死装束は好きな服を選べる?注意点や宗派ごとの違いを解説
- 2024年06月18日
お葬式手配の「よりそうお葬式」
死装束(しにしょうぞく)とは、お葬式の際に故人さまに着せる装いを指します。
死装束は好きな服を選びたいと考える方は多くいますが、注意点や宗教ごとの違いに関して詳しい方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、死装束とは何か、死装束に好きな服を選べるか、注意点や宗教・宗派ごとの違いを交えて詳しく解説します。
死装束について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
本文
死装束(しにしょうぞく)とは?
はじめに、死装束について詳しく解説します。
死装束は故人さまの旅立ちの装い
死装束は、故人さまの旅立ちの装いを指すもので、お葬式の際に故人さまに特別な衣装を着せる古来からの風習の一つです。
死装束は日本のみならず世界各国で見られる風習で、宗教や宗派によってさまざまな装具を身につけます。
日本では、白い着物である白帷子(しろかたびら)とともに装具を身につけるのが一般的で、葬儀社のスタッフが衣装を整えます。
仏教の死装束では白帷子の他に9種類の装具を入れるのが基本で、最近では色や柄、模様のバリエーションも豊富です。
死装束を故人さまに着せる理由
死装束には、清らかな気持ちで旅立てるようにとの思いが込められています。古くから日本では「白=清らかな色」とされ、死装束も白を選ぶのが一般的です。
白い着物が選ばれるようになった理由は諸説ありますが、かつて巡礼者や修行僧が着ていた着物が白だったことに由来するとされています。
また、白は「死」を意味する色とされるとの説もあり、生前の穢れ(けがれ)をなくして死後の世界に旅立てるようにとの願いも込められています。
ただし、宗教・宗派によっては必ずしも「死装束=白」である必要はなく、桃色や水色が選ばれるケースも珍しくありません。
死装束を着せるタイミング
死装束を着せるタイミングはケースによって異なりますが、以下のタイミングが一般的です。
- 納棺(のうかん)の前
- 湯灌(ゆかん)の後
死装束を着せるタイミングとして一般的なのが、納棺の前です。納棺とは、故人さまを棺にお入れするための儀式で、お坊さんによる読経が行われます。
湯灌を行う場合は、湯灌の後に死装束を着せるのが一般的です。湯灌とは、故人さまをぬるま湯で清めるための儀式で、葬儀社のスタッフによって行われます。
なお、死装束は葬儀社のスタッフが対応してくれるため、喪主やご遺族の方が着せることはほとんどありません。
喪主やご遺族の方が着せるパターンもないわけではありませんが、現代ではほとんど葬儀社のスタッフに任せるのが通例となっています。
死装束として身につける装具
死に装束として身につける装具には、以下のようなものがあります。
- 笠(かさ)
- 杖(つえ)
- 天冠(てんかん)
- 頭陀袋(ずだぶくろ)
- 六文銭(ろくもんせん)
- 手甲(てこう)
- 数珠(じゅず)
- 脚絆(きゃはん)
- 足袋(たび)
- 草鞋(わらじ)
笠は、浄土への旅の最中、故人さまを日差しや雨風から頭を守るためにかぶるもの。杖は、故人さまが転んだり倒れたりしないよう歩きやすくするためのものです。
天冠は三角頭巾とも呼ばれ、故人さまが仏さまの弟子となったことを示すために額につける布を指します。
首からは頭陀袋をかけ、なかには死後の世界で渡し舟の料金となる六文銭を入れます。
その他、手を保護する手甲、故人さまが生前使用していた数珠、脚を保護する脚絆、長旅を支える足袋(靴下のような役割)と草鞋(靴のような役割)を身につけるのが通例です。
装具は死装束として故人さまが身につけるもので、葬儀社のスタッフの手で着せるのが一般的です。
喪主やご遺族が死装束を着せることはほとんどありませんが、身につける装具を含め地域によって変わる場合もあるため、着せる前に一度葬儀社のスタッフと確認しておきましょう。
死装束に入れられないもの
死装束に入れられないものは、以下の通りです。
- ご火葬の妨げになるもの
- 爆発する恐れのあるもの
金属・砂金・現代のお金は、ご火葬の妨げになるとの理由から棺には入れられません。また、ライターなど爆発する恐れのあるものも不可です。
故人さまが好きだったお酒を入れたいという場合も、瓶に入っているお酒は入れられません。趣味で愛用していた釣り竿やゴルフクラブ、革製品も同様です。
カーボンが含まれたアウトドア用品全般もご火葬できないため、ご注意ください。ただし、葬儀社の判断によって例外的に入れられるものもあります。
例えば、生者と一緒に映っている写真は縁起が悪いとの理由で入れないのが一般的ですが、最近では故人さまが寂しくならないよう思い出として入れる場合もあります。
何を入れられて何を入れられないかは状況によっても変わるため、詳しくは葬儀社のスタッフにご相談ください。
死装束は好きな服を選べる?
ここからは、死装束で選べる服について詳しく解説します。
死装束では好きな服を選ぶことができる
死装束は好きな服を選ぶことができます。
白い着物はいかにも死装束という感じがして気が引けるとの理由から、最近では故人さまが生前に好まれていた服装を着せる場合があります。
極端に派手な服装は避けるべきですが、白い着物だけしか着られないわけではありません。
故人さまが好んでいた服が選ばれやすい
死装束には、故人さまが好んでいた服が選ばれやすいです。例えば、普段から愛用していたシャツやズボンなど、本人が好んでいた服が死装束に選ばれます。
宗教的な観点では、普段着だと死後の世界の旅に適さないといわれるかもしれませんが、本人が好んでいた服を選ぶ喪主やご遺族は少なくありません。
依然として死装束には白い着物を選ぶ人が多いものの、どうしても着せてあげたい服がある場合は、葬儀社のスタッフに相談して判断しましょう。
スーツやドレスでも問題はない
死装束は、スーツやドレスでも問題はありません。
ビジネスマンやキャリアウーマンとして一生懸命働いていた人であれば、スーツやドレスを着せてあげるのも良いでしょう。
故人さまらしさを重視する場合は、白い着物に固執しなくても構いません。
本人にとって適した服は何かを、深く考えることが重要です。ただし、お葬式の雰囲気に適さない服は他のご親族から反対される可能性もあるため、慎重に選びましょう。
着物やワンピースも着用できる
死装束は、着物やワンピースも着用可能です。派手な装飾や分厚いフリルのない衣服であれば、問題なくご火葬できます。
ただし、棺からはみ出す装飾品は入れられません。あくまでも棺に収まるサイズでなければならないため、必ずしも好きな服を着せてあげられるとは限りません。
その点は、ご家族と話し合いながら決めましょう。
死装束で好きな服を着せる際の注意点
ここからは、死装束で好きな服を着せる際の注意点について詳しく解説します。
着物の襟を必ず左前にする
死装束として着物を着せる場合、襟は必ず左前にしてください。
普段着物を着る際は襟を右前にしますが、死装束はこの世とは反対のあの世に行くと解釈されるため、左前にするのが一般的とされています。
死装束として身につける装具も、反対向きに着せるのが古くからの習わしです。
襟を左前にする理由には諸説ありますが、奈良時代の高貴な人が旅立ちの際に襟を左前にしていた説や、お釈迦さまが亡くなる際に襟を左前にしていた説からとされています。
ただし、神道では「神衣(かむい)」という平安時代の貴族の衣装に似た死装束を着せる他、浄土真宗ではそもそも死装束を着せないなど、宗教・宗派によって違います。
宗教や宗派によっては、最後に着せる服も左前でなくとも構わないとされているため、信仰している宗教や宗派に合わせるのが望ましいです。
死装束を左前で着せる理由については、以下の記事でも詳しく解説しています。
革製品や金属類を含む服はNG
死装束は、ご火葬の際に残ってしまう可能性のあるものは着用できません。例えば、革製品や金属類を含む服は原則着させられません。
革の財布や金銀のアクセサリーを一緒に入れたいと考える人もいるかもしれませんが、ご火葬の妨げになるものは避けたいです。
また、火葬炉の故障につながるライター類の爆発物も入れられません。
故人さまが愛煙家でどうしてもタバコと一緒にライターを入れたい場合は、マッチなどの代用品を入れましょう。
死装束と一緒に入れて良いものなのか判断しかねる場合は、葬儀社のスタッフに相談してください。
有害物質を出すプラスチックも厳禁
有害物質を発生させるプラスチックは、死装束として入れられません。
プラスチックは燃焼することで有害物質を発生させます。少量であれば人体に悪影響を及ぼすことはほとんどありませんが、火葬場では断られる場合がほとんどです。
ガラス製品や紙製品など、火葬炉の故障につながるものは入れないようにしましょう。
独断で選ぶのはトラブルにつながる
死装束は好きな服を着せても問題ありませんが、独断で選ぶと後々トラブルになるため、ご家族と相談してから決めましょう。
喪主やご遺族のなかにはご家族に相談せず、自由に好きな服を選ぶ人もいます。
ご家族が納得してくれればそれでも問題ありませんが、後々になってから「勝手に決めたのは良くなかった」と指摘されるかもしれません。
お葬式などの儀式では、小さなほころびが大きな争いに発展する可能性があり、ご家族間の衝突につながりかねません。
そのため、好きな服を着せて良いといわれた場合も一度ご家族に相談するのが望ましいです。
葬儀社のスタッフに相談する
死装束は宗教や宗派によって違う他、地域によっても風習が違うため、一度葬儀社のスタッフに相談することを推奨します。
一般的な仏教のお葬式では白い死装束を着せるのが通例ですが、神道では神威を着せるのが一般的です。
一方で、同じ仏教でも浄土真宗は死装束を着せないなど、宗教だけでなく宗派によっても死装束の扱いが違います。
わからないことがあれば、一度葬儀社のスタッフに相談してから判断するのが望ましいです。
宗教・宗派ごとの違い
日本にはいくつかの宗教・宗派があり、死に対する考え方もさまざまです。ここからは、宗教・宗派ごとの違いについて詳しく解説します。
仏教の死装束
仏教では、死装束を身につけて故人さまの旅立ちを見送ります。
仏教では人が亡くなると浄土を目指す旅に出るとの考え方があり、人から仏さまになるための修行が必要とされています。
その修行に相応しい服装として、死装束を身につけるわけです。
ただし、同じ仏教でも浄土真宗は阿弥陀如来の力によって「人は亡くなればすぐに仏さまに生まれ変わる」と信じられているため、死装束は不要とされています。
一般的に仏教では、故人さまに死装束を着せるのが通例ではあるものの、浄土真宗など一部では着させない場合があるため注意が必要です。
神道の死装束
神道では、死装束を身につけずに故人さまの旅立ちを見送ります。
神道は、人が死を迎えると神さまから与えられた命を再び神さまに返すとの考え方があり、最終的には子孫や家系を守る守護神になるとされています。
そのため、人が亡くなった際は神さまに近い服装(神職の方が着るような服装)を着用するのが一般的です。
仏教の死装束では笠や竿、天冠などを装着しますが、神道では白丁(はくちょう)や烏帽子(えぼし)、笏(しゃく)、白い小袿(こうちき)を着用します。
死装束とは異なるため、神道でお葬式を行う場合は服装に注意しましょう。
キリスト教
キリスト教には、死装束を着るという考え方はありません。
故人さまには生前愛用していた服を着せるのが一般的で、スーツやドレスがよく選ばれます。具体的に何を着せるかという決まりはないため、服装は比較的自由です。
ただし、地域によっては木製の十字架を手元に添えるなど、古くからのキリスト教の風習を重んじる場合もあります。
日本で行われるキリスト教のお葬式も、同様に木製の十字架が添えられる場合があります。
まとめ
死装束とは、故人さまが死後の世界を旅する際に必要となる衣装です。
通常は白帷子とともに装具を着せ、故人さまが仏さまになるまでの旅を快適に過ごせるよう祈ります。しかし、現代では死装束にこだわる必要はなく、好きな服を着せられます。
なかにはスーツやドレス、その他の普段着を着せるなど服装に関しては比較的自由です。
ただし、宗教や宗派によって死装束が必要かどうかは変わるため、ご家族や葬儀社とよく相談しながら決めるのが良いでしょう。
よりそうお葬式では死装束についてだけでなく、お葬式に関すること全般についてご相談いただけます。
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