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相続・遺品整理
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故人が生前に退職した際に受け取る予定だった退職金、この退職金を故人が受け取る前に亡くなった場合、遺族(相続人)の土地・建物・預貯金と同様に、遺産相続分としてカウントされるのでしょうか?仮に、故人が勤めていた企業の就業規則等で既に受取人が決まっている場合でも、その後に支給される退職金が相続税の対象となるのでしょうか?
また、故人が生前に医療機関で入院・治療を行い支払った医療費は、所得控除として税制優遇措置の対象になるのでしょうか?
今回は、「死亡退職金」が課税対象になる条件や相続税非課税枠となる場合、そして「医療費控除」の対象になる費用・ならない費用と、控除申請の方法を説明します。
死亡退職金とは、故人(被相続人)の死亡により、故人に支給されるはずであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を遺族が受け取る場合、故人が死亡して3年以内に支給の確定した金品は、相続財産とみなされて相続税の課税対象となります。これを一般的に「みなし相続財産」と呼んでいます。
しかし、死亡退職金は故人の死亡後に受け取る金品であっても、必ず相続の対象になるわけではありません。
例えば、故人が勤めていた企業(法人)の就業規則等で受取人が定められている場合、その受取人が相続放棄をしていても、受給権者として受取人固有の財産とされて、所得税が課税されます。
また、死亡後3年経過して退職金の支給が確定した場合についても、遺族に所得税が課されることになります。
故人が生前、死亡退職金を長男に相続させるというように、受け取る相続人を指定する遺言書がなかったり、企業の就業規則等で受取人が定められていなかったりした場合には、法定相続人が財産を相続することになります。
法定相続人とは、民法の規定にある相続人のことで、故人の配偶者、子(または孫)、親(または祖父母)、兄弟姉妹(または甥姪)、養親、養子が該当します。
この法定相続人には相続権の優先順位があり、遺族順位は次のようになります。なお、故人の配偶者(夫または妻)は常に相続人となります。
●[第1順位]故人の子
故人の子が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属が相続人となります。子や孫がいるときは、故人により近い世代である子の方を優先します。なお、故人に養子がいた場合には、実子と対等の相続人となります。
●[第2順位]故人の親
第1順位に該当する相続人がいない場合に、故人の直系尊属(父母または祖父母等)が相続人となります。父母や祖父母が存命ならば、故人とより近い世代である父母の方を優先します。なお、故人に養親がいる場合には、養親は実親と対等の相続人になります。
●[第3順位]故人の兄弟姉妹
第1順位及び第2順位の相続人がいない場合に、故人の兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が既に亡くなっているときは、その人の子(故人からみて甥姪)が相続人となります。
死亡退職金が法定相続人の相続財産となる場合には、他の故人の財産と共に遺産分割の対象になります。
遺言書がない場合、相続人が複数いても遺産分割協議をしなかった場合には、民法で定められた法定相続分に従って遺産分割されます。
●配偶者と第1順位の人が相続人になる場合(法定相続分1/2:1/2)
(例)配偶者と子2人→配偶者1/2、子1/4、子1/4
●配偶者と第2順位の人が相続人になる場合(法定相続分2/3:1/3)
(例)配偶者と故人の両親→配偶者2/3、父親1/6、母親1/6
●配偶者と第3順位の人が相続人になる場合(法定相続分3/4:1/4)
(例)配偶者と故人の弟・妹→配偶者3/4、弟1/8、妹1/8
死亡退職金として相続財産と見なされるのは、退職手当金、功労金というように名目にかかわらず、実質的な退職手当金等として、故人の死亡後3年以内に支給の確定した金品が該当します。つまり、口座に振り込まれるお金はもとより、物品や物品に相当する金券・證券も課税される対象となります。
また、故人が死亡して3年以内に支給の確定した金品とは、次の2つのケースが該当します。
故人の死亡退職で支給される金額が、その人の死亡後3年以内に確定したケース
故人が生前に退職していて支給される金額が、その人の死亡後3年以内に確定したケース
相続人が受け取った死亡退職金は、その全額分が課税対象になるわけではありません。相続人全てが受け取った死亡退職金の合計額が非課税限度額以下の時は課税されません。この措置を一般的に「非課税枠」と呼びます。非課税枠の計算は次の式で行います。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額(非課税枠)
注意点としては次の2つのケースが該当します。
法定相続人の中で相続の放棄をした人がいるケースでは、法定相続人の数に相続の放棄をした人も含めてカウントします。
法定相続人の中に養子がいるケースでは、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までカウントします。
相続人が受け取った死亡退職金のうち課税される死亡退職金の金額は、次の算式で計算します。
[算式]
a:相続人の1人が受け取った死亡退職金の金額
b:相続人全員が受け取った死亡退職金の金額
a-非課税限度額(非課税枠)×a/b=相続人の1人に課税される死亡退職金の金額
こちらでは死亡退職金の計算方法について、具体的に事例を上げて説明します。
[事例]
死亡退職金総額:3,000万円
相続人の受取金額:配偶者1,500万円、長男750万円、次男750万円
①死亡退職金の非課税枠
500万円×3人(法定相続人の数)=1,500万円(非課税枠)
②各法定相続人の非課税金額の計算
配偶者:1,500万円(非課税枠)×1,500万円/3,000万円=750万円(非課税金額)
長男:1,500万円(非課税枠)×750万円/3,000万円=375万円(非課税金額)
次男:1,500万円(非課税枠)×750万円/3,000万円=375万円(非課税金額)
③各法定相続人の課税価格に算入される死亡退職金の金額
配偶者:1,500万円(受取金額)-750万円(非課税金額)=750万円
長男:750万円(受取金額)-375万円(非課税金額)=375万円
次男:750万円(受取金額)-375万円(非課税金額)=375万円
1月1日~12月31日までに故人または故人と生計を一にしていた配偶者やその他の親族が支払った医療費において、その支払った費用が一定額を超えるときは、所得控除を受けることができます。正式にはこれを「医療費控除」と呼びます。
医療費控除の対象となる金額は10万円以上(最高で200万円)となります。故人に関して支払った医療費があれば、申請をすることにより還付金を受け取れる場合があります。
医療費控除の対象になる費用は次の通りです。医療ばかりではなく、介護保険制度を利用した際の自己負担額も対象です。
出典:国税庁ホームページ「医療費控除の対象となる医療費」
医療費控除の対象にならない費用は次の通りです。入院生活を快適にするための費用や、治療や療養目的として必要のない費用が主に対象となります。
なお、健康保険から支給された給付金や、高額療養費制度を利用し戻って来たお金、生命保険会社から受け取った給付金、損害賠償金は医療費から差し引いて計算することになります。
本来納税者として申告すべき人が年の途中で亡くなった場合、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。正式には「準確定申告」と呼ばれています。故人が生前に支払ったお金が10万円を超える場合に準確定申告を行います。
相続人が2人以上いる場合には、各相続人が連署により準確定申告書を提出することになります。また、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することも可能です。この場合には、当該申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知する必要があります。
○提出先
故人の住民票がある市区町村を管轄する税務署
○提出書類
●準確定申告書:通常の確定申告書に相続人が記載することになります。確定申告書は最寄りの税務署で取得できます。
●(相続人が2人以上いる場合)確定申告書付表:付表の「相続人等に関する事項」欄に相続人全ての住所・氏名・続柄・生年月日・電話番号・相続分を記載し、印鑑を押印します。
●相続人のマイナンバーカード・運転免許証・パスポート等の本人確認書類
●故人の源泉徴収票
●医療費控除の明細書、支払った医療費等の領収書等
●各証明書(例えば、おむつ代がかかった場合はおむつ証明書を添付します。)
故人の医療費を家族が支払っていた場合には、確定申告の同じ方法をとります。準確定申告とは提出先や添付書類、期限が異なります。提出期限は控除対象となる年の翌年(例えば平成30年分の医療費の還付申請をする時は平成31年)1月1日から5年間です。
○提出先
申告する人の住所地を管轄する税務署
○提出書類
●確定申告書:必ず医療費控除について記載します。
●申告する人の印鑑
●申告する人のマイナンバーカード・運転免許証・パスポート等の本人確認書類
●申告する人の源泉徴収票
●医療費控除の明細書、支払った医療費等の領収書等
●各証明書(例えば、おむつ代がかかった場合はおむつ証明書を添付します。)
故人の医療費を亡くなった後に支払うこともあります。この場合には医療費控除は次のような扱いになります。
○故人のお金で支払う
故人の名前で準確定申告をする場合、医療費控除の対象になるのは故人が生前に支払った部分となります。そのため、領収書の日付が故人の死後となっている医療費に関しては、実際に本人のお金で支払っていても医療費控除の対象外です。
ただし、医療費控除には認められなくても「債務」として取り扱うことができます。相続税が発生する場合は、相続財産から債務として控除することができます。
なお、死亡診断書の作成費も火葬(埋葬)許可証を発行してもらうために必要となるので、葬祭費用として計上できます。
○家族がお金を支払った場合
故人の家族が医療費の還付申請をする際に、生計を一にする家族の分と合算して計算できます。
死亡退職金は、遺言書や企業の就業規則等で受取人が指定されていなければ、相続人同士の話し合いで分割することになります。遺産相続人が多い場合には、それだけ遺産分割の調整が大変になりますが、後で揉めだすことのないように相続人間で協力し合って取り決めていきましょう。
また、医療費控除のための準確定申告は、原則として相続人全員で行わなければいけない点が面倒と言えますが、期限も限られているため迅速に申告手続きを行いましょう。
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※本記事の情報正確性等につきましては、細心の注意を払っておりますが、いかなる保証もするものではありません。特に宗教、地域ごとの習慣や個別の事情によって考え方や対応方法が異なることがございます。掲載情報は、ご自身の責任と判断においてご利用ください。情報の利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当社は一切の責任を負いません。本記事に掲載の提供情報は、法的アドバイスの提供を目的としたものではありません。
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