葬祭扶助制度とは?支給額の目安・対象条件・申請の流れを解説

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葬儀の費用を用意することが難しいとき、葬祭扶助制度を利用できることがあります。対象になるのは、生活保護を受けているご遺族が葬儀を行う場合だけではありません。ご遺族以外の方が、扶養義務者のいない故人さまの葬儀を手配する場合も含まれます。

この記事では、葬祭扶助制度の支給額の目安と含まれる費用、対象条件、申請と葬儀までの流れ、利用するときの注意点、そして葬祭扶助制度以外で葬儀の費用を賄う方法について解説します。

葬祭扶助制度とは

葬祭扶助制度とは、生活保護制度の一種で、経済的な事情により葬儀の費用を用意できない場合に、自治体が最低限度の葬儀の費用を負担する制度です。

葬祭扶助制度を利用して行う葬儀は、福祉葬や生活保護葬と呼ばれることもありますが、いずれも通称です。生活保護法では「葬祭扶助」と定められており、第18条第1項が対象を「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者」としています。

※参考:生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第18条
※参考:厚生労働省「生活保護制度」

葬祭扶助制度が認められた場合、自治体が定める基準額の範囲内であれば、葬儀の費用は原則として自己負担なく賄えます。

葬祭扶助制度で行えるのは「火葬のみ」が原則

葬祭扶助制度で行えるのは、原則として火葬のみの葬儀です。日本ではご遺体の多くが火葬されており、宗教や宗派を問わず行われています。

葬祭扶助制度は「最低限度の葬儀」を支える制度であるため、お通夜や告別式は行いません。

また、読経や戒名授与、お花、湯灌(ゆかん)などのオプションも、最低限の火葬には含まれないため、原則として支給の対象外となります。地域や個別の事情によって例外が認められる場合もありますが、通常は火葬を中心とした最低限度の内容になります。

こうした火葬のみの葬儀は、一般に火葬式(直葬)と呼ばれる形式にあたります。

火葬式(直葬)について、くわしくは以下の記事で説明しています。

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葬祭扶助制度の支給額の目安

葬祭扶助制度の基準額は国が定めており、お住まいの地域(級地区分)によって異なります。2026年度(令和8年度)の基準額は、以下のとおりです※1。

級地区分※2 大人 小人※3
1級地・2級地 22万2,000円以内 17万7,600円以内
3級地 19万4,300円以内 15万5,400円以内

※1 2026年度(令和8年度)の基準額(出典:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」別表第8 葬祭扶助基準)
※2 お住まいの地域がどの級地にあたるかは、申請先の自治体(福祉事務所)へご確認ください
※3 大人と小人の区分は、火葬料などについて市区町村の条例に定めがある場合はその条例により、定めがない場合はその地域の慣行によります

上の金額は基準となる額で、この金額がそのまま支給されるものではありません。実際に支給される額は、必要と認められた範囲の実費にもとづいて自治体が決定します。また、火葬料が高い地域やご遺体の搬送距離が長い場合など、一定の要件を満たすときは基準額に加算が認められることがあります。

葬祭扶助制度に含まれる費用

葬祭扶助制度では、検案(医師による死因などの確認)・ご遺体の搬送・火葬・収骨(火葬後にご遺骨を骨壺に収めること)など、葬儀に必要な最低限の範囲で費用が支給されます。お墓や納骨堂へご遺骨を納める「納骨」の費用は対象外です。

支給の範囲は自治体によって大きく異なります。以下は支給の対象となることがある費用の一例であり、すべてが必ず支給されるものではありません。

  • 安置施設使用料
  • 火葬料金
  • ドライアイス
  • 棺一式(お棺・棺用布団など)
  • ご遺体の搬送費用(寝台車)
  • 仏衣一式、枕飾り一式、白木位牌など(仏式の場合)
  • 後飾り祭壇
  • 骨壺・骨箱

一方、次のような費用は原則として支給の対象外です。

  • お通夜・告別式にかかる費用
  • 読経・戒名授与などの宗教儀式
  • 祭壇・生花などの装飾
  • お墓・納骨堂への納骨、法要の費用

どこまでが支給の対象になるかは、申請先の自治体(福祉事務所)へご確認ください。

葬祭扶助制度の対象条件

葬祭扶助制度には、いくつかの対象条件があります。主な条件を満たしている場合でも、最終的に対象になるかどうかは申請先の自治体(福祉事務所)の判断によります。

対象になる主なケース

葬祭扶助制度の対象になる主なケースは、以下のとおりです。

  • ご遺族が生活保護を受けているなど、葬儀の費用を用意することが難しい場合
  • 故人さまに扶養義務者がおらず、ご遺族以外の方(家主や民生委員など)が葬儀を手配する場合

1つ目のケースでは葬儀を手配するご遺族が費用を用意できないこと、2つ目のケースでは故人さまが遺した金品で葬儀の費用を賄えないことが、それぞれ前提となります。

生活保護を受けていなくても対象になる場合がある

葬祭扶助制度は、現在生活保護を受けていない方でも利用できる場合があります。

葬儀の費用を用意することが難しいと認められる場合に、葬祭扶助のみを単独で受けられることがあるためです(他の扶助とあわせてではなく、葬祭扶助だけを受ける形です)。該当するかどうかは、申請先の福祉事務所へご相談ください。

対象外になる可能性があるケース

次のような場合は、葬祭扶助制度の対象外になる可能性があります。

  • 葬儀を手配するご家族・親族が生活保護を受けておらず、葬儀の費用を負担できると判断される場合
  • 故人さまが葬儀の費用を賄えるだけの資産や金品を残している場合
  • 葬儀を行う前に申請をしていない場合

なお、残された金品だけでは葬儀の費用を賄いきれない場合は、その不足分が支給の対象になることがあります。

自治体によって条件の判断が異なる場合があるため、葬儀の前に必ず申請先の自治体(福祉事務所)へ確認してください。

葬祭扶助制度の申請と葬儀までの流れ

葬祭扶助制度を利用する場合は、葬儀を行う前に申請しておくことが必要です。葬儀が終わった後では原則として申請できないため、順序に注意してください。

申請の時期・場所・申請者

  • 申請の時期:原則として葬儀を行う前です。
  • 申請の場所(ご遺族が葬儀を行う場合):申請者(葬儀を行う方)のお住まいの地域を管轄する福祉事務所です。
  • 申請の場所(ご遺族以外の方が葬儀を行う場合):故人さまがお住まいだった地域を管轄する福祉事務所です。家主や民生委員などが手配する場合があたります。
  • 申請者:一般的には喪主・施主が申請しますが、葬儀社が手続きを代行する場合もあります。

必要書類は、死亡診断書、葬祭扶助申請書、申請者の本人確認書類などが一般的です(葬儀社が手続きを代行する場合は、委任状が必要になることがあります)。

申請の場所や必要書類は自治体や状況によって異なるため、事前に申請先の自治体(福祉事務所)へ確認してください。

申請から葬儀までの基本的な流れ

葬祭扶助制度を利用する場合の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 申請先の自治体(福祉事務所)に相談し、葬祭扶助の対象になるかを確認する
  2. 葬祭扶助制度に対応している葬儀社を選ぶ
  3. 故人さまの搬送・安置を葬儀社へ依頼する
  4. 福祉事務所へ連絡し、葬祭扶助を申請する(葬儀を行う前に申請します)
  5. 支給の決定を受けたうえで、火葬を行う
  6. 葬儀後、葬儀社が申請先の自治体(福祉事務所)へ費用の請求(精算)手続きを行い、自治体から葬儀社へ直接費用が支払われる

日本の法律では、原則として死亡後24時間以内のご火葬は行えません(一定の例外があり得るため、詳細は医師・自治体・葬儀社の案内に従ってください)。そのため、その間は故人さまのお身体をご安置しておく必要があります。

※参考:墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)

なお、葬祭扶助が認められた場合、費用は自治体から葬儀社へ直接支払われるのが一般的で、ご遺族が費用を立て替える必要は原則としてありません。

ただし、取り扱いは葬儀社や自治体によって異なる場合があるため、申請の段階で、葬儀社と福祉事務所に支払いの流れもあわせて確認しておきましょう。

葬祭扶助制度を利用するときの注意点

葬祭扶助制度を利用する際は、以下の点に注意してください。

申請の前に葬儀を進めると対象外になることがある

葬儀の手配は短い時間で進むため、申請が後回しになりやすい点に注意してください。事前の申請をしないまま葬儀を済ませてしまうと、あとから申請しても対象外になる場合があります。

お墓や法要の費用は含まれず、自己資金の上乗せも原則認められない

葬祭扶助制度には、お墓や法要の費用は含まれません。支給金でお墓を建てたり、四十九日や一周忌などの法要(仏式の場合)の費用にあてたりすることはできません。他の宗教・無宗教の場合も、葬儀後の追悼儀式にかかる費用は対象外です。

また、支給される金額に自己資金を足して葬儀の内容を充実させることは、制度の趣旨上、認められない場合が多くあります。取り扱いは自治体や葬儀社によって異なるため、くわしくは申請先の自治体(福祉事務所)と葬儀社へご確認ください。

なお、自己資金で費用を負担できると判断される場合は、葬祭扶助制度の対象外となることがあります。

香典の受け取りと香典返しの費用

葬祭扶助制度を利用する葬儀でも、香典を受け取ること自体が制度上禁じられているわけではありません。

香典は一般に収入として扱われないとされていますが、取り扱いは自治体によって判断が分かれる場合があるため、申請先の自治体(福祉事務所)に確認しておくと安心です。

なお、香典返しの費用は葬祭扶助の対象外のため、用意する場合は自己負担になります。

葬祭扶助制度以外で葬儀の費用を賄う方法

葬祭扶助制度の対象にならない場合でも、葬儀の費用負担を軽くする方法があります。ここでは、葬祭扶助制度以外で費用を賄う主な方法を解説します。

方法 主な対象となる方 申請先・相談先
葬祭費・埋葬料(公的医療保険) 故人さまが公的医療保険に加入していた場合の、葬祭を行った方 市区町村の窓口/健康保険組合・協会
葬儀ローン 葬儀社または提携する信販会社の審査を通過した方 葬儀社
死亡保険金 故人さまが生命保険に加入し、受取人になっている方 加入していた保険会社
公営の火葬場の利用 主にその地域にお住まいの方 自治体

公的医療保険の給付制度(葬祭費・埋葬料)を利用する

故人さまが国民健康保険や後期高齢者医療制度、健康保険などの公的医療保険に加入していた場合は、葬祭を行った方に葬祭費や埋葬料が支給されることがあります。

ただし、故人さまご自身が生活保護を受けていた場合は、国民健康保険・後期高齢者医療制度の対象外となるため、これらの制度からの葬祭費は支給されません。
一方、お勤め先の健康保険(被用者保険)に被保険者またはご家族の被扶養者として加入していた場合は、埋葬料などが支給されることがあります。

また、葬祭費や埋葬料などほかの制度から給付を受けられる場合は、そちらが葬祭扶助に優先して適用されます。受け取った給付はまず葬儀の費用にあてられ、それでも不足する分が葬祭扶助の対象になるかどうかを福祉事務所が判断します。

お問合せ先は、国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合はお住まいの市区町村の窓口、その他の医療保険の場合は加入していた健康保険組合や協会です。

支給の有無や金額、申請の方法など、これらの制度については以下記事をご参照ください。

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給付金制度とは、お葬式後に所定の手続きをすることによって、各保険や組合から葬祭費用の給付金を受け取れる制度です。

葬儀ローンを利用する

葬儀社によっては、葬儀の費用を分割で支払える葬儀ローンを用意している場合があります。利用にあたっては葬儀社または提携する信販会社の審査があり、分割回数に応じた金利・手数料が発生します。総支払額は一括払いより多くなるのが一般的です。

無理のない返済計画が立てられるか十分にご確認のうえ、事前に葬儀社へご相談ください。

生命保険の死亡保険金を利用する

故人さまが生命保険に加入していて、受取人が葬儀を手配する方である場合は、死亡保険金を葬儀の費用にあてられることがあります。受け取れる金額や手続きは保険会社によって異なるため、加入していた保険会社へご確認ください。

公営の火葬場を利用する

自治体が運営する公営の火葬場は、民間の火葬場に比べて費用を抑えられる場合があります。料金は自治体によって異なり、火葬場によっては、その地域に住所がある方のみを対象としている場合もあります。また、混雑によって希望する日時に利用できない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

葬祭扶助制度を利用する葬儀もよりそうお葬式にご相談いただけます

よりそうお葬式でも、葬祭扶助制度のご利用を検討されている方からのご相談を承っています。ただし、支給の可否や支給範囲は自治体の判断によるため、お住まいの地域や状況によってはご対応できない場合があります。

なお、葬祭扶助制度を利用する場合の葬儀の内容や費用は、自治体が定める基準額の範囲内で決まります。そのため、よりそうお葬式の火葬式の葬儀プランに含まれる内容・料金とは異なります。

まずは申請先の自治体(福祉事務所)へご確認のうえ、ご相談ください。生活保護を受けている方の葬儀の進め方や、よりそうお葬式の火葬式の葬儀プランでの対応の詳細については以下記事をご参照ください。

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