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飾り方(祀り方)
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仏壇には何をお供えする?注意点は?
お葬式が終わったら、ご遺骨を自宅で祀って保管します。
忌明けまでの間に故人さまを偲ぶために、ご遺骨を安置する仮の祭壇を「後飾り祭壇」といいます。後飾り祭壇を用意するにあたって、「どうやって飾ったらいいの?」「配置にルールはあるの?」など疑問や不安に感じるかもしれません。
この記事では、後飾り祭壇はいつまで飾るのかをはじめ、自宅での飾り方や配置のルールを紹介します。
後飾り祭壇は、故人さまのご遺骨やお位牌を一時的に自宅で祀るための祭壇です。
ここでは、後飾り祭壇について詳しく解説します。
後飾り祭壇は、お葬式後から忌明けまでの間、故人さまのご遺骨やお位牌を祀る祭壇です。
忌明けまでの間、弔問客が参拝できるように自宅に設置します。「仮祭壇」や「自宅飾り」、「後檀」、関西地方では「中陰壇(ちゅういんだん)」と呼ばれる場合もあります。
後飾り祭壇はご家族が故人さまを偲ぶ場であると同時に以下の目的でも飾ります。
お葬式の後、お坊さんは追善法要のため、弔問客は後日弔問のために訪問することがあります。故人さまがご逝去してすぐには仏壇が用意できない場合もあるため、仏壇の準備が整うまでは後飾り祭壇を仮で設置します。
後飾り祭壇は、自宅のお仏壇周辺または、お仏壇がない場合は部屋の北側や西側に飾ります。
高温多湿や直射日光を避け、生活の妨げにならないように注意しましょう。
飾る場所がない場合はリビングやダイニングに飾っても問題ありません。どこに飾っていいか迷う場合は、家族や葬儀社に相談するとよいでしょう。
後飾り祭壇は、お葬式が終わってから四十九日法要が終わる忌明けまで飾るのが一般的となっています。
その理由は、仏教においてご逝去されてから四十九日までの間は中陰と呼ばれる修業期間とされているためです。四十九日法要を終えると故人さまはお仏壇で祀られる仏となり、後飾り祭壇の役目を終えます。
ただし、「仏壇の準備ができていない」「納骨が終わっていない」場合は、四十九日を過ぎても一時的に後飾り祭壇を使う場合もあります。
神式においても後飾り祭壇は設置し、ご逝去してから五十日目に行う五十日祭まで飾るのが一般的です。神道においては、ご逝去してから50日間の間は霊の状態であり、五十日祭を経て、家族を守る守護神となって自宅の神棚に祀られると考えられています。
五十日祭では、直会(なおらい)と呼ばれる飲食を行う儀式が行われ、その際に後飾りにあったお供え物を全員で分けて食べるのが一般的です。
神式のお葬式は以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
キリスト教では、後飾り祭壇をいつまで置くか明確なルールはありません。
ただし、一般的にはご逝去してからカトリックだと7日目の追悼ミサ、プロテスタントだと1ヵ月後の昇天記念日まで置きます。追悼ミサや昇天記念日は仏教の法要にあたるもので、故人さまを偲ぶ儀式です。
また、追悼ミサや昇天記念日より埋葬が遅れる場合は、埋葬完了するまで後飾りを設置するケースもあります。
キリスト教のお葬式は以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
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後飾り祭壇の手配方法は、葬儀社・レンタル・自作の3パターンがあります。
ここでは、それぞれの手配方法を解説します。
葬儀社のセットプランに後飾り祭壇が含まれている場合は、葬儀社に用意してもらいましょう。
自分で祭壇を用意する必要はなく、葬儀社が適切なタイミングで飾ってくれます。セットプランに含まれているかどうかは、事前に葬儀社に確認しておきましょう。
葬儀社に用意してもらった後飾り祭壇は、四十九日が終わったら自身で処分します。自治体のルールに従ってゴミとして出しますが、ゴミとして処分することに抵抗がある場合は、葬儀社に相談してみるとよいでしょう。
葬儀社によっては、後飾り祭壇をレンタルとして用意しているところもあります。
レンタルで用意してもらう場合は設置の手間がかからないだけでなく、処分の手間も軽減できるメリットがあります。後飾り祭壇をレンタルで用意したい場合は、葬儀社に確認しておきましょう。
後飾り祭壇は自作しても問題ありません。
座ってお参りできる高さで、ご遺骨、お位牌、遺影、三具足が置ける大きさのダンボールや台の上に白布を敷きます。ダンボールを用いる場合は、その後の処分も簡単です。
時間に余裕がある場合は、故人さまを偲ぶ思いを込め、自分たちで作るのもよいでしょう。
後飾り祭壇は宗教や宗派によって飾り方が変わるため、注意が必要です。
ここでは、後飾り祭壇の飾り方について詳しく解説します。
前提として、仏教の後飾り祭壇は2段式と3段式の二つがあります。
・2段式:上段・下段に分かれているタイプ
・3段式:上段・中段・下段に分かれているタイプ
2段式は上段に遺影や位牌、下段にお供え物や仏具を置くタイプ、3段式は上段に位牌、中段に遺影、下段にお供え物や仏具を置くタイプです。
どちらも上段を設置し、その後に中段や下段を設置するように組み立てるのが良いでしょう。
なお、遺影や位牌は中央に寄せ、お供え物や仏具は適切に配置します。この際、設置するものがずれたり散らかったりしないよう丁寧に配置すべきです。
同じ仏教でも、浄土真宗はやや飾り方が変わるため、ご注意ください。
浄土真宗では後飾り祭壇に遺影・遺骨・位牌の三つを飾るのですが、仏壇にいるご本尊を重視するため、線香やろうそくは後飾り祭壇には置かないようにします。
故人さまがお亡くなりになった後はすぐに浄土に行くと考えられているため、供花や読経なども、すべて仏壇に安置してあるご本尊に対して行います。
なお、浄土真宗では華瓶(けびょう)と呼ばれる壺の形をした仏具を仏壇に置きますが、後飾り祭壇には飾りません。
なかには仏教と同じ要領で飾る人もいるため、正しい方法で飾るようにしましょう。
神道で後飾り祭壇を飾る手順は、以下の通りです。
八脚案(八足の台)に白い布をかける
神道ではまず八脚案(八足の台)に白い布をかけます。
続いて、遺骨は上段、榊や霊璽は中段、玉串や皿は下段に配置し、最後に鏡や神具を飾れば神式の後飾り祭壇の完成です。
なお、遺骨は座った姿勢で目線よりも下にならないよう上の方に祀ると良いでしょう。
キリスト教で後飾り祭壇を飾る手順には、以下のようなものがあります。
キリスト教では特に決まったルールがあるというわけではありませんが、上段には十字架、中段には遺影と骨壺、下段には燭台を飾るのが一般的です。
他には、聖書や花を配置することもあります。
なお、カトリックなのかプロテスタントなのかによって設置期間が変わることがあるため、故人さまが信仰していた方に合わせると良いでしょう。
後飾り祭壇の配置にはいくつかルールがあるため、初めての人は注意が必要です。
ここでは、後飾り祭壇の配置のルールについて詳しく解説します。
2段の場合、以下のように配置します。
上段 ・中央:位牌
・右側:遺骨
・左側:遺影
下段 ・中央:香炉
・右側:ろうそく
・左側:花立
後飾り祭壇を2段で設置する場合、上段の中央に位牌、右側に遺骨、左側に遺影、下段の中央に香炉、右側にろうそく、左側に花立を飾るのが一般的です。
3段の場合、以下のように配置するのが良いです。
上段 ・右側:遺骨
・左側:遺影
中段 ・中央:位牌
・両脇:お供え物
下段 ・中央:霊供膳(りょうぐぜん)
・手前:香炉
・右側:ろうそく
・左側:花立
後飾り祭壇を3段で設置する場合、基本的に、上段の右側に遺骨、左側に遺影を飾り、中段の中央に位牌、両脇にお供え物、下段の中央に霊供膳を配置し、手前に香炉、右側にろうそく、左側に花立を飾るようにします。
経机(きょうづくえ)と呼ばれる白木の小机がある場合は、後飾り祭壇の手前に置いて使用します。
経机があることで、香炉・ろうそく・花立などを置くスペースが生まれてお供え物を並べやすくなるため、後飾り祭壇と一緒に設置すると良いです。
仏具などが乗りきらない場合は、お供え物やおりんは床に置いても構いません。
遺影・遺骨・位牌はもちろん香炉やろうそく、花立などは後飾り祭壇の上に必ず置くべきとされていますが、他のものは下に置いても良いです。
おりんに限り専用の台と布団に置くべきですが、他のお供え物などは床に置いても差し支えないとされています。
後飾り祭壇を置いている間は、故人さまを偲んで毎日供養を捧げるのが理想です。
ここでは、後飾り祭壇を置いている間にすべきことを紹介します。
後飾り祭壇には、心を落ち着かせて故人さまを偲びつつお祈りしましょう。
具体的なお祈りのやり方は宗教や宗派によって異なります。一般的には、線香やろうそくを灯しておりんを鳴らし、手を合わせて故人さまの冥福を祈ります。後飾り祭壇へのお祈りは特に形式にこだわる必要はなく、おはようや普段のできごとを話すだけでも問題ありません。
また、お祈りをする際にはお経を唱えるというのも方法の一つです。自分でお経を読むにあたって、どのように唱えたらいいかわからない場合は、お経を読むだけでも問題ありません。
後飾り祭壇には、できるだけ毎日線香に火をつけて供えましょう。
仏教において、線香やろうそくには以下の意味があります。
線香もろうそくも故人さまを慰め、安らぎを与えるものであるため、後飾り祭壇には正しく備えることが大切です。
後飾り祭壇に備える線香は、通常の線香よりも長時間燃え続ける巻線香が適しています。巻線香を灯す場合には、専用の線香立てを使用して巻線香が倒れないように安定感のあるものを選びましょう。
また、近年は火を使用しない電池ローソクや電気線香も注目されています。特に小さなお子様やペットがいる家庭においては、倒れても安全な電池ローソクや電気線香を用いるのもおすすめです。
後飾り祭壇には花を飾るのが一般的で、納骨までの間は白を中心とした色味の花がよいとされています。
傷みやすい花を飾ると取り替える回数が多くなるため、長持ちする花を選んで飾るのがよいでしょう。後飾り祭壇に飾る花は、仏花として知られているユリや菊、胡蝶蘭をはじめ、バラやカーネーションなども選ばれます。故人さまが好きだった花をお供えしてもよいでしょう。
また、後飾り祭壇には生花を飾るのが一般的ですが、ペットと生活していたり、管理が難しかったりする場合は、造花やプリザーブドフラワーでも問題ありません。
後飾り祭壇には、ご飯や水をお供えします。
タイミングに決まりはないですが、家族の食事前にお供えすることが多く、お祈りをした後に下げて家族でいただきます。ご飯や水以外にも、故人さまの好物のお菓子や果物を供えることもおすすめです。弔問客にいただいたお供え物があれば、あわせてお供えするとよいでしょう。
お供え物での注意点は、腐敗するものは避けることです。ご飯や水も1日1回は交換し、腐らないように注意しましょう。また、肉や魚は腐りやすいという理由だけでなく、殺生を連想させるため、お供え物にはNGです。
宗教や地域の習わしによっては、後飾り祭壇に霊供膳を備える場合があります。
仏前料理(ぶつぜんりょうり)や御霊供膳(おりょうぐぜん)とも呼ばれ、仏教の一部の宗派でお仏壇にお供えするお膳です。後飾り祭壇だけでなく、お仏壇を新調した際に行われる開眼供養でも供えられます。
故人さまを料理でもてなし、供養と感謝の気持ちを示すために、白飯と一汁三菜を供えます。生食や生肉、刺激のある香味野菜などは避け、白飯や料理を持った5つの椀を用意し、お仏壇の手前に箸を向けてお供えするのが基本です。
後飾り祭壇を置いている間、ご遺骨は低湿度の場所で保管することが重要です。
ご遺骨は乾燥していて空気中の水蒸気を吸収しやすい状態になっています。そのため、湿度が高い場所にご遺骨を置いておくと、遺骨が湿気を帯びる可能性があります。
湿気はカビの発生を促すため、風通しがよい場所に置きましょう。また、温度差が大きいと気温が下がった際に結露しやすくなるため、温度差が小さい日陰を選ぶことも大切です。
なお、カビの発生を防ぐためには、ご遺骨を粉砕してパウダー状にし、真空パックする方法も効果的です。ご遺骨を粉砕してパウダー状にしたい場合、遺骨の粉砕業者に依頼することもできます。
後飾り祭壇を置いている間は弔問客が訪れることもあるため、できるだけ配慮ある対応に努めましょう。
弔問客が訪れたら、まずは挨拶をして感謝の気持ちを伝えます。自宅に上がってもらう際には、お菓子や飲み物を用意し、故人さまの代わりにもてなしましょう。
お菓子やお線香などのお供え物を持って来てくれた場合は、故人さまに備えます。後日返礼品を用意しても問題ありませんが、その場でお渡しできるように返礼品を事前に用意しておいてもよいでしょう。
弔問の意味については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
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お葬式後から後飾り祭壇を片付ける四十九日までは慌ただしく日々が過ぎるため、四十九日法要に向けた準備もあわせてしておきましょう。
ここでは、四十九日法要に向けた準備を解説します。
四十九日法要では、法要当日までに以下の手配や案内、準備が必要です。
日程については故人さまがご逝去された日を1日目として49日目が理想ですが、その日が平日で参列者が来れない場合は、直前の土日にずらします。少人数の場合は自宅、それ以外は菩提寺や会館などで行うのが一般的です。
菩提寺や会館で四十九日法要を行う場合は、事前に予約が必要となるため、早めに連絡をしましょう。あわせてお坊さんの都合の手配も行います。
日程、会場、お坊さんが決まったら、参列してほしい人に案内状を出しましょう。
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明確な決まりはありませんが、四十九日法要までにお仏壇を用意するのが一般的です。
お仏壇はサイズが小さいものから、インテリアに馴染むものまでさまざまな種類があります。部屋や好みにあったものを選びましょう。
なお、四十九日法要までにお仏壇を用意するケースが多いのは、四十九日法要を機に、あの世とこの世をさまよっていた魂がお仏壇に落ち着くとされているためです。
しかし、「気持ちの整理がつかずに仏壇が選べない」「ゆっくり仏壇を選びたい」という場合は四十九日法要までに用意できなくても問題ありません。このような場合は四十九日法要の次に行われる百箇日法要や一周忌など、節目に用意するとよいでしょう。
四十九日法要では、白木位牌から本位牌に魂を移す位牌開眼を行うため、本位牌を法要までに用意しましょう。本位牌は氏名や享年が彫られ、漆が塗られているものになるため、事前に注文しておく必要があります。
依頼から作成までに2週間ほどかかる場合もあるため、お葬式が終わってから早い段階で準備を進めることが大切です。
ここでは、後飾り祭壇に関するよくある質問をまとめています。
後飾り祭壇は、四十九日法要まで飾るのが一般的です。
ただし、神道の場合は五十日祭、キリスト教についてはカトリックだと追悼ミサ、プロテスタントだと昇天記念日まで飾ります。宗教によって後飾り祭壇のルールに違いがあるため注意しましょう。
後飾り祭壇では、お供え物の選び方や供え方、日々の供養方法を知っておくことも大切です。ぜひ本記事を参考にしてみてください。
なお、お葬式の手配をどうすべきか迷っている人は、よりそうお葬式にご相談ください。
よりそうお葬式では一般葬の他に家族葬や火葬式などに対応しており、ご要望に合わせてお葬式を執り行うことが可能です。
また、後飾り祭壇などのご用意や、その後の法要手配など、葬儀後のお悩みにも対応します。
よりそうお葬式では無料相談ダイヤルを設置して対応している他、資料請求にも対応しています。
「よりそうお葬式」では、無料の資料をご請求いただいた方全員に「お葬式読本」を無料で贈呈しています。はじめての喪主でも安心の役立つ情報がそろっています。もしも時のための事前準備に活用できます。
※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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