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飾り方(祀り方)
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仏壇には何をお供えする?注意点は?
葬儀を終えてから四十九日までの間、自宅に設置された後飾り祭壇に対して手を合わせます。祭壇には遺骨、位牌、遺影、そしてお花やご飯などのお供え物を並べて、故人を偲びます。
本記事では、後飾り祭壇の意義や役割、基本的な配置ルール、お供え物の選び方・供え方、線香・ローソクの灯し方、供養・祈りの方法、後飾り祭壇の片づけ方などを解説していきます。また、後飾り祭壇の種類や組み立て方についても触れています。
これらの知識を身につけることで、故人への敬意を示すとともに、家族や友人が心を落ち着かせ、故人と向き合うことができるでしょう。
まずは、後飾り祭壇の意義と役割について解説します。
後飾り祭壇は、葬儀を終えたあとに、故人の遺骨、位牌、遺影を安置するためのもので、遺族にとっては、故人を偲び、供養するための大切な場所です。
慌ただしい葬儀を終えて、自宅に帰ってきたあと、大切な遺骨や位牌や遺影をどこに置けばいいか迷ってしまうものです。そこかしこに適当に置いておくわけにもいかず、だからこそ、後飾り祭壇が必要となるのです。
また、後飾り祭壇は故人を安置する一時的な「仮の」祭壇だと位置づけられています。四十九日法要を経て成仏すると、故人はご先祖様の仲間入りをしたものとみなされ、仏壇の中で祀られます。四十九日までの期間を「中陰」と呼びますが、基本的に後飾り祭壇は中陰の期間のみに用いられるものです。
葬儀を終えたあと、四十九日まで、7日ごとに僧侶が自宅にやってきて、故人の供養のための法要を営みます。これを「追善法要」や「七日参り」などと呼びます。追善法要の読経は、家の仏壇の前ではなく、後飾り祭壇の前で行われます。
亡くなったばかりの故人の魂を少しでも早く鎮めるため、そして遺族が抱える死別の悲しみを少しでも早く和らげるため、四十九日までは7日ごとに故人を供養してきました。一部、追善法要を省略する地域も見られますが、いまでも全国的に行われています。
葬儀後には、親戚や関係者が故人を偲び、弔問に訪れることも少なくありません。後飾り祭壇にお経やお線香、お供え物などを手向けることで、故人を供養し、心のつながりを感じることができます。
後飾り祭壇は、基本的には葬儀社が用意、そして設置をしてくれますが、最近では遺族が個別に購入することもあります。後飾り祭壇の種類と組み立て方を解説いたします。
2段式の後飾り祭壇は、上段に位牌や遺影を、下段に仏具やお供え物を置くタイプです。組み立ては比較的簡単で、まず上段を設置し、その後下段を組み立てます。位牌や遺影を中心に、仏具やお供え物を適切に配置してください。
3段式の後飾り祭壇は、上段に位牌、中段に遺影、下段に仏具やお供え物を置くタイプです。組み立ては2段式と同様に、上から順番に段を設置し、適切なアイテムを配置していきます。
木製の後飾り祭壇は、高級感があり、重厚な雰囲気を演出します。木製の場合、重さや扱いに注意して組み立てを行ってください。また上から白布を覆うタイプのものもあります。
段ボール製の後飾り祭壇は、軽量で経済的です。また、短期間で使用するため、リサイクルしやすく環境にも優しいと言えます。組み立ては簡単で、折り目に沿って組み立てていくだけです。ただし、段ボール製のため、水分や火気に注意して扱いましょう。
後飾り祭壇には2段のものと3段のものがあります。どちらのタイプでも、基本的な配置のルールに従って、位牌、遺影、仏具を適切に設置することが大切です。
まずは3段の後飾り祭壇の配置をご紹介いたします。
右側に遺骨、左側に遺影を安置します。
中央に位牌を安置し、その両脇に果物やお菓子などのお供え物を置きます。
中央に霊供膳(故人に供えるお膳。中にはご飯、汁物、煮物、和え物を並べる。のちほど詳しく解説します)、そしてその手前にお線香を立てる香炉、右にローソク立て、左に花立を置きます。おりんは右手で鳴らしやすいよう、右側に置きます。
次に2段の後飾り祭壇の配置をご紹介します。
中央に位牌、右側に遺骨、左側に遺影を配置します。
中央に香炉、右にローソク立て、左に花立を置きます。おりんは右手で鳴らしやすいよう、右側に置きます。
「経机」と呼ばれる白木の小机がある場合は、後飾り祭壇の手前に置いて使用します。香炉やローソク立てや花立などを経机の上に置くことで、余裕を持ってお供え物などを並べられます。
スペースの都合上、どうしても後飾り祭壇の上に乗り切らないものもあります。こうしたものは、個別に小机を用意する、畳や床の上に置くなどして対応します。ただし、畳や床に下ろしてもいいものといけないものがあるので注意しましょう。
後飾り祭壇にはどのようなお供え物を並べるとよいのでしょうか。お供え物の選び方や供え方について解説いたします。
お供え物は、毎日変えることが望ましいですが、忙しい場合は数日に一度変えても問題ありません。また、一日の中でのタイミングも、朝にお供えするのが一般的ですが、仕事などの事情で、夜にお供えする家庭もあります。大切なのは、無理をせずに、自分たちの生活スタイルにあったタイミングでお供え物を変えることです。
お花は、故人が好んだものや季節の花を選ぶと良いでしょう。また、香りの強い花は避け、清楚で落ち着いた花が好まれます。
いただいたお花は、花瓶に生けてお供えしましょう。アレンジメントなどでいただいたものは、祭壇の脇、畳や床の上に置いても構いません。
花が傷んだら、適宜手入れや交換を行います。花を切り詰めたり水を替えることで長持ちさせられますが、あまりにも傷んだ場合は、新しい花と交換することのがよいでしょう。
お供え物には、ごはんやお水を基本として、お菓子や果物など、故人が好んだものを選びます。肉や魚を用いない精進料理が望ましいとされていますが、実際にはこれらをお供えしても構いません。
また、季節の食材を用いることで、祭壇まわりにも季節感が生じ、より心を込めて供養ができます。
お供え物は、専用の仏具や清潔なお皿に盛り、祭壇の下段に配置します。取り替える際には、新しいお供え物を先に用意し、古いお供え物を下げることでスムーズに行えます。
霊供膳(れいぐぜん・りょうぐぜん)とは、故人のために供されるお膳のことです。
白木のお膳の中に4つの白無地の器にお供え物を入れます。手前左側にごはん、手前右側に汁物、奥左側に煮物、奥右側に和え物を並べて、正面が故人の方を向くよう、180度回転させてお供えします。
霊供膳にお供えするものは精進料理であることが原則です。家族が食べるものと同じものを同じタイミングでお供えするのが望ましいのですが、朝だけ、数日に1回だけなどでも構いません。
故人を礼拝する際に欠かせないのが線香やローソクです。それぞれどのように灯せばよいのでしょうか。
線香とローソクは、神仏や故人へのお供えとして欠かせません。ローソクに火を灯してあたりを明るくし、その火で灯されたお香が、あたりの空気を清らかにしてくれます。
また、それぞれ仏教的にも意味があり、ローソクは、光を通して故人の霊を照らし、安らぎを与えると言われています。線香は、香炉に立てて火をつけ、煙が故人の霊を慰めるとされています。供える際は、ローソクを先に灯し、その火を線香につけます。
巻線香は、渦巻き状になっている線香で、長時間燃える特徴があります。一般的な巻線香の燃焼時間は約12時間です。
本来は、通夜の夜に香を絶やさないためのものとして用いられていましたが、地域によっては四十九日まで香を絶やさないよう、後飾り祭壇で巻線香を使うところもあるようです。
巻線香には吊るすタイプと置くタイプがあります。巻線香台の形状をきちんと確認して、購入しましょう。
火を使わず安全性が高い電池式のローソクや線香もあります。特に火災が心配な場所、小さなお子様やペットがいる家庭では、電池ローソクや電気線香が適しています。
使い方は簡単で、電源を入れるだけで光や香りが放たれます。また、タイマー機能が付いているものもあり、設定時間で自動的に消灯・消香されるため、安心して使用できます。
後飾り祭壇は四十九日法要まで使用して、その後は仏壇の中に本位牌を置いて礼拝するのが基本です。その意味や考え方について解説いたします。
後飾り祭壇には、白木の位牌が置かれていますが、こうした祭壇は位牌は四十九日まで使用するのが基本的な考え方です。なぜなら、白木の祭壇や位牌は「仮のもの」だからです。
そのため、四十九日法要にあわせて故人の位牌を用意することが一般的です。また、家に仏壇がない場合は、仏壇も併せて用意しましょう。
四十九日までに用意する理由は、四十九日を経て、故人の霊が成仏し、ご先祖様の仲間入りをすると考えられているからです。
位牌や仏壇は仏壇仏具店やインターネットで購入できます。購入の際には、予算やデザイン、設置スペース、を事前に考慮し、家の宗派について確認しておきましょう。
四十九日法要の2週間前までには準備しておくことが望ましいです。仏壇は配達してもらわなければならないため、混雑の時期を避けるよう余裕をもって日程の予約をすべきですし、位牌も彫刻にある程度時間がかかります。
四十九日は、仏教における中陰の期間が終わる日です。
中陰とは、死者の霊が成仏するまでの期間で、この間に故人は霊界をさまよい、四十九日には成仏するとされています。この日を境に、霊から仏へと変わり、新たな仏壇で供養されることになります。
このため、四十九日までに位牌や仏壇を新調し、故人の成仏を願うのです。
葬儀や後飾り祭壇で使われる道具は、白を基調としています。これは霊から仏への変化を象徴しており、四十九日を経ることで色や柄のある仏具に変わります。
仮の仏具を白にしたのはいくつかの理由があります。白は清浄無垢を表していること。そして葬儀はいつ起きるか分からないため、間に合わせの道具として白木が用いられていたなどの理由が考えられます。
また、死後の行き先の決まっていない「霊」に対して用いられる葬具と、四十九日を経た「仏」に対して用いられる仏具を区別して、亡くなったばかりの故人をことさら手厚く供養しようという想いが見て取れますし、四十九日を経て礼拝の道具を一新することで、遺族に対しても心に区切りをつける効果があります。
位牌や仏壇は、仏壇仏具店やインターネットで購入できます。
まずは、家族や親族と相談し、予算やデザイン、設置スペースを確認しておきましょう。また、故人の宗教観や家の宗派も確認しておきます。
購入の際には、信頼できる仏壇仏具店を選び、アフターサービスも含めて比較検討しましょう。インターネットで購入する場合は、口コミや評価を確認することが大切です。
また、仏壇や位牌を受け取る前に、仏壇店の配送スタッフや宅配業者との受け渡し日時や搬入経路を確認しておくとスムーズに導入できます。
後飾り祭壇に祀られる故人に対して、日々、どのように供養をし、祈りを捧げればよいのでしょう。供養や祈りに決まりはありませんが、形に迷う方はぜひとも参考にしてもらえればと思います。
お経は、供養や冥福を祈るために唱えられます。仏教宗派によって唱えるお経が異なりますが、一般的には「般若心経」を唱えることが多いです。
浄土宗や浄土真宗であれば「南無阿弥陀仏」のお念仏、日蓮宗や法華宗であれば「南無妙法蓮華経」の御題目をお唱えしてもよいでしょう。仏具店やインターネットで、各宗派別の経本が販売されているので、これらを読み上げても構いません。
お経を唱える際は、まず正座し、両手を合わせます。その後、お経を唱えながら故人に思いを馳せて、冥福を祈りましょう。
祈りは、心を落ち着かせて、故人を偲ぶ時間を大切にすることが重要です。
祈りの方法は宗派によって異なりますが、一般的にはローソクやお線香を灯し、おりんの音を鳴らして、手を合わせ、心静かに故人の安寧を願うのが基本です。
もちろん、日頃の感謝を伝える、近況報告をする、「おはよう」「ただいま」「お花がきれいだね」などと、そこに故人がいるかのように声をかけてあげても構いません。
四十九日法要までの間、毎日後飾り祭壇の前で故人を偲び、お経を唱えることが望ましいです。朝晩のどちらか一度でも構いませんが、決まった時間に行うと良いでしょう。供養の際には、線香やローソクを焚き、お供え物を整えることも忘れずに行いましょう。
四十九日を終えると、いよいよ故人の霊魂は本位牌に込められます。本位牌は仏壇の中に安置され、末永くお祀りされることとなります。そのため、仮の祭壇であった後飾り祭壇は不要となります。後飾り祭壇の処分方法は主に次の3つです。
後飾り祭壇の片づけを自分で行う場合、それぞれの道具を適切に分別して処分することが大切です。お花やお供え物は生ごみとして、線香やローソクの残りは燃えるごみ、木でできた祭壇や瀬戸物の葬具はそれぞれ分別して粗大ごみなどに出します。
葬儀社に依頼して、後飾り祭壇や仏具の引き取りをお願いすることもできます。葬儀社は適切な方法で処分してくれるため、手間が省けます。引き取りを依頼する際には、事前に葬儀社と相談しておくことが望ましいです。
一部の地域では、後飾り祭壇を初盆の祭壇として再利用する習慣があります。その場合、後飾り祭壇を一時的に片づけて、お盆の時期まで保管しておきましょう。
いかがでしたでしょうか?後飾り祭壇は、故人を偲ぶ大切な場所であり、四十九日間だけの仮の祭壇として用意されます。
後飾り祭壇の意義や役割、基本的な配置ルール、お供え物の選び方・供え方、線香・ローソクの灯し方、供養・祈りの方法、後飾り祭壇の片づけ方などを理解し、適切な方法を知ることで、安心して故人を供養できます。
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※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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