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相続・遺品整理
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形見の品物とは?故人さまの形見を家族で分ける方法や注意点を解説
葬儀の後でも、故人を供養するためにできることの1つに「形見分け」があります。しかし、「形見分け」は、やり方や時期、マナーやその意義などが曖昧で、トラブルのもとになることも少なくありません。 そんな「形見分け」について、詳しく解説します。
葬儀の後でも、故人を供養するためにできることの1つに「形見分け」があります。
しかし、「形見分け」は、やり方や時期、マナーやその意義などが曖昧で、トラブルのもとになることも少なくありません。そんな「形見分け」について、詳しく解説します。
形見分けとは、故人の遺した品物を関係の深い親族や親しい友人などに贈ることです。ただし、やみくもに品物を贈ることではありません。「故人の愛用品を通して、故人の思い出を分かち合う」ために贈るのです。
贈られた人がその品物を使うことで、故人を忘れることなく、故人の思い出を偲ぶことができれば、故人は喜んでくれるに違いありません。「形見分け」は、そんな想いから、故人を供養しようという気持ちで行われるものなのです。
形見分けと遺品整理は、以下のようにまったく違うものです。
つまり、「遺品整理」を行った後に、故人と縁の深い人に遺品を贈って故人の思い出を共有することを「形見分け」というのです。
「形見分け」は、四十九日法要の後に行うのが一般的です。この法要は「忌明け」と呼ばれ、この日を以て故人が仏様のもとへ向かわれるため、お見送りとして形見分けを行う意味があるのです。
なお、神式の場合は、五十日祭がこの法要に該当します。キリスト教の場合は、1ヶ月命日のミサで行われることが多いようです。ただし、故人の親しい人に遺品を贈るため、贈る相手や贈るものをきちんと考える必要があります。そのため、特に急ぐ必要はありません。
形見分けは、本来、親から子、上司から部下などへ贈るもので、目下の人から目上の人へ贈るのは失礼だとされています。
ただし、上下関係や年齢を気にしない人も多くなっている現在では、失礼にならないよう一言添えて贈れば問題ありません。もちろん、目上の人の側から形見分けの要望があれば、失礼にはなりません。
また、壊れて使えない品物や、贈られる人の好みに合っていない品物では形見分けは行われません。
さらに、形見分けする品物が高額な場合、受け取った人に贈与税が課せられることもあるため、注意が必要です。もちろん、家や土地などは論外です。
遺品を気兼ねなく使って、故人を偲ぶためにも、しっかりと考えて贈りましょう。
なお、遺品をクリーニングやメンテナンスしてから渡すのが一般的ですが、形見分けはプレゼントではありませんので、包装やラッピングは不要です。どうしても包装したい場合は、半紙のような白い紙に包み、仏式なら「遺品」、神式なら「偲ぶ草」と表書きして手渡しします。
遠方で手渡しができない場合は、破損しないよう最低限の包装を行い宅配便で送ることも可能です。ただし、その場合は必ず「形見分けである旨」を一筆添えてください。
形見分けで贈る品物は、高価なものを避ければ、なんでも構いません。
具体的には、故人の着物や洋服、鞄、時計や文具、家具、宝石や貴金属、アクセサリー、書籍、写真など、どこにでもありそうなものが大半です。
そのため、遺品整理で形見分けする品物を事前に分ける段階で、形見分けする品物のリストを作成すると、トラブルを防ぐことができます。
形見分けで贈る代表的な品物を、いくつか紹介します。
洋服や着物などを形見分けする場合、きちんとクリーニングして贈るのが礼儀です。着物の場合は、衣服としてではなく、数珠入れやバッグなどにリメイクして贈ることも多くなっています。誰も着ない衣類であれば、慈善団体へ寄附するのも喜ばれます。
持ち手や肩掛けなどが破損していることもあるので、可能であれば修理し、使いやすい状態にしておきましょう。
どなたでもさりげなく使えるため、形見分けの品物として人気があります。ただし、機械時計や万年筆などはメンテナンスが必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。
大きなものやデザインの関係で置く場所が限られることがあります。事前に設置場所を確認しておく必要があります。
これらは形見分けの品物として人気がありますが、好みやサイズの違いもあるため、リメイクして贈ることもあります。高価な品物の場合は受け取る側に迷惑がかからないよう配慮が必要です。
故人が身につけていたブローチや財布、ネクタイ、ベルト、眼鏡などは、故人を偲ぶのに良い品物ですが、日常的に使用するため汚れている場合が多いので、十分にお手入れしてから贈るようにしましょう。
故人の愛読書もまた、故人を偲ぶには良い品物です。ただし、好みが分かれるため、受け取る側に確認してから贈るのが望ましいです。
故人の思い出が詰まった写真やビデオは、関係の深い人に持っていてもらいたい人気の品物です。ただし、写真は思い出を鮮明に蘇らせるため、受け取る人が断る場合もあります。無理に押し付けないようにしましょう。
また、故人が集めた蔵書やコレクションは、その分野の知人に贈ると喜ばれます。贈る相手がいない場合は、研究機関や団体に寄贈するのも良い供養となります。
ご遺族から形見分けのお申し出があった場合は、受け取るのがマナーです。どうしても受け取れない場合は、丁寧にお断りしても構いませんが、ご遺族の気持ちを尊重し、できる限り受け取りましょう。
また、譲り受けた遺品を大切に使うことが故人の供養となりますので、第三者に譲ったり現金化したりすることは避けるべきです。
「生前形見分け」は、生きている間に親しい人へ愛用品を贈るもので、贈る人は自分で誰に贈るかを決め、贈られる人は好みのものを選べるため、双方にメリットがあります。
ただし、口頭の約束だけではトラブルになる可能性が高いため、できるだけ遺書にしておくことをお勧めします。
また、生前に受け取る場合は、贈与税が課せられる可能性もあるため、品物の価値に注意してください。
「形見分けできる品物がないが、生前お世話になった人に何か贈りたい」という気持ちから、現金を形見分けとして渡すことがあります。
しかし、現金では形見分けの本来の意味が薄れるため、受け取る場合は、そのお金で故人を思い出せる品物を購入するのが良いでしょう。
少し高価な時計や眼鏡、グラスやお皿など、晴れの日に使える品物であれば、故人にも喜んでいただけるに違いありません。
受け取った形見分けの品物を処分するのは基本的に望ましくありません。不要であれば、最初から受け取らない方が礼儀です。
しかし、受け取った後に処分せざるを得なくなった場合は、最も簡単に処分できる方法として「お炊き上げ」があります。
「お炊き上げ」は、お寺や神社で品物に宿る魂を抜いた後、燃やし、供養する儀式です。
葬儀を行った宗派と同じ寺社で「お炊き上げ」を行えば、ただ廃棄するよりも心が安らぎます。ただし、品物の材質によっては受け付けてもらえない場合があるため、事前に確認してください。
形見分けに対しては、基本的にお礼は不要です。形見分けは、故人を偲び、その思い出を大切にすることが最大のお礼だからです。
そのため、お礼の品や手紙を送る必要はありません。
その代わりに、お盆やお彼岸などの法要で故人の思い出話に花を咲かせましょう。
前述のとおり、仏式や神式など、葬儀を行う宗教によって、形見分けを行う時期は異なります。
宗教ごとに、もう少し詳しく説明します。
仏式では、お葬式のあと、「初七日」「二七日」と7日ごとに法要を行い、7回目の法要である「四十九日」が「忌明け」となり、その後に形見分けを行うのが一般的です。
ただし、地域や宗派によっては三十五日法要を「忌明け」としている場合もあります。
神式の場合は、葬儀の翌日に「翌日祭」を行い、その後は「十日祭」「二十日祭」と10日ごとに霊祭を行います。
「忌明け」にあたるのは、「三十日祭」か「五十日祭」となり、このときに形見分けを行うのが一般的です。
キリスト教(カトリック)では、3日目、7日目、30日目に「追悼ミサ」を行うのが一般的です。
そもそもキリスト教には「形見分け」という習慣はありませんが、日本では30日目の追悼ミサで形見分けを行うことが多いようです。
遺品は故人の財産ですので、原則としてすべて相続されます。
つまり、形見分けされる品物は、まず相続され、その後形見分けとして贈られるのです。
これは、形見分けの品物が相続税の対象となるだけでなく、贈与税の対象にもなる場合があるということを意味します。
形見分けと相続についての注意点を、いくつかのポイントに絞って解説します。
「相続の単純承認事由」とは、故人の財産を相続することを認める行為を指します。
相続はプラスもマイナスも引き継ぐため、故人が大きな借金を抱えている場合は相続しない方が良いこともあります。
そのため、「相続の単純承認事由」に該当する行為には注意が必要です。
しかし、形見分けは原則として「相続の単純承認事由に該当しない」とされています。
ただし、形見分けされる品物が高価な場合は、「相続の単純承認事由に該当する」と判断される可能性があります。
上述のとおり、形見分けを受ける行為は原則として単純承認事由に当たりません。
つまり、形見分けを拒否しても、相続には影響しないのが原則です。
しかし、形見分けを受ける人が相続人であり、その形見分けが相続財産の処分と判断される場合は、形見分けを拒否するために相続放棄が必要になる場合があります。
形見分けの品物であっても、市場価値があると判断されれば、相続税と贈与税の両方の対象となります。
まず、形見分けの有無に関わらず、その品物が市場価値を持つと判断されれば、相続人には相続税が課せられます。
次に、形見分けを受け取った人には贈与税が課せられます。
ただし、贈与税は年間110万円まで非課税となるため、これを目安にすることができます。(1年間に贈与されたものの合計金額が対象となるので注意が必要です)
形見分けは、故人の遺志が明確でなかったり、金銭が絡むためトラブルになりやすいものです。
代表的なトラブルを以下に紹介します。
形見分けの時期に、「故人と親しかった」と言う人がいる場合もあります。無下に断るのは無礼ですので、親交のない人に形見分けをする場合は、連絡先を控えておくようにしましょう。
親族が少ない、または遠方の場合、遺品整理業者に依頼することになります。
しかし、形見分けで贈る品物は、金銭的価値が低いものが多いため、業者が価値がないと判断し、不用品として処分してしまうことがあります。
形見分けは、故人の遺志が尊重されるべきです。そのため、形見分けは遺書や遺言に従って行われるべきですが、口約束のみの場合はトラブルに発展することがあります。
形見分けは、故人の持ち物を贈るという行為で、贈る人も受け取る人も神経を使うため、トラブルになりがちです。そのため、形見分けを行わないという選択をする人もいます。
しかし、形見分けは、故人の愛用品を通して、その思い出をいつまでも心に留めることができる素晴らしい伝統です。
ここまで紹介したポイントに注意し、心を込めた形見分けを行うことで、故人の想いとご遺族の想いが共に満たされるようにしていきたいものです。
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