも疑問点がある場合は、契約書にサインする前に葬儀費用に詳しい人に相談することをお勧めします。
互助会が良心的な業者であれば、満足して大切な家族の葬儀を行えます。
一方で、小規模かつ低価格の葬儀を望まれる昨今では、ラインナップの中に簡素なプランが少ない互助会方式は廃れつつあるのも事実です。
また、葬儀費用の積み立てを目的とするのであれば、自分自身で積立貯金したり、少額短期保険を活用した「葬儀保険」を利用するなどの方法もあります。費用の積み立てと葬儀の契約を同時にする必要はないわけです。
実際に、互助会が出来たのは戦後の貧しかった時代ですが、それから長い年月が経過して、社会の状況も、葬儀に求められるニーズも大きく変化しました。
お金をかける葬儀がもてはやされる時代もありましたが、昨今は、心のこもった低価格の葬儀を望む方が増えてきています。そうした時代の中で、自分たちの希望する葬儀に互助会方式があっているかどうかは、お客様ひとりひとりが互助会の提供する内容と照らし合わせて判断すべきです。
互助会に入会するのであれば、きちんと契約内容を確認して、まずは家族や親族に相談しましょう。知り合いに専門家がいれば、その人からもアドバイスをもらうことをおすすめします。
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※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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