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献体の登録手続きの方法と献体することの意味とは

献体の登録手続きの方法と献体することの意味とは
  • 2023年05月10日

自分の死後、自身の遺体を医学の発展のために提供する「献体」を希望する人が年々増加しています。

献体を検討する上で気になるのは、どのような手続きが必要で、遺体がどのように扱われるのかということではないでしょうか。

この記事では、献体について理解を深めていただくために、献体に関する手続きの方法をはじめ、献体することの意味について解説していきます。

記事の監修

人はなぜ弔い、弔われるのか、葬送儀礼を意味のある営みとして理解し、私たちは次世代へ伝えていきます。葬送儀礼マナー検定実施中。

献体とは

献体とは、医学や歯学の研究・発展のために遺体を無条件・無報酬で大学または関連団体に提供することです。提供後の遺体は、人体解剖実習などに役立てられており、「死後も社会の役に立ちたい」「自らの遺体で医療に貢献したい」という思いから、献体を考える方が増えています。

献体をしてもらうには、生前から献体したい大学・団体に登録しておく必要があります。故人、あるいは故人の関係者が故人の遺志にしたがって遺体を大学に提供することで、はじめて献体が実行されます。

献体のはじまり

医学・歯学教育のなかで大切な基礎となる解剖学実習。そのためにはどうしても遺体の提供が必要です。

昭和30年代から40年代にかけて、日本は高度成長期を迎え、人口も増加の一途をたどります。医学や歯学の大学が増設されるに従って学生数も増え、これにともない解剖実習に必要な遺体が不足しました。

これを医学教育の危機だと考えた人たちによる献体運動が盛んになります。東京大学を起点にした「白菊会」や、名古屋大学を起点とした「不老会」などの取り組みにより、献体が社会的に認知されるようになりました。

献体登録をしている人の数は、昭和50年ころは1万人台にすぎませんでしたが、令和4年3月31日現在、31万5千人を超えるまでになりました(公益財団法人日本篤志献体協会のホームページより)

献体法とは

1983年に「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」が制定されたことによって、初めて「献体」という言葉の定義が作られました。この法律は、献体に関して必要な事項を定めることにより、医学及び歯学の教育の向上に資することを目的としています。

また、故人本人が解剖を希望していても、遺族がこれを拒む場合は献体をしてはならないことが明記されています。

献体は何のためにあるの?

献体における解剖は、あくまで医学・歯学生の教育に行われます。そのため、病理解剖や死因の究明、死亡時刻の推定のために行われる行政解剖・司法解剖とは異なります。

医師や歯科医師を目指す学生が実際の遺体から学ぶことは多く、現在の医療の発展は、献体数の増加とそれに伴って進んできた社会的理解があったからです。

また献体は、学生達に人体の解剖学の知識を与えるだけではありません。より良い医師・歯科医師になってほしい、という思いで提供された遺体で実習をすることは、学生が献体に感謝、尊重し、その願いに応える責任と自覚を持つきっかけとなります。良い医師・歯科医師を育てるために、解剖学実習を充実させることは必要なことなのです。

献体登録の手順


献体を希望する人は、献体したい大学や献体を推奨する関連団体に連絡し、登録をします。電話などで資料請求をし、申込書に必要事項を記入、捺印を申込書を送り返します。大学などによっ手続きの形式が異なることがあるのでよく確認することが大切です。

また、実際に本人が息を引き取ったら、速やかに遺体を大学に搬送しなければならないことから、登録先は住まいの近くの大学などに限定されます。一度献体登録をしたものの、引越しなどで遠方に離れてしまった場合は、あらためて近くの大学や団体での手続きが必要となるので注意が必要です。

では、献体登録の手順を具体的に解説していきます。

申込書を取り寄せる

まずは献体手続きを行っている医科・歯科大学、または関連団体を探します。希望の機関に問い合わせて申込書を送ってもらいましょう。

申込書を記入する

申込書に必要事項を記入します。主に次に挙げる事柄を記入し、同意の意思を示します。

<記入事項>

  • 申込者本人の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、捺印
  • 遺骨の返還先となる人の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、申込者本人との関係性、捺印
  • 同意者の氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、申込者本人との関係性、捺印

<同意事項>

  • 献体登録を家族全員に告知していること
  • 感染症や外傷などにより、献体の受け入れができない可能性があること
  • 遺体が教育機関による研究に供されること

必要事項を記入した申込書を、献体を希望する期間に返送します。

献体登録証の発行

申込が受理されると、献体登録証が発行されます。献体登録証には、登録先の団体名や死亡時の連絡方法などが書かれています。不慮の事故に備えて常に持っている必要があります。

本人が息を引き取ったら、遺族はすぐに献体登録先へ連絡し、「会員番号〇〇番の〇〇〇〇が亡くなりました」と死亡の事実と献体の意志を伝えます。

献体をする場合の葬儀


献体を行う方の葬儀はどのように行われるのでしょうか。次の3つのケースに分けられます。

  1. 献体前に葬儀を行う

通常の通夜や告別式を行い、その後火葬場に出棺せずに登録団体や大学病院に運ばれます。遺族や親族は、一般的なお葬式でお別れをして、最後に大学病院に運ばれる故人を見送り、葬儀は終了となります。

遺体の引き渡しは死後48時間以内を基本としています。そのことを前提に、葬儀日程を組んでいきます。

  1. 遺体なしで葬儀を行う

遺体はすでに登録団体や大学病院に献体され、遺体がない状態で葬儀を行うこともあります。祭壇の遺影や位牌を通じて故人を偲びます。

  1. 遺骨が還されてから骨葬を行う

献体から遺骨の返還まで、1~2年かかると言われています。遺骨が遺族に返還された後、祭壇中央に遺骨を安置して行われる「骨葬」を営むこともあります。

献体の実行


献体登録した団体や大学に遺体引き渡す前に、担当者が遺族のもとを訪問し、改めて献体の承諾を得て、書類手続きを行います。この際遺族が用意しなければならないものは、

  • 死亡診断書の写し
  • 印鑑
  • 火葬許可証

…などです。

火葬許可証は死亡届が受理されると役所から交付されますが、その際、火葬ではなく献体をする旨をあわせて伝えておきます。

献体から遺骨の返還までは、一般的に1~2年、長い時には3年近くかかると言われています。公益財団法人日本篤志献体協会によると、返還までの期間はさまざまな要素によって変わるようです。

  • 防腐処理等の解剖準備期間として3~6ヶ月。
  • 実際の解剖学実習期間として3~7ヶ月。
  • 献体されている遺体の数によって期間が変動する

大学や団体によっては慰霊碑を用意しており、献体に応じてくれた人を対象に慰霊祭を営むところもあります。

献体の報酬

献体登録をしたり、実際に解剖を受けたとしても、基本的に謝礼は発生しません。また、献体登録をしたからといって、その大学病院で優先的に入院できるなどの厚遇を受けることもありません。

献体の理念は、医学や歯学の研究・発展のため、そして学生の倫理教育への貢献のためであり、対価や見返りを求めて行われるものではありません。

しかし、遺体の搬送費や火葬にかかる費用など、献体を行うためのもろもろの経費は大学や団体側が負担します。また、遺骨が返却される際には文部科学大臣から感謝状も届けられます。

もしも遺骨の引き取り手がいない場合は、大学や団体が用意した合祀墓や納骨堂に納められ、これらの費用も大学側が負担します。

献体の年齢制限

献体は、年齢制限を設けているところが多いです。たとえば、札幌医科大学は70歳以上、不老会は60歳以上としています。

これは、年齢の若い方の場合、献体以外にも臓器移植などのさまざまな方法で医学に貢献できるのに対し、高齢者の場合は選択肢が限られているからだと言われています。

献体の貢献度は年齢に左右されないことから、あえて年齢制限を設けて、ひとりでも多くの方に医学に貢献できるようにしているのです。

献体できない事例

次のようなケースの場合、献体ができない可能性があります。

感染症に罹患している

故人が感染症に罹患していた場合、教職員や医学生への二次感染を防ぐために、献体ができない可能性があります。主に次の感染症が挙げられます。

  • B型肝炎やそれに起因する肝硬変や肝癌
  • C型肝炎やそれに起因する肝硬変や肝癌
  • HIV感染症、エイズ
  • 結核
  • 新型コロナウイルス

臓器提供も希望している

献体による解剖検査は、臓器がすべて揃っている状態が理想です。もしも臓器提供も希望している場合は、献体登録している団体や病院に相談してみましょう。場合によっては献体できない可能性もあります。

献体に反対する遺族がいる

献体登録をするには、申込時点で本人の家族や関係者の同意が必要です。さらに、本人が死亡して遺体を引き取る際に最終確認を実施し、ここでも遺族や関係者の同意を得なければなりません。

『医学及び歯学の教育のための献体に関する法律』の中にあるように、献体された遺体を解剖は、「死亡した者が献体の意思を書面により表示している旨を遺族に告知し、遺族がその解剖を拒まない場合」のみ行ってもよいとされています。

つまり、遺族の中に1人でも反対があると、献体や解剖は実行されないのです。

遺体を保存できない場合

遺体を安定的に保存できない場合は献体を断られます。死亡から発見が遅れて腐敗している場合、交通事故などで外傷が激しい場合、手術中または手術直後に亡くなった場合などが挙げられます。

司法解剖や病理解剖を行う

事件性の有無を調べる「司法解剖」や、病状の解明や診療の妥当性を検証するための「病理解剖」などで解剖した遺体は、献体できません。

まとめ

献体として遺体を提供することは、医学の発展や優秀な医師を輩出するためにも重要なことです。

しかし、献体は自分一人だけの意思では行えませんし、家族の協力が必要不可欠です。家族としっかり相談し、理解し合ったうえで進めていきましょう。

監修者のコメント

献体を希望する人の遺族は、「献体するからこそ、区切りとして別れの場を設けて送り出したい」と通夜、葬儀・告別式等一連の行事をしっかり行いたいと希望するケースが多い印象があります。遺骨の引き取り手がどうしてもいない場合は、大学が用意する合葬という選択肢もありますが、基本的には自分たちでお墓を準備します。遺骨が戻って来るまでの間、ゆっくり準備しても良いでしょう。

献体に関するよくある質問

そもそも献体とは?
献体とは、医学や歯学の研究・発展のために遺体を無条件・無報酬で大学または関連団体に提供することです。提供後の遺体は、人体解剖実習などに役立てられています。
献体として遺体を提供した場合、遺骨はいつ返還されますか?
遺骨の返還は早くて1年~2年、長ければ3年以上かかってしまう場合があります。
献体の実施に遺族が用意するものはなんですか?
各登録先にもよりますが、主に死亡診断書の写し、印鑑、火葬許可書となります。
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